女王学園の冒険128
最後の部屋は恐らく戦闘を考慮した大広間になっていて、部屋というよりは最早スタジアムで例えた方が分かりやすいだろう。
部屋の中心部には直径5メートル程の多面体のキューブが浮遊しており、定期的に色が変化する弱い光を放ちながら佇んでいる。
そしてキューブを守護する様に黒い服を身に纏った三人の女が立っていて、中心の人物はルビー以外の四人が面識のある人物だった。
「……来ましたか」
一行と対峙したエナが事務的に確認する様な口調で言った。
緊張感が高まる中、メゾーレが質問する。
「一体ここは何なの?貴方達は何者で、何が目的なの?」
「順にお答えしましょう、こちらにも『貴方達の勝利条件』を説明する必要がありますから……」
エナの右側に立っていた小柄な少女が口を挟んだ。
「……別に答えてやる必要なんてなくね?どっちみちやり合う事になるんだしさ」
エナの左側に立っている大柄な女があくびをしながら言う。
「あたしゃどっちでもいーや」
「……大丈夫よ、そんなに時間は取らないから」
「几帳面だねえ」
エナは軽く咳払いをしてから続けた。
「ではまず確認ですが、貴方達はジュラルバームに起こった異変を解決するためにここに来たという事でよろしいですか?」
「ええ」
メゾーレが頷く。
「では私達の背後にあるコレ…………ダンジョンコアという名前なんですが、これを破壊してください。それで街の元通りになります」
「やり合う……なんて言うからにはよ、アンタらがそれを邪魔するって事か?」
「そうです」
飽くまで事務的に答えるエナに何か違和感を覚えたルビーが問いかけた。
「じゃあアンタ達は私達の敵ってコトになるんだけど……それにしては何か変じゃない?イマイチやる気が感じられないわ」
「私達は貴方達の敵ではなく試験官という存在になります……もし貴方達がコアの破壊に失敗すれば私達は此処に留まり、次の挑戦者を待つ事になります」
つまり彼女達は能動的に動く事は出来ず、ただただ挑戦者を待ち続けるのが役割という事らしい。
「あ、そうだ……私も質問していいかな?」
「どうぞ」
「この事件って償いの日を起こした犯人、グラーフ博士が首謀者って聞いてきたんだけど、ホントなのかな?」
ニレの質問にエナはあっさりと淀みなく答えてくれた。
「ええ、よくご存じですね」
「それで本人は今どこに……?」
エナはキャスターから携帯端末を取り出して何やらぽちぽちと操作し始めたが、またすぐに仕舞った。
五人の緊張が高まる……なんせ相手は旧文明を破滅させた天才、グラーフ・フェルディナント・ツェッペリン。
一体何を仕掛けて来るのか想像も付かない。
「ドクターですが…………」
「ですが……?」
「…………まだ寝てるみたいですね」
メゾーレのツッコミが冴えわたる。
「そこはちゃんと起きてなさいよ!偉そうな事をほざいておいてからに!!!」




