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神殿に帰ると、午後3時くらい。
思ったより早く帰れた。猫体術さまさまだ。
でも、よく考えてみると、このスキル…
猫を運ぶだけスキルなんじゃない???
そんな気もする。
テキパキと狩りの成果を確認しながら、作業をする。
猫たちはニャーニャに任せる。
猫じゃらしの使い方や撫でるところを教える。
もう、狩りにいかなかった4匹の猫はそこそこなついているみたいだ。
いつの間にかニャーニャの腕にもリストキャットがある。
魚は焼いてほぐす。
そう、ぼくたちのは塩をするが、とにかく猫が先だ。
朝に用意した猫のエサはもうなくなっている。
水はニャーニャが替えてくれたらしい。
魚をエサ入れにいれると猫たちは群がってくる。
向こうで食べていたトラやブチが真っ先に来るのは何故?
これだけ自由に運動ができるから、肥満は心配しなくていいだろう。
魚を焼いたあとは、ウナギをさばく。
そう、天然うなぎの蒲焼だ。
頭に楔を打って、腹開きにする。
猫料理スキルのおかげで、するすると捌けるようになっている。
骨や頭を使ってタレも作って…
猫たちのために白焼きも作る。ぼくたちの分も、白焼き、蒲焼、キモの佃煮、肝吸いのフルコースだ。
前の世界で食べたらいくらするんだろう。
それも、これだけのオオウナギだ。
ごはんも炊いて、うな丼にしよう。
あとは、お茶漬けなんていうのもありかも。
ごはんの仕込みが終わると、次に毛皮の処理。
ニャーニャを驚かせたのが、あのクマ。
やっぱり、街道の災厄といわれる魔獣の一匹らしい。
数々の冒険者を餌食にしてきたやばいやつとのことだ。
毛皮も高く売れるらしいし、熊肉も食用になり、内蔵は薬になる。
まさに素材のデパートだ。
町に行くときまでとっておこう。
ネズミも白銀ネズミというレアなやつもすこし混じっている。
これも高値で売れるらしい。
魚はこっちで食べる用にしておこう。
猫たちの食いつきもいいみたいだし。
生活用品はどれくらいするかわからないが、狩りにでると、なんとか生活できるみたいだ。
うさぎや鳥や魚くらいなら猫たちの手を借りなくても、なんとかなるだろう。
僕は、自分の周りに集まってくる猫たちの相手をしながら、これからの生活に思いをはせた。




