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ルール
取り敢えず、一度家に帰ることにした。
血の世界から、元の世界に戻るつもりなど勿論ないのだが
精神的な深呼吸をしたかった。
鉢の中で口を開閉させている金魚のように
酸素を欲していた。
茶屋で教楽木と別れて
駅前で身空シドとは「あとで連絡する」と言って別れた。
一人で13階建てマンション3階、自室の前に立った。
鍵を出す。
鍵穴に入れる。
鍵を回す。
ドアノブを掴む。
ドアノブを回す。
手を引く。
開かなかった。
「あれ?」
ガチャガチャと回してみる。
それでもドアは開かない。
昨日、閉めたはずのドア
鍵を入れて回しても開かない。
つまり、「開いていた」
ということになる。
合鍵を渡している人を思い出してみた。
元彼女だけだ。
そっと鍵を回すとすんなりとドアは開いた。
「合鍵を《奪って》侵入させてもらったよ、新入り」
家に入ってすぐ見えるリビングスペースに
針金のような男がいた。
指先には鍵
足元には、一つの死体
鼻を突くような臭い
これは人の臭いだ
人が生きていた臭いだ
「俺の大切な人に何してくれてんだ!」
「大切な人扱いしなくなったのは君だろう?
しかも、《俺》だなんて
そんなキャラクターじゃないだろう?」
「うるせえ、早くそこから離れろ」
「待ってよ、理性的になって」
《 人を殺しただけだろう? 》




