女王学園の冒険146
メゾーレ達は荷物を全部ひっくり返して、スゥから託された秘密兵器を見つけたのだが、今度は使い方が分からない様子だった。
(しかしわからん連中だな……秘密兵器を用意してきたかと思えば、自分達が用意してきたモノの名前すら知らんとは……)
個々の能力は確かに高いが、とにかくツメの甘さが目立つ。
ダンジョンを潜り抜けてきた能力はあれど、粗の目立つ指揮体系に、チームワークはそこそこ。
有効な切り札を持っていたかと思えば使い方すらままならない。
「……未熟ですね」
ツェッペリンを庇う様に前に立つエナが一言でバッサリ切り捨てた。
「伸び代があるのは結構な事だ、成長する楽しみってもんがある……怠けなければな」
ツェッペリンが手を振ってわたわたしている五人に大声で呼び掛けた。
「おーいお前ら!ちょっといいか?」
「何よ!?見て分からない?取り込み中なんだけど!?」
「その秘密兵器の名前を教えてやる!それはディメンション・チャフグレネードって名前の兵器だ!現代のバカ共には再現不可能な戦時中の技術で造られている……俗に言うアーティファクトってやつだ!」
「アーティファクト!?」
アーティファクトの名を聞いて五人は大層驚いた。
セカイ各地で偶然見つかる第三次世界大戦の遺物、アーティファクト。
その名の通り、現行人類では再現不能な技術で造られており、研究者達が頑張って分析や解析を行っても、使い方がちょっとわかったり、運が良ければメンテナンスの方法まで判明したりする。
その形は様々で法則性は特に無く、兵器だったり日用品だったり機械技術だったり……シンプルな形だったり複雑な形だったり、どれも性能は突き抜けて高く、戦後の人類からすれば異次元の技術と言っても過言ではない代物だ。
アーティファクトは、その性質から発見されても市場には出回らず、七都市のいずれかに回収された後、専門の研究機関へと回される。
これは七大都市間の条約にも記されており、つまり普通に生きていれば先ずお目に掛かれないレア物なのだ。
「……あたし達、スゥさんにすんごいもん託されていたんだね?」
「使い方は普通の手りゅう弾と変わらねえ!安全ピンを抜いてからその辺に投げろ!どこに投げてもこの一帯は効果範囲内だ!」
恋が素直な疑問を口にした。
「ちょっと待て……なんで敵のお前が俺達にわざわざそんな事を教えるんだ?」
「アーティファクトまで用意してきたお前らに少し興味が湧いた!気が向いたから、もう少し遊んでやっても良いと思ってな!」
そうこう話している内にツェッペリンの足元までディメンションチャフが転がって来た。
そして激しい閃光を発しながら虹色に輝く細かい三角形の破片の様なものを周囲にまき散らした。
破片には実体がなく、手で触れようとしてもすり抜けてしまう。
やがてツェッペリンを覆っていた次元障壁と破片が干渉し始めると、薄い殻が剥がれる様なパリパリという音を立てながら障壁が消えていく。
「ハッハッハッハ!!バカだな!!……使わないで売っぱらっちまえば、一生遊んで暮らせる程の金が手に入ったのに」
ヘラヘラと意地悪そうな顔で笑うツェッペリンがリモコンのボタンを押すと、床が開いて5メートル程の巨大なドクロ型の機械が現れた。
頭蓋骨が大きく口を開いたコックピットになっており、すかさずツェッペリンが乗り込む。
操縦者を得た頭蓋骨は立ち上がり、巨大な人型のパワードスーツとなった。
「おあいにくさま、私、お金に困ってはおりませんので」




