表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペオルの探求  作者: 逆柿一統
第4話「へつらいの道化」
35/44

「へつらいの道化」2

肩で息をするほどにエネルギーを使った元気のことなどまるで気にかけることもなく、ペオルとエレミヤはぷいっと元気に背を向けるとギターの教習本をパラパラとめくる。


「他に簡単なコードだけで弾ける曲ないかなぁ。」

「名曲ほどコードはシンプルであったりするの。」


いや、だからベースはどうすんだよ。

それ絶対ベースの譜面なんて載ってないやつだろ。


反射的に心の中で行われたつっこみを表に出すことはなく、元気は再び布団の中にもぐりこむ。

これ以上はカロリー消費の無駄である。


とにかく出ていってほしいが、どうすれば素直に出ていってくれるだろうか…。思案にくれる。


俺が出かければ…いや、だからと言って連中は動かないかもしれないし、自分が出ていくのがなんだか追い出されるみたいで癪だ。


裸になってふらついてやろうか。

いや、またペオルに股間を強打されるだろうし、俺も変態に一歩近づくだろうし。


ふーむ。

連中は二人でギターの練習を楽しんでる…

ここは逆に積極的にからんで二人だけの世界をぶち壊してやろうか。

できれば会話もしたくないが…いや、これは会話ではない。

そもそも意思の疎通を図るものではないのだ。

嫌がらせのためだけに声をかける。

会話の体をなしたテロリズム。

うむ。それなら悪くない。


元気は布団をちらりとめくり二人の背中を見る。


ペオルのギターに合わせて仲良く左右に揺れながら何か歌っている。


やっぱり面倒かな…と思いつつ聖戦(ジハード)の覚悟を決めて声をかける。


「二人がこっちくるなんて珍しいよな。庵野はどうしたの?」


エレミヤが振り返り


「元気くんはゆいのことが気になってしょうがないんじゃな。」


といって口角を左右に広げにたりと笑う。


くそ。やはり声をかけるべきではなかった。

というかもう少し内容を推敲するべきであった。

なんで庵野の名前を出すんだよ。

まるで庵野のことが気になってしょうがないみたいではないか。

いや、まあ確かにさっきまで考えてはいたんだけど。

でもそんなに長い時間考えてたわけじゃないし。

昨日、衝撃的なカミングアウトされたばっかりだからなんというか考えちゃいますよね。


元気が必死に正当化を試みていると、いつの間にかペオルもこちらを向いてにたりと嗤っている。


「あれあれ?元気はゆいのことが気になっちゃうんだ?」


二人の表情は元気の心に荒波をたてる程度には鬱陶しかった。


「いやまあ、会社の同期だし。ちょっと前まで体調崩してたんだし、そりゃ気になるだろ。」


いかん、いかん。やつらのペースだ。

落ち着け自分。


「じゃあこんなこと言わないほうがいいのかな?今日はゆいの部屋にお客さんが来るのさ。」


「男がな。だからわしらはこっちに来た。お邪魔虫にはなりとうないからの。」


男!?

庵野の部屋に男?

でも庵野は今まで俺以外の男が部屋に入ったことないって…。


「ゆいも生活のためとは言え大変だよねー。」

「男に媚びて金を稼がんといかんのだからなぁ。」


リストラ天使たちは悪魔のような汚れた笑顔を浮かべながら元気の様子を観察している。


この堕天使どもめ…。中身が小学生女子だな。


庵野が男に媚びて金を稼ぐ?

どういうことだ?まさか夜のお仕事してるとか?

部屋にわざわざ呼んでるってことは…なんかそれ以上のお仕事?


元気は務めて冷静を装うが相当に動揺していた。


「ど、ど、ど、ど、どうせ口からで、出任せだろ?」


墓穴を掘った。

二人はけらけら笑っている。


「ほんに元気は愛いのう。ほれ、飴ちゃんをやろう。」


いらつきの頂点に達した元気は飴を渡そうとしたエレミヤの腕をつかんで自分のもとに引き寄せる。


こいつ、ひんむいてやる。


声をあげる間もなく手繰り寄せられたエレミヤは恐怖にその美しい顔を歪めている。

どこをひんむけば一番こいつにダメージを与えられるだろうか。


元気はエレミヤの全身を観察する。


うむ、やはりスカートだな。めくりやすいし。

瞬時に弱点を見つけた元気はスカートに手をかける。

エレミヤもその意図を読んで手で押さえるが、元気がエレミヤの脇をくすぐることによって手のガードを解き、スカートをめくる。


「ん?お前なんで女物のパンツはいてんだよ。」


エレミヤの白く細い脚のつけ根には、これまた白く可愛らしい女性ものの下着。


こいつ一応男だろうに。

などと思っていたのもつかの間、側頭部に衝撃を受け、目から星を出しながら元気は倒れた。

ペオルがギターで殴ったのである。


「この変態!出てけー!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ