女王学園の冒険138
決まれば一発で仕留められるという必殺技の準備に入った恋は目を閉じて意識を集中させる事によって自身のサイキックパワーを高めていた。
「はあああああああああああああ!!!!」
「うるっさいわね!!!もっと静かに集中出来ないの!?」
ルビーのツッコミも空しく、驚くべき事にあれで本当に集中出来ているからなのか、恋からの返事は無かった。
それを証明するかの様に恋を中心に何か得体の知れない不思議なパワーが大きく渦巻き始めているのを二人は感じていた。
「いいねぇ!ヒリついてきたッ!」
発動すれば攻撃を受けるのは自分だというのに、ヴィラは危機感を感じてテンションが上がってきたらしく、やる気を出している。
「なんかこのヒト、やる気出してきちゃってるんですけどォ!?」
「どうにも生まれつき戦うのが好きな性分でねえ!」
ニレがヴィラの突進をなんとか正面から阻むが暫しの拮抗状態の後、体勢を崩されてしまう。
ヴィラの足が止まった瞬間を狙ってルビーが火球で援護するが、それもバックステップで軽く避けられる。
「まだまだ!」
牽制の火球を後退で避けられる事を読んでいたルビーがバックステップの着地点に予め置いておく様に既に特大の火球を撃ち込んでいた。
ヴィラも咄嗟には方向転換が出来ず火球を避ける事は難しそうだ。
「へぇ、やるじゃないか」
予想通り火球はヴィラに直撃し、爆炎が巻き起こる。
「当たった!」
喜びかけた瞬間、ヴィラが爆炎の中を強行突破してきたのだ。
「あたしも身体の頑丈さには自信があるんだ!」
ヴィラの服は焼け落ちてボロボロになっており、肌も爆炎の直撃でところどころ火傷になっていたが、ヴィラの勢いは衰えない。
つまりルビーの炎を正面から受けて、ヴィラはそれに耐えたのだ。
「チッ!しぶといわね!」
このままでは現状ただのサイレンみたいになっている恋への攻撃を許してしまうだろう。
流石にルビーも焦りを感じて火球で追撃するが、一瞬で出力出来る威力には限界があり、ヴィラの足を止めるに至らない。
その時、ヴィラの背後からミノタウロス状態になったニレがタックルでリカに組み付いて抑え込もうと試みる。
「ヴモオオオオオォォォ!!!」
「おいおいなんだその姿は?まだ盛り上げてくれるのかい!?」
ミノタウロスの姿はニレがタウロス20としての能力を解放した姿。
この姿のニレならば、10メートルを超えるギガント種を片手で投げ飛ばせる程の暴力的な膂力を誇っており、並大抵の事なら全て力でねじ伏せられるポテンシャルを持つ。
本人はこの姿の醜さを嫌がって使いたがらないが、今はそんな事を言ってられない。
「オオオオオオ!」
「ヴモオオオ!!」
しかしなんと驚くべき事に、リカはこの姿のニレにすら抵抗出来てしまっているではないか。
それどころか力で押し返えされそうだ。
「力比べといこうか……」
ルビーはポンと手を打った。
「……あ、わかった、コレって『あたしに構わず敵を攻撃しろ!』ってヤツよね?……うーん、感動的だわ、ニレ、アンタの犠牲は忘れない……」
「ヴモオオオオオオ!?」
犠牲の犠という字は、我の為に羊とか牛を使うという構造をしている。
これも牛のキメラ、タウロスとしてこの世に生まれたニレの定めなのかもしれない。
ちなみにニレは全力で頭を横に振って必死に何かを否定している様だ。
「喰らえオラァ!!」




