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お父さんを殺してください
「こっ、殺してもらいたい人がいるの!」
勢い良く、僕の前に座っている女子高生は言った。
スカートが短くもなく、化粧もまったくしてないだろう。
普通で普通な女の子が僕に殺人の依頼に来たのだ。
正確に言うと、シドのコミュニティに所属しているため
シドの名前を聞いて依頼に来たのだと思われる。
「シド」
「ん?」
来客の為にお茶をいれていたシドを呼んだ。
「教楽木さんは?」
「ああ、お掃除」
「あ、そう」
だから殺人鬼がお茶をいれてるのか。
僕はまだ一般人だから窓口になってるけど。
「で、誰を殺したいの?
いや、殺して欲しいの?」
「お父さんです」
そうくるとは。という感じだった。
「それは、単なる反抗期では無いんだね?」
「反抗期で人を殺そうと思ったりしませんよ」
「君の名前は?」
「まじない むきず です」
聞き取れたけど聞き取れないような名前だ。
「ごめん、漢字を教えて?」
「呪いに井戸の井、あとは平仮名です」
呪井むきず
という奇妙な名前を僕が紙に書き終えたところで
彼女はもう一度言った。
「お父さんです。お父さんを殺してください」




