女王学園の冒険49
学園都市中で大立ち回り演じながら逃げ回ったスゥは、ようやっと街の出口、西門前の広場まで到着した。
身体に大きな怪我などは無かったが、疲労が色濃く表れ、身体の随所に小さな怪我をしており服も所々破けてしまっていた。
「チッ……!これ位でどうにかなる程ヤワじゃねぇつもりだが、リソースはそれなりに削られちまったか……」
スゥが忌々し気に吐き捨てるように呟くと、通話先のシトラが心配そうに聞き返してきた。
「……かなりヤバそうだけど、姉ちゃん大丈夫だよね?」
それを聞いたスゥが呆れたように毒づいた。
「なんでお前の方が不安がってんだよ?ヤベェのはアタシだけで、お前はジュラルバームに居ねえんだから何も心配ねぇだろ?」
「……違うよ、私が心配してんのは姉ちゃんの事だよ」
「ハッ!これ位の事は今までに何度もあった、屁でもねぇ」
「だといいんだけど……敵はこの先の西門前広場にかなりの兵力を集結させてるみたい」
「アウェーだけあって向こうが一枚上手だったか……完全に誘い込まれたな」
「突破はかなり難しそうだよ」
「知ってる、だが他に道が無かった……また出費が嵩んじまうが仕方ねえ、正面からブチ破るしかねえな」
「……お願いだからちゃんと帰って来てよ」
「だから心配すんなって、アタシ達なら楽勝だ、そうだろ?引き続き頼むぜスーパーハッカー?」
「……了解」
スゥは自信に満ちた足取りでジュラルバーム脱出の最後の難関、西門前広場へと向かう。
・・・
ジュラルバームの西門前広場は門を中心に半円状になっており、片側二車線の広い道路が半円の中心である門から直線左右の三方向に伸びている。
円の内側は整然と植えられた街路樹が並ぶ公園になっており、普段は市民達の憩いの場として親しまれている。
広場の外側には道路を挟んで中心の門を向くような配置で大小様々な建物が並んでおり、一見すると中小規模の商店や飲食店が多いようだ。
今はどの建物も一般市民の避難が完了している為無人になっており、代わりに四角い大盾で武装した近衛騎士団が建物の内外にファランクスの様にズラリと並んでおり、広場を完全に封鎖していた。
建物の屋上には小型の飛竜やグリフォン、ペガサス等に騎乗したドラグーン(※空中に於ける近接戦闘に特化した新しい兵科)が網を張っている。
それらを統率するのは門の前に陣取る、一見しただけで明らかに尋常ならざる空気を纏う四人。
彼等こそ騎士団全軍の頂点に君臨するジュラルバーム家直属の近衛騎士団の精鋭達だ。
近衛騎士団には現在は十三部隊が存在していて、部隊長一人一人が二百人程度の部隊を指揮する。
その四人の近衛騎士団長の更に中心に、メゾーレ・ジュラルバームが仁王立ちで立ち塞がっていた。
(さあ、この布陣……突破出来るもんならやってみなさいよ、スゥ・サイドセルッ!!)




