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大乱闘

 先に到達したのは一台が、車両倉庫のシャッターを突き破り中へと突入。すぐに銃声が響き、寝床を突然襲ってきた侵略者に怪物共も恐ろしい声を上げて抵抗する。続けて二台目が、距離を少し取りながら倉庫の前で停車。

 

 俺達の乗る車は最後尾で援護を担当する。


―――ヴォォォォォォオオオオ!


 聞こえたのは、怒りの混じった声。それも一つや二つではない。いくつもの声が至る所から発せられる。 


「エリザ気を引き締めていけよ。多分お前を守りながらってのは無理になる」


 俺が感じたのは揺れ。腹に響くあの揺れが複数回連続で感じていた。


「チャージャーだ!」


 蛙のように跳び出してきたのは両腕がこん棒のように肥大化したあの怪物。車の開いた天井に取り付けられた軽機関銃が弾を吐き出す。


「そのまま通り過ぎろ! あれだけ撃てば奴も死ぬ!」


 生身一貫、たった一人で戦った時は強敵だったが、鉛玉の嵐の中ではチャージャーもなすすべがない。頭が吹き飛び、体の至る所から紫色の血が噴き出してどうっと崩れ落ちる。


「ブルゥゥゥゥウゥゥゥゥゥアア!」


 その声が聞こえたのは車の右側。視界の右端に、真っ白の軽自動車が迫ってきているのが見えた。


「飛び降りろ!」


 俺がそう叫び、それに反応出来たのはランナーのみだった。呆気に取られている隊員達もろとも軽自動車が軍用車と衝突して転がっていき、中に積んでいた銃弾か、それとも爆薬かが反応して赤い炎を巻き上げて爆発する。


「ヴォアアアアアアアアアアアアアア!」


「ちっ、二体目が出てきた挙句にもう二人死んだぞ」


 受け身をある程度取ったが、至る所をぶつけて打ち身は確定だ。痛む体を起こして立ち上がると、足の速い数匹のドック達が黄濁色の涎をまき散らしながら走ってきている。


「ジン! 頭を下げて!」


 言われるがままに這いつくばるように頭を下げると、削り取られていくドックの体。チャージャーとは違い、固い甲殻を持たないドックはチーズのように穴だらけになって紫色の血溜まりを作る。


「ヴォアアアアアアアアアアアアアア!」


 殺された仲間達の無残な死体を見て、縦に裂けた口で叫ぶチャージャー。


「寝てないで早く立って!」


 いつの間にか隣にいたエリザは、焦る事なくバックパックの横に付けていたグレネードランチャーを取り出し、ポンっと空気の抜けるような音と共に僅かな放物線を描いて放たれる。


 考える時間はない。チャージャーは今にも襲い掛かろうと体勢を低くしている。


「多分当たらないぞ。次を入れとけ!」


 飛んでくるグレネードを見て、危険だと思ったのか、横に跳んで避けたチャージャー。


「こっちだ筋肉達磨。ブサイクな面こっちに向けろ!」


 前進しながら防刃コートの内側のホルスターから市場で買った中折れ式のショットガンを抜く。


二つの銃口から放たれる散弾はチャージャーの甲殻へとめり込み、僅かに見えている関節部の肉をズタズタに切り裂く。拳銃とは比較にならない威力と反動。痺れるような甘い感覚が後を引くが、すぐにコートのポケットから弾薬を取り出し、装填。撃つ、装填。撃つ、装填。


 何度も繰り返すが、その丸太のような腕で頭を守るように上げている所為で殺すには至らない。


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