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思うに、
取っ組み合い、床に転がっているのも、瓶を振り上げ合う者も、胸ぐらをつかんだ者同士も、皆が、入ってきた男をみていた。
静寂と停止の時は一瞬で、恐怖と混乱がその場を襲う。
「っぎゃあああああ!!」
誰かの汚い悲鳴で、動きを取り戻したそこは、ひどい騒ぎとなった。
図体の大きな《ヘルサ種族》の男たちが、次々と、ホーリーの横を悲鳴とともに走り去る。
残った《キラ種族》の男や女は、ひどくつまらない顔でホーリーを見ていた。
「 ―― 思うに、」
と、その中の一人の男が、前に出た。
「 ―― おれたち《キラ種族》は確かに《呪い》が使えて、自分勝手で物を壊すのも好きだし、暴れるのも好きだ。 寿命も長いし、世の中に『こわいもん』なんてない。 だけど、―― みんな知っての通り、おれたちの種族は、ひどい勢いで減ってきてる。 おれたちは、繁殖が得意じゃないし、ヘンな病気もある。 ・・・噂だと、『空の目』が、この世界の《種族》の数を決めてるっていう。 おれたちは、『空の目』を怒らすべきじゃない。・・・なのに、おまえは、《ノーム種族》の王だったジャックに、最大級の呪いをかけて、消してしまった」




