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「神殿の絵を読んだんだけどね…
昔、この国はオーガの脅威に侵されていた。
オーガに毎年若い娘を生贄として差し出していたんだ。
そして、そこに猫と神官が現れた。
神官と猫はオーガを倒し、この国をオーガの支配から救った」
「うん、それでニャニャーは尊敬されてるんだ…」
「いや、ここからが難しいところなの。
ニャニャーは救世主ってだけじゃないのよ。
わたしもクロと壁画を見て回ったんだけどね」
シロもすごく頭のいい猫だ。クロと一緒にこれからのことを考えてくれる。
膝で寝ている茶色いのとは違う。
「どういうこと?」
「ニャニャーは祟り神でもあるの。
その後、他国の進軍、ドラゴンの襲来、魔王の侵略を神官とニャニャーがしりぞけたの。
それだけじゃなく、相当なトラウマを与えたみたいね。
すべての国にバーミリオンを攻めるなという伝説がのこされたの」
「うん…」
『なでなで が LV6になった』
あっ、トラを撫でながら聞いていた。
膝の上から寝ているトラを下ろす…
そのとたん、ブチが膝の上に上る。
こいつらだけは…
緊張感がないっていうか…
でも、猫らしいっていえば猫らしい奴らだ…
「神官も猫剣士として相当な活躍をしたんだけど、
それ以外にも、いろいろな文化をこの国に持ち込んだんだ…
農業、武器、食べ物、本…
それで、商会を起こしたんだ。
この国は貿易国として、大きく発展することとなったんだ。
でも…」
「でも?」
ゴロゴロ…ブチが喉を鳴らす…
「ここからは、本当かどうかわかんないんだけど…
神官は、自分の力を誇示しはじめたの…
幼い少女たちでハーレムを作ったり、気に入らない貴族を失脚させたり…
財力と武力で好き勝手なことをしだしたの…」
「まあ、本当なら猫が黙ってないと思うけどね」
「王国の貴族たちは、神官を騙して猫のいない城に呼び出して、殺したの…
本当に人間って仕方ないわ」
「それを知った猫は姿を消した。
それから、王国は衰退していくんだ。
貴族たちの反乱があったりしてね…
まあ、ニャニャーが周りの国に恐怖心を植え付けてるから、他国の干渉はなかったんだけどね」
「そういうことなんだ。
人々はニャニャーを崇めながらも恐れているってことなんだね」
「そうだよ。
だから、ぼくたちは無条件にウェルカムじゃないんだ」
行動には気をつけなくっちゃな。
ぼくは猫たちと平和に暮らせたらいいんだから。
『なでなで が LV7になった』
また、ゴミスキルが上がった。
膝の上のブチが、大きくアクビをした。




