踏み込む
人生、後戻りなんて出来ないからさ、2人で楽しいことしよう。
怖いことも悪いことも悲しいことも忘れるくらい楽しい時間を過ごそうよ。
別れた彼女と付き合い始めた時に、そう言われた気がする。
そう、後戻りなんて出来ない。
僕はどうやら、違う世界に迷い込んでしまったみたいだ。
先程までベンチで楽しくお喋りしていた連中が
突然、僕たちに襲いかかってきた。
そして刹那の間に、身空シド少年と老人、教楽木 狂三が
その連中を一網打尽にしたのだった。
「早く逃げようぜ、爺さん」
少年は死体の頭を踏みながらそう言った。
「逃げようにも、何処へ」
死体を綺麗に整列させて、寝かせながら老人はそう言った。
気が狂いそうだった。
「みんな服間一族だな
ストーカー気質で嫌な一族だよな、まったく」
と、言いながら少年は、まだお前居たのか
という顔でこちらを見た。
「まだお前帰らないのか、すげえな」
「今更帰れるわけ無いだろう....そろそろ聞いておくけど、あなたたちは一体何者なんだい?」
「ふーん、興味あるんだ」
「興味も何も、これだけの人を殺しておいて....人間とは思えないよ」
「んー、お前このままついてくるつもり?」
「もちろんだとも」
「じゃあ、今お前が何処にいるか教えてやろう」
『血の世界』
どこか懐かしい匂いがするその言葉に、そそられた。
「殺し屋の殺し合いの世界だよ、お兄さん
人を殺したこと、あるかい?」
「ないね」
「そっかそっか、お兄さん、こっちの方が向いてるね」
「そうかな?そうでもないよ」
と、言ったところで
背後の気配に回し蹴りをお見舞いした。
死体が全て、操り人形のように僅かに浮き、そのうちの『一体』が僕に近づいてきたようだ。
「誰だ」
決めて、言ってみた。
お前こそ誰だ、と思った。




