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けじめ
髪を撫でても、頬に触れても
たとえ、白馬の王子様がキスをしても
死んだものは生き返らない。
もちろん、キスをする気なんてない。
誰にも頼まないでくれ
僕の手で掃除させてくれ
そうシドに伝えて
また僕は一人きりになった。
元の世界での彼女の扱いはどうなるのだろう
と、シドに訊ねると
『そんなもん、影武者がこっちの世界から派遣されるんだよ』
と、あっさり返された。
つまり、他人が殺された人になるということ
シドによると、意図的に養成された人らしいのだが
そっくりそのまま本人になり済ませるのか
と聞くと
『表のことは全部こっちの手のひらの上だよ』
と、これまた当然のように返されてしまった。
僕は迷いなく、彼女に灯油をかけた。
綺麗に毛布に包んでやった。
火をつけた。
真っ赤に燃えた。
やっと涙が出てきた。
「ごめんなさい」
家を出た。
もう現実は見たくなかった。
彼女が身に付けていた僕からの誕生日プレゼントのネックレスを
そっと右ポケットにしまう。
その日僕は行方不明者として、警察に届けが出されたが
僕は翌朝、見つかったらしい。
僕はもう、違う世界にいるというのに




