女王学園の冒険137
威勢よく吼えてみた所で実力差が埋まる訳は無く、ヴィラの激しい攻勢に対して相変わらず状況は厳しいままで、ニレと恋が二人掛かりでも防戦一方だった。
二人の現状をより詳しく表現するならば『二人掛かりでなんとか死なない様に攻撃だけ凌いでる』といった状態だ。
オマケに二対一だというのに消耗を強いられているのは二人の方であって、対するヴィラは息の一つ乱れていない。
「おぉい、ニレ!なんとかお前一人で時間稼いでくれねえか!?」
「無理ー!見てわかるでしょ!」
「30秒もありゃいいんだ!」
「それだと多分私ミンチになってるよー!なんかアテでもあるのー!?」
「あぁ、決まれば確実に仕留められる!」
「……やっぱ今のままじゃ無理!」
「くそっ!」
八方塞がりかと思われたその時、ヴィラの死角から小ぶりな火球が数個飛んできた。
ヴィラは奇襲に動じる事なく落ち着いた様子で身を翻して火球を躱し、ニレと恋を野太刀の一振りで難なく薙ぎ払って追い払う。
火球の飛んで来た方向に目を向けると、炎の翅を展開したルビーが近寄ってくるのが見えた。
「こっちは終わったわよ!だらしないわねアンタ達、何をモタモタしてるワケ!?」
ルビーは到着するなり二人を一喝した。
いつも通りなルビーに劣勢を強いられていた二人は多少元気付けられた様子だった。
「無茶言わないでよ……お相手、相当な手練れだよ」
「うるせえなあ、今から一発で仕留めてやろうって所だってんだよ」
ヴィラは野太刀を担ぎながら、ふぅ、と一息つきながら周囲を見回した。
そして背後の壁に大きな焦げ跡を残したまま尻もちを付いて座り込む形で倒れているドールを見つけた。
「ありゃ……ドールがやられちまったのかい」
「ありがたく思いなさいよ、ちゃんと手加減してあるんだから。ちょっと焦げてるけど」
「……へえ?優しいねえ?」
「だからアンタも安心して倒れなさいよ」
「あー……恋、さっきの話、ルビーと二人ならなんとかなるかもよ?」
「は?何よ?」
「30秒だけ時間稼いでくれってさ」
それぞれが再び戦闘態勢に入った。
三対一になってしまったというのに、ヴィラは未だに余裕の態度を崩さない。
「……やれやれ、何があるのか知らないけどさ。こっちも手が抜けないって言ったろ?」
今までとは一転した、素早く鋭い踏み込み。
それは直線的に恋の方へと向かっている。
「そんな話を聞いちまったらさぁ……コッチを狙うしかないよなァ!?」
「させないよっ!!」




