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猫にひかれて異世界生活  作者: PYON48
第一部 猫に引かれて異世界へ

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「神殿の絵を読んだんだけどね…

 昔、この国はオーガの脅威に侵されていた。

 オーガに毎年若い娘を生贄として差し出していたんだ。

 そして、そこに猫と神官が現れた。

 神官と猫はオーガを倒し、この国をオーガの支配から救った」


「うん、それでニャニャーは尊敬されてるんだ…」


「いや、ここからが難しいところなの。

 ニャニャーは救世主ってだけじゃないのよ。

 わたしもクロと壁画を見て回ったんだけどね」

 シロもすごく頭のいい猫だ。クロと一緒にこれからのことを考えてくれる。

 膝で寝ている茶色いのとは違う。


「どういうこと?」


「ニャニャーは祟り神でもあるの。

 その後、他国の進軍、ドラゴンの襲来、魔王の侵略を神官とニャニャーがしりぞけたの。

 それだけじゃなく、相当なトラウマを与えたみたいね。

 すべての国にバーミリオンを攻めるなという伝説がのこされたの」


「うん…」

『なでなで が LV6になった』

 あっ、トラを撫でながら聞いていた。

 膝の上から寝ているトラを下ろす…


 そのとたん、ブチが膝の上に上る。

 こいつらだけは…

 緊張感がないっていうか…

 でも、猫らしいっていえば猫らしい奴らだ…


「神官も猫剣士として相当な活躍をしたんだけど、

 それ以外にも、いろいろな文化をこの国に持ち込んだんだ…

 農業、武器、食べ物、本…

 それで、商会を起こしたんだ。

 この国は貿易国として、大きく発展することとなったんだ。

 でも…」


「でも?」

 ゴロゴロ…ブチが喉を鳴らす…


「ここからは、本当かどうかわかんないんだけど…

 神官は、自分の力を誇示しはじめたの…

 幼い少女たちでハーレムを作ったり、気に入らない貴族を失脚させたり…

 財力と武力で好き勝手なことをしだしたの…」

「まあ、本当なら猫が黙ってないと思うけどね」


「王国の貴族たちは、神官を騙して猫のいない城に呼び出して、殺したの…

 本当に人間って仕方ないわ」

「それを知った猫は姿を消した。

 それから、王国は衰退していくんだ。

 貴族たちの反乱があったりしてね…

 まあ、ニャニャーが周りの国に恐怖心を植え付けてるから、他国の干渉はなかったんだけどね」


「そういうことなんだ。

 人々はニャニャーを崇めながらも恐れているってことなんだね」


「そうだよ。

 だから、ぼくたちは無条件にウェルカムじゃないんだ」

 行動には気をつけなくっちゃな。

 ぼくは猫たちと平和に暮らせたらいいんだから。


『なでなで が LV7になった』

 また、ゴミスキルが上がった。

 膝の上のブチが、大きくアクビをした。


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