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「神官さま、わたしはラーニャ。
この町の商業ギルドを仕切らせてもらっています」
青ドレスの人は立ち上がって僕に挨拶する。
「ぼくは、アヤト。ニャニャーの神官だ」
できるだけ、堂々と自己紹介をする。
でも、あまり喋ったらボロがでるから、必要以外は喋らないようにしている。
クロの入れ知恵だ。
「そして、ぼくは従者のクロ。
交渉事みたいな雑事は、ぼくがやることになっているんにゃ」
得意そうに胸を張ってクロが言う。尻尾を左右にゆっくりと動かす。
「それで、いくらくらいの値をつければいいの?
ちいさな従者さん」
「べつにいくらでもいいにゃ。
神官さまがいるかぎり、いつでもこの程度の獲物はとれるにゃ」
「じゃあ、どうしてわたしと交渉するの?」
「毛皮はいくらでもいいにゃ。
そのかわり、ギルドの権利がほしいにゃ。
たしか、昔の神官さまも持ってたはずにゃ」
「そうね。ここのギルドは神官さまが作ったっていわれているわ」
「そして、この町のギルドは発展したんだにゃあ。
だから、元締めのお姉さんにも悪い話じゃないにゃ」
「そうね。
神官様はいろいろな発明品をギルドに出してくれたらしいからね。
ギルド全体の利益になるわ。
いいわ、とりあえず金貨100枚とギルドの登録証でどう?」
「交渉成立だにゃあ。
いいでしょ。アヤト神官さま」
ぼくは意味がわからないけど、クロに任せているんだから首を縦に振る。
「チュール、金貨と登録証を用意して差し上げなさい」
「はい、ラーニャ様」
ラーニャの言葉に、チュールは忙しく裏に走っていく。
「それから…神官様。
わたしからひとつ魔法をお教えしますわ」
「魔法???」
「たぶん、神官様なら会得できるはずです。そのかわり、他の人には教えないでください。絶対にです。まあ、空間魔法は簡単にはつかえませんが…」
ぼくは構える。いままでの魔法は見るだけでできたんだけど…
よく見てなくちゃ。
ラーニャは目を閉じて手をかざす。
「もういいわ。成功したみたいね」
ラーニャの言葉につられるように、ぼくはウィンドウを開く。
魔法の欄に『ゲート』という新しい言葉が浮かんでいる。
「ゲート???」
「そうゲート…一度いったところならどこへでも行ける魔法です」
考えると最強の魔法。RPGでは、戦闘中に使えないから、ただの移動手段に過ぎなかったけど、考えてみればすごい魔法だ。
何人連れて行けるかわからないけど、戦場にいきなり軍隊を送ることもできるし、確実に逃げることもできる。
「ありがとうございます」
僕はラーニャに礼をする。
「いいのよ。この魔法は神官様に教えるために受け継いできたものなの。
神官さまにお伝えすることができてよかったです」
「神官さま、ぼくはこのお姉さんと今後の話があるんだにゃ、シャールと冒険者ギルドに行っておいてほしいにゃあ」
クロはそう言って、ラーニャと一緒に奥の応接室に消えていった。
残されたぼくは、クロの交渉力に目を白黒させながらもシャールと一緒に外のとおりに向かった。




