女王学園の冒険35
「そういえば……ルビーのアブノーマリティって発火能力だったよね?水場で戦っても大丈夫?不利になったりしない?」
今更と言えば今更な質問に呆れたらしく、ルビーは大きな溜息を吐いた。
「はぁ~……気付くにしても遅すぎない?今更過ぎるわ」
「いやぁ~ごめんごめん」
「別に問題ないわ、この程度の川なら干上がらせるのも訳無いし……やってみせましょうか?その方が石も拾いやすいかもね」
「いやいいよ、焼けた石拾うの大変そうだし」
「冗談よ……常識人ぶってるけどアンタも大概変人よね」
「はは、バレたか~……あ、またお客さんだよ」
ニレの視線の先には本日五匹目となる巨大ワニが五人の居る方へと走ってきているのが見える。
ルビーはワニを一瞥すると特に慌てる様子も無く、ふん、と軽く鼻を鳴らした。
「……丁度いいわ、そこで見てなさいよ。炎を使った戦い方が何も相手を燃やすだけじゃないって事、教えてあげる」
ルビーは前後に大きく足を開いて拳法の構えをとると、気合と共にワニを迎え撃つべく突進する。
ルビーの背中から噴出する様に生えた青い蝶の翅はルビーの生み出した炎で、爆発的な推進力をルビーの身体に与え、そして推進力はそのまま攻撃力へと転換される。
そこから繰り出される拳法はルビーの華奢な体躯からは想像も付かない様な破壊力を生み出すのだ。
ルビーの拳で宙に浮かされたワニの巨体は、上空からの蹴り下ろしで川の水面へ叩きつけられ、川底を大きく陥没させてあっという間にワニの命を刈り取ってしまった。
ニレはその様子を見て拍手を送った。
「おぉ~!凄いパワーだね」
「炎を身体の中に生み出せば、こういう事だって出来るの……よっ!と」
ルビーはワニの死体をサッカーボールの様に蹴って、ワニの死体が積まれている場所へ飛ばした。
「ふぅ……しっかし、次から次へとコイツ等も飽きないわよねえ。勝てもしない相手にバカの一つ覚えみたいに突っ込んで来るんだから」
「そりゃ仕方ないよ、野生化したとはいえモッドはヒトとか人工物に対して本能的に攻撃する様に遺伝子にプログラムされてるんだよ」
「ホント、旧世代の人類ってバカよねえ……こんなもんばっかり生み出してるから滅ぶんだわ」
ルビーはやれやれといった風に手を広げて軽く首を振った。
「ルビーって基本的に厳しいよね~」
「そーお?でもこれは自業自得でしょ?戦争の為に好き勝手に生き物改造しまくって、戦争が終わったら今度は自分達が改造した生き物達が野生化して困ってますなんて、間抜けの極みよ」
「まぁ確かにね……じゃあたしはそろそろ他の所に行くから、その調子で頼むよ」
「はいはい」
そう言ってニレはワニの死体を置いてある方へと歩いて行った。




