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第二話:お裾分けキタコレ

翌日の放課後。昨日の「死語筋力」が耳に残っていて、つい隣のドアをチラ見してしまう。

その瞬間、またしてもドアが開いた。


「おかえり! 今日も生存確認よろ〜」

「……待ってましたよね」

「うん」

「なんで正直に言うんですか」

「嘘つく理由ないから?」


お姉さんはにこにこしている。今日は薄いブルーのワンピース。


「ねぇ、今日ちょっと顔色悪くない? gkbrガクブルしてる?」

「してないです。成長じゃんとか言わないでくださいね」

「バレた? ……でも、無理はダメだよ?」


お姉さんは少しだけ真顔になって、一度ドアの中に消え、すぐにタッパーを持って戻ってきた。


「はい、これ。お裾分けキタコレ。煮物。昨日多めに作ったやつ」

「……料理できるんですか?」

「当たり前じゃん。偏見すぎて草」


タッパーは、まだ温かかった。


「感想言いなよ? それが条件。お姉さんとwktkワクテカ交換。これ基本ルールな」

「ワクテカって何ですか結局」

「ワクワクテカテカ。……ときめき、って意味」

「俺が感想言いに来るの、楽しみにしてるってことですか」

「しょうゆうこと!」


お姉さんはケラケラ笑った。


「君みたいな純粋培養高校生のことを“バブい”って言うの。覚えた?」

「バブいって言わないでください!」


顔が熱い。タッパーの温かさのせいにしておこう。絶対違うけど。


「……感想、言いに来ます」

「待ってる」


廊下に取り残されたのは、俺と、温かい煮物と、さっきの声だけだった。

そして僕はwktkの意味が、少し分かった気がした。


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