女王学園の冒険132
ヴィラとニレ達がうだうだやっている頃、ルビーとマイはなし崩し的に三人組の最後の一人のちっこいやつと戦闘になっていた。
マイの顔の横を銃弾が掠めていく。
「珍しいわね、きょうび銃なんて♪」
「しかも当然の様にサバイバー貫通して来るし、あの骨董品」
ちっこい敵は余裕綽々といった様子で大口径のリボルバーに弾丸をリロードしながら答えた。
「ハッハッハァ!!このドール様のスピードに付いてこれねえみてえだなノロマどもぉ!!」
「お人形みたいな名前のクセに、本体は全然可愛くないわねぇ……」
「つか何なのあの銃?まさか本当に只の骨董品じゃないわよね?」
あらゆる遠距離攻撃に対する絶対防御装置、通称『サバイバー』
戦後の今は携帯可能で、なおかつ亜空間収納キャスターとセットで運用されるのが常識となっている。
サバイバーの発明から全ての銃火器は時代遅れの型落ち武器となり、今やマニアしか欲しがらないコレクションアイテムか野生の低級モッドを狩る道具に成り下がった。
「おめえら骨董品とバカにするがよ、そりゃサバイバーが機能していればって前提ありきの話だぜ?サバイバーがなけりゃ銃は今も有効な『武器』なんだよ!」
「有効というかウザいわ♪」
「いい加減、正々堂々と勝負しなさいよ!ビビってんの?」
「ケケケ!精々吼えてろやノロマな亀共が!言っとくがこっちの目的はお前達を倒す事じゃないんだぜえ!?」
先程エナが説明していた通り、彼女達は試験官らしい。
つまりドールが言う通り倒す事が目的ではなく、ルビー達の実力を試すのが役目という事だ。
そして挑戦者を試す方法はどうやら三人の裁量に任されているらしく、スピードを生かしたヒット&アウェイと銃による牽制がドールのやり方という訳だ。
「……ちょっとマイ、アンタなんかいい考えとか思いつかない?私はもうこの部屋毎消し炭にする位しか思いつかないわ」
やれやれをといった風に肩を竦めるルビーを見て、マイはくすくす笑った。
でも今回のはどちらかというと苦笑に近い感じだ、マイの雰囲気が相手に一見そう感じさせないだけで。
「貴方って考え方が脳筋よね♪」
「仕方ないじゃない?考えるより燃やした方が手っ取り早いんだから」
ルビーに限った話ではないがクオリア達は個々の能力が強力過ぎる為、連携よりも単独行動の方が向いている事が多い。
「諦めた方がいいんじゃねぇかぁ~?んん~?」
ドールが安全圏でリロードをしている間にマイがルビーの許に駆け寄るって耳元で作戦を伝えた。
「…………うまくいくのソレ?」
「まあ、やらないよりマシじゃない♪」
半信半疑といった表情のルビーが隣で両足を屈伸させて準備運動をしているマイに問いかけた。
「作戦通りに動くのは良いけど……そもそもアンタがあいつに追い付けないと話にならないわよね?」
「なんとかするわ……ルビーもお願いね♪」
それだけ言うと、クラウチングスタートの構えから呼吸を整えると、マイは爆発的なスピードで駆け出した。
意外な程のスピードにルビーが驚きの声を上げる。
「うわあああ!?思っていた以上に早いいい!?」




