女王学園の冒険40
サロンの主メゾーレとクラスメイト四人はすっかりサロンの常連になっていた。
授業終わりのちょっと疲れている時間に丁度良い所に駄弁れる場所があったとして、しかもそこにおやつまで完備してあるとしたら……行かない学生がいるだろうか?いや、居ない(断言)
そんな訳で今日も今日とて、いつもの四人がサロンでダラダラしていると、恋がふと思い出した様に言った。
「そういえばお嬢(※メゾーレのあだ名)最近来るの遅くね?ニレ~お前なんか知らねえ?」
「そんなに詳しくは聞いてないけど……なんかお嬢様の『因縁の相手』が学園都市に来てるらしい……とかいう噂を耳に挟んだ程度かなあ」
「なんだよその因縁の相手ってのはwライバルかなんか?」
ここで丁度良くメゾーレがサロンにやってきた。
彼女は迷いなくツカツカとサロンの中を進むと、いつの間にか決まっていた自分の定位置の席へとどっかりと腰掛けた。
いつもより乱暴な座り方を見て皆『いつもより疲れているのかな』程度に見ていた。
話を聞いていたらしく、軽く息を吐いてからメゾーレが質問に答えた。
「……違いますわ、私が追ってるのはテロリストです」
「テロリスト?」
メゾーレの言葉に興味を引かれたのか、四人は話を聞く気になったようだ。
「超絶VIPでお嬢様のアンタが、テロリスト一体どんな因縁があるっていうのよ?」
「忘れもしない……あれは二年前、大学園祭のパトロールに参加していた時の事……」
「メゾーレちゃん、長くなりそうなら適当にはしょってちょうだいね♪」
「もう少し根気よく聞く姿勢ってもんを見せなさいよ……まあいいわ、今は私も疲れてるし、ダラダラ長話したい気分じゃないから」
「ありがと~♪」
「当時、街を上げてのお祭り『大学園祭』の最中……祭りの運営委員会に所属していた私は、たまたま街の見回りの途中でスリの現行犯に遭遇したの……その犯人を追いかけて走っていたら、たまたまそこに居合わせたソイツに足を引っかけられて転倒したわ、公衆の面前でパンツを丸出しにしてね」
メゾーレのパンツは華麗にスルーされた。
「スリの共犯?」
「いえ、それがわからないのよ……後から調べたんだけどソイツはその時、プロの殺し屋と組んで仕事をしていたらしくて……結構な人数の貴族達が殺されていたわ。私の社交界での知り合いにも何人か亡くなっている方が居たわね」
ニレがメゾーレの前に紅茶とお菓子を運びながら言った。
この時はメゾーレの言う『テロリスト』の正体がが自分の命の恩人であるなんて露にも思っていないので暢気なものである。
「確かに、そんな大きな仕事の最中に急にスリの共犯とか言われても、なんか違和感があるね。普通に考えれば目立ちたくない筈なのに」
メゾーレは話を続ける。
「その時はまんまと逃げられてしまって……それが悔しくて、後からロイヤルナイトの精鋭達を引き連れてルルイエまで遠征して、遂にソイツと一対一の決闘まで持ち込んだのよ」
「……で、また負けたと」
ルビーの言葉にメゾーレの表情が般若の様な形相へと変化した。
メゾーレは普段は見せない様な威圧的な微笑みを浮かべながら言った。
こういう表情をしている時は結構母親に似ている。
「……そうよ、だから絶対に顔面ボコボコになるまで蹴り潰してやろうと思ってるのよ」
メゾーレが携帯端末を取り出して操作すると、そのテロリストの顔写真の画像を呼び出した。
「貴方達も見かけたら教えて頂戴、これがその凶悪なテロリスト『スゥ・サイドセル』の顔よ」
あまりの不意打ちに、ニレは固まるしかなかった。




