女王学園の冒険38
一行はジュラルバーム近郊の狩場から市街地の方へ少し戻った所にあるキャンプサイトに来ていた。
街の近くという理由から安全を考慮してサイト内に自然は無く、ぱっと見た感じでは炊事場とトイレがあるだけの空き地でしかない。
現代では自然豊かな場所には危険なモッドが多く生息している為、一般人はこういった場所でしかキャンプを楽しめなくなった。
しかし一見利点が無いように思えるキャンプサイトにも意外と利用者は多い。
こんなご時世なのにどうしても外でバーベキューがしたい物好きとか、都市間を移動する仕事をしている者は意外と重宝していたりする。
そして学園都市ジュラルバームに限ればクエストで遠征する学生達のパーティもよく利用する。
学園都市もそういった事情を把握しており、キャンプサイトの予約の際に学生証を提示すると学割が効くようになっていたりする。
・・・
命知らずの借金返済&単位取得野郎で構成されたメゾーレチームも午前中の狩りを切り上げてキャンプサイトまでやって来ていた。
「さあさあ、お昼ご飯でえ~す!」
何故かテンションの高いニレに反応して各々が好き放題に喋る。
「うっさ」
「お昼は準備するから大丈夫って聞いたけど……メニューは何かしら?」
「……この面子だと安心して任せれるヒトが居ないのですけれど……本当に大丈夫なの?」
わいのわいのうるさい三人をニレが宥めた。
「まぁまぁまぁ……で、今日のランチなんですけど、なんと恋ちゃんが用意してくれましたイエァ!」
「あー……その、なんだ、今回は俺に付き合ってくれたっつー面もあるから、自分なりに礼をしたかったというか……」
珍しく歯切れの悪い恋を、三人が目を皿の様に丸くして見つめていた。
「こんなん俺のガラじゃねーのは自分でもわかってるが……」
「「「アンタ料理出来たの!?」」」
「出来るわ!孤児院育ちを舐めんじゃねえッ!!」
「意外だよね~、あたしも最初に聞いた時はビックリしちゃったよ……恋ちゃんて案外いいお嫁さんになりそう」
「チッ……なんとでも言いやがれ」
恋はバツの悪そうな顔でキャスターを起動させると、収納してあったタッパーを次々と取り出してテーブルの上に並べだした。
「これは……」
「……サンドイッチね」
「サンドイッチなら容器にもこだわって欲しかったわねぇ、可愛いバスケットに入れるとか♪」
「それな~……まあ恋ちゃんっぽいといえばそうだけど」
「うるせえなあ……バスケットなんて洒落たモン、俺が持ってる訳ねーだろうが」
恋はこんな事を言っているが、実は孤児院を出る時にラヴィオラに持たされたお古のバスケットが一個家にある。
しかしそれは恋の自己イメージを護る為に今回使われる事無く、お留守番となっている。




