女王学園の冒険145
結局、五人の攻撃は何一つとしてツェッペリンには届かず徒労に終わった。
その様子をバカにするでもなく一瞥したツェッペリンが言った。
「お前らも無事万策尽きたみてえだし、俺ぁそろそろ帰るわ……まあ気にすんな、俺を相手にした奴は皆そうなるんだ。むしろここまで辿り着けただけでも十分上澄みだぜ」
ツェッペリンが後ろを振り返ると本を読んでいるエナに声を掛ける。
「おい、撤収だ……今日の晩飯はなんだ?」
エナが本から視線を上げないままで答える。
「……今日はオムライスですね、ドールのリクエストで」
「聞いたかお前ら!俺の今日の晩飯はオムライスだぜ!早めに家に帰っちまうのは当たり前だよなあ!?」
「…………」
エナが『コイツまたテキトーな事言ってるよ』といった風の冷めた目線をツェッペリンに送るが、いつも通りツェッペリンは気にも留めない。
「あっ!そうだ!」
突然ニレが大声を張り上げた。
「今こそアレを使うべきなんじゃない!?スゥさんから貰った秘密兵器!」
「……そういえばあったわね、そんなの」
「どこにしまったかしら♪」
「そういや名前わかんねーな、アレ……なんて呼べばいいんだ?」
意外な事にツェッペリンが話に食いついてきた。
「おい、秘密兵器だぁ?……なんだよ、面白そうじゃねえか、さっさと出して見ろ」
「ちょっと待っててちょうだい、今探すから」
「あんまり待たせんなよ~?秘密兵器なんて用意してんならちゃんと使えよなあー……宝の持ち腐れだろうがよ」
そこでもないここでもないと、一行がぐだぐだ荷物をひっくり返していくと、荷物の奥からそれは出てきた。
一見すると短いバトン型の手投げ手りゅう弾の様に見える。
「どれどれ、一体何を用意してきたのやら……お?」
ツェッペリンが親指と人差し指で輪っかを作って覗き込むと、それは高性能な電子望遠鏡となった。
それを見たツェッペリンはニヤリと笑った。
「おいエナ、どうやらもう一仕事してもらう事になるぜ?」
「……は?もう帰宅後の予定を考えていたのですが??」
視線を上げたエナのリアクションは薄かったが、声に多少の驚きが混ざっていた。
彼女もまた次元防壁が突破されるとは思っていないからだ。
「まぁそう言うなよ、たまには予想外のアクシデントを楽しむのも大事だぜ?」




