幕間03 最強武人ライゴウ
わしは武術家ライゴウ。
今はわけあって赤獅子シリュウの元にわらじを脱いでいる。
たしかにシリュウとはいろいろあった。
七聖といわれたわしは孤高の存在を気取っていた…
人間界最強…それを目指すことがわしの目的となっていた。
西に強きものがあれば行って倒し…
東に強きものがあれば戦いを挑んだ…
その中にもツワモノ達は存在した…
しかし、シリュウと戦った時、わしは後の時代を考えることになった。
それが、この若者の力だった。
わしは最強の先を見ていなかった。
自分が世界最強となったあと…
それを考えていなかった。
ところが、この若者はわしに負けたときにそのわしの心を指摘した。
「その技、俺に教えてくれないか」
そう、わしの欲を見抜かれてしまったのだ。
わしの技を引き継ぎ、それを昇華してくれる。
わしのすべてを託せるものに出会ったのだ。
シリュウは歴史に名を残す漢だ。
シリュウとともにわしの名前も歴史に刻まれる。
わしの作った最強の流派が世界を席捲する。
その時が来たのだ!
とりあえず、シリュウの露払いとなってやろう。
次に攻めるのはバーミリオン。
シリュウたちなら、楽勝だろうが、ミーニャ教騎士団がいる。
いままで戦ったことはないが、猫剣術という不思議な剣術を使うらしい。
武道を志す者が最初に教えられることがある。
わしの師匠も、繰り返しわしに教え込んだ。
たぶん、いくら強くなっても慢心するなってことだと思う。
「ニャニャーとは戦うな。会ったらすぐに逃げろ」
これが、武道の最初の教えだ。
いくらわしでも、ドラゴンや怪獣級の化物とは単身で戦わない。
せいぜい、くまや虎くらいだ。
人間、強くなっても限界があるということだろうな。
猫剣術…変幻自在の剣術らしい。
楽しみじゃないか。
またひとつわたしの軍門にくだる流派ができる。
それだけのことじゃないか。
わしは、シリュウに遅れないようにバーミリオンにむかって丘を駆け続けた。




