女王学園の冒険46
「まぁ、そんな感じでね……君の頼みで学園都市郊外に大量展開したデコイなんだけど、君の友達の赤い子に全部燃やされて灰になったよ」
スゥが立て籠もっている体育館が遠目に見える建物の屋上で、ニレがメトと携帯電話で話していた。
「あたしもビックリしたよ、まさかルビーがあんな力を持っていたなんてさ」
「なんだ……アレが何か知らずに付き合ってたのか君は。クオリアはゲヘナと親を同じにする、言わば超存在の一つだぞ」
「うへぇ、なんだよそれ」
「しかしあの火力、是非とも取り込みたかったが……生憎アレは私と相性が悪くてね、下手に取り込むと逆に我等が歪んでしまう可能性がある……それでどうする?」
「どうするって?」
「デコイなら追加できるがどうする?という意味だよ」
「いや、いいよ。これ以上派手に動いたら二人の身が危なくなるかもしれないし……後はあたしがやる」
「そうか、くれぐれも無茶しないようにな……私はともかくトロメアが危険に晒されるのは看過出来ない」
「わかってるよ、上手くやる」
通話が終わると先程話に出ていた少女、トロメアがお盆に紅茶とクッキーを乗せてメトの居るリビングへやってきた。
「もしかして電話の相手ってニレ?」
「あぁ……恩人を助けたいらしいんだが、それがどうにもカタギの人物ではないらしくてな」
「カタギ?」
「……無害な一般人では無いという意味だよ、なんでも新月街の何でも屋……らしい」
いざ言葉にしてみると、救い様が無い程胡散臭い肩書きである。
「ニレ、大丈夫かな?」
「すまないトロメア……世間から隠れている私達は、本来このような事に協力をすべきではないのだが……」
「どうしたの?」
「……正直に言うと、好奇心に勝てなかった」
「ふふふ……気になっちゃったんだ?なんか可愛いね」
「それはどういう……」
トロメアが持ってきたクッキーを一枚、メトの口に押し込んだ。
「……どう?」
「んぐんぐ……おいしい」
「きっと大丈夫、上手くいくよ」
トロメアの言葉には何の根拠も無く、なんの助けにもならないのはメトにも分かり切っていたが、不思議と心が安らいだ。




