女王学園の冒険51
スゥ・サイドセル逮捕作戦の最終防衛ラインにはメゾーレ・ジュラルバームの他に、それぞれ特徴的な全身鎧を着込んだ騎士が四人、控えていた。
彼等こそは騎士団の中でも精鋭揃いであるジュラルバーム家直属の近衛騎士団、その中でも更に選りすぐりの隊長達だ。
彼等もまたメゾーレと同じく、注意深く敵であるスゥを観察していた。
最初に口を開いたのは、蝙蝠をモチーフにした漆黒の鎧を纏った長身の男だった。
彼の名は吸血騎ヴァンパイアナイト。
近衛騎士団員は皆、鎧で顔を、二つ名で本名を隠している。
「小生からちょっとした提案があるのですが……ここは一つ、誰が星を仕留めるか賭けてみる……というのは如何ですかな?」
吸血騎の方を横目でちらりと見て、鼻を鳴らしたのは中肉中背で狼をモチーフにした真紅の鎧に身を包んだ血騎レッドウルフ。
「……下らん、貴様は先ず職務を全うする事を考えたらどうだ?出来るのならば、な」
「おやおや、これは失礼……ちょっとした余興のつもりでしたが、血騎殿は臆病風に吹かれてしまったようで」
「……なんだと?お前から食いちぎってやろうか蝙蝠野郎?」
二人の間に剣呑な空気が流れ始めたのを感じて、ずんぐりした赤銅色の鎧の土竜騎士スコップナイトが制止した。
「その辺にせんか二人共、仕事中じゃぞ……ま、わしは乗るがね。そんで何賭けるんじゃ?」
最後にぼそりと呟くのは夢幻騎士ビキニアーマー先輩。
何故恥ずかしげも無くビキニアーマーなのか、そして何故先輩と呼ばれているのか、それを知る者は近衛騎士団にも存在しないという、謎多き人物である。
しかし能力は高く、職務にも忠実である為、皆に一目置かれている。
「……焼き肉がいいな」
「ファッファッファッ!そいつはいい!!」
「肉は悪くないが……蝙蝠野郎と一緒に飯を食うのは御免被る」
「焼き肉は服に匂いが付くのがどうも……ステーキなら大好きなんですがねぇ」
メゾーレは虚空を見つめながら思った。
(あわねー!あわねーですわ!なんなの、このヒト達のノリ!……大体このビキニアーマー先輩って誰よ!?というか一体何!?)
ビキニアーマー先輩はともかく、今がシリアス状況である事もまた確か……今は軍団の指揮者として毅然としなければ。
事実として精鋭の近衛騎士団員達を相手にしても、スゥはじりじりとこの門へと迫ってきている。
優勢ではあるが、とても楽観視出来る状況では無い。
「総員迎撃用意!敵の生死は問いません、存分に暴れなさい!」




