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「それから、この世界だけど…
猫は100年くらい生きられるみたい。
なぜか、前の世界より力がみなぎってくるしね。
空気中にそういう成分があるのかもしれないね。
また、調べてみるけど。
それにくらべて人間は向こうの世界とかわらないみたいだ」
「猫のための世界みたいだね。
僕としてはすごく嬉しいけど、クロたちと長いこと一緒にいられるんだから」
「そう言ってくれるとうれしいよ。
君たちよりぼくたちのほうが長く生きるんだから、逆にぼくたちがさみしくなるかもね」
「それから、わたしたちは長く生きるから、向こうの世界みたいな繁殖力はないみたいよ。
一度に二三匹、回数は人間くらいしか産めないらしいわ」
「そうか。
自然の法則ってことだね。
でも、そんなことまで、壁画に残ってるの?」
「ううん、猫の記憶よ。
猫って自分の縄張りに、自分の記憶を残すの。
人間には絶対読み取れないけど、私たちは顔を擦り付けるただけで記憶を読み取れるの。
伝説の猫の記憶…だいぶ薄れてるんだけど、なんとかすこしだけ読み取れたのよ」
「だから、さっきの伝説。
神官が悪い奴だったって話。
猫の記憶では、その人間のこと大好きだったみたいだし、眉唾だと思うんだ」
たしかに猫に好かれる人に悪い人はいないかも。
「いろいろな情報をありがとう。
じゃあ、明日からやることはこの世界をできるだけ探索することだね。
巫女さんや騎士さんは悪い人じゃないみたいだし」
「賛成よ。
アヤトは町とか城とかに行って、この世界を理解することに集中して。
ミーニャ教のトップや王様にも会ってくれる?」
「でも、ぼくたちを良く思わない人もいるかも知れない。
だから、必ずぼくたちの中の一匹を連れて行動してほしいんだ。
6匹のうちの誰でもいいよ。使える能力は違うけど、強さは同じくらいだしね。
この中じゃ、アヤトは最弱だからね。
それから、ぼくたちの危険察知能力もあるから、本能的に敵になりそうなのは、見抜けるはずだよ」
「わかったよ。
よろしくたのむ。クロ、シロ」
「まかしといて!」
クロとシロは、頼もしくニャーと一鳴きした。
膝の上の茶白は、完全に寝落ちしていた。




