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オタク合体ロボ発進…きっとできる…かな…たぶん…  作者: 双鶴


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15/25

第15話 曲がって止まる

旧準備室。

机の上には、昨日“曲がる”ことを覚えたロボットが置かれている。


蒼

「よし! 今日は“曲がって止まるロボット”を作る日だね!」


理人

「いや、曲がって止まるとは言ってない。

 “曲がって止まるかもしれないロボット”だよ」


真

「……止まる。たぶん」


蒼

「毒島くんの“たぶん”は希望」


理人

「いや、希望じゃなくて不安だよ」


蒼はロボットの車輪を触りながら言う。


蒼

「でもさ、昨日の“曲がった瞬間”めっちゃ感動したよね。

 なんか、ロボットが“意思”持ったみたいで」


理人

「いや、意思はないだろ。

 ただの差動制御だよ」


真

「……差動制御、好き」


蒼

「毒島くん、今日も安定してるね」


理人

「毒島は“好き”の種類が多すぎるだけだよ」


蒼

「そういえば今日の現代文の先生さ、

 “人生は曲がって止まることの繰り返しだ”って言ってたよね」


理人

「言ってたな。

 “止まらないやつは壁にぶつかる”って」


真

「……ロボット、ぶつかった」


蒼

「毒島くん、それは正しい」


理人はノートを開き、

複合制御の図を描き始める。


理人

「で、曲がって止まるには“タイミング”が大事。

 曲がる → 一定時間 → 止まる、って流れを作る」


蒼

「タイミングって……なんか音ゲーみたいだね」


真

「……コンボ」


蒼

「そう! コンボ!」


理人

「いや、コンボって言うなよ……

 でもまあ、間違ってない」


蒼はArduinoを手に取り、

プログラム画面を開く。


蒼

「じゃあ、右に曲がって……

 0.5秒後に止まる、って感じ?」


理人

「そう。

 `delay(500);` のあとに `analogWrite(left, 0);`

 `analogWrite(right, 0);` で止まる」


真

「……呪文、好き」


蒼

「毒島くん、呪文じゃないよ」


理人

「いや、呪文みたいなもんだろ」


蒼はふと、今日の授業を思い出す。


蒼

「そういえば今日の音楽の授業でさ、

 “止める勇気も音楽だ”って言ってたよね」


理人

「言ってたな。

 “止まるところが美しい”って」


真

「……ロボットも、美しく止まる」


蒼

「毒島くん、それは名言」


理人

「いや名言じゃないだろ」


蒼

「じゃあ、いよいよテストするよ?」


理人

「待て! 配線確認!」


真

「……昨日、倒れた」


蒼

「毒島くんの“昨日倒れた”は重い」


理人は慎重に配線を確認し、

深呼吸して言う。


理人

「……よし。

 久保田、スイッチ頼む」


蒼

「任せろ!」


カチッ。


ウィィィィィン……!


ロボットが前に進む。


蒼

「おおおお! 今日もまっすぐ!」


理人

「じゃあ、曲がるぞ。

 “右旋回コマンド”送る!」


カタッ。


ロボットは右に曲がり――


蒼

「止まれぇぇぇぇ!!」


理人

「停止コマンド送る!」


ピタッ。


ロボットは、

くるりと曲がったあと、

その場で静かに止まった。


蒼

「止まったぁぁぁぁぁ!!」


理人

「曲がって……止まった……!

 ちゃんと……止まった……!」


真

「……かわいい」


蒼

「毒島くん!?」


理人

「いや、でも気持ちはわかる。

 なんか“お手”した犬みたいだよな」


蒼

「ロボットの赤ちゃんだよ!」


真

「……赤ちゃん、賢くなった」


蒼

「うん、賢くなったね!」


理人はロボットを見つめながら言う。


理人

「……なんかさ。

 “進む・曲がる・止まる”ができると、

 急に“ロボット”って感じするよな」


蒼

「する!」


真

「……する」


蒼

「じゃあ次は“避ける”だね!」


理人

「いや、それが一番難しいんだよ!」


真

「……でも、やる」


蒼

「やろう!」


理人

「やるか……!」


三人の声が、

初めて“曲がって止まったロボット”の横で響いた。


その音は、

“次の挑戦”の始まりだった。


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