女王学園の冒険34
「という訳で今回のクエストの目的地、メコン川に到着~」
車に積んであった荷物を降ろしてから、ニレは車そのものをキャスターに収納した。
この空間収納のおかげで現代では駐車場要らずである。
慣れない土地に車で出かけて行って、駐車スペースを探して回ってうろうろする必要はもうない。
「事前に伝えたと思うけど、一応今日やる素材集めについておさらいしておくね」
「「「「オナシャース」」」」」
「まず今日集める素材のメインターゲットは河原に落ちている天然の宝石でーす。色々調べた結果、街から近場で収集出来る素材の中では一番換金率が良いし、やる事は石を拾うだけだから初心者にもとっつきやすいからね」
「ちょっとまって」
「質問は挙手でおねがいしまーす」
言いかけた言葉を遮られたメゾーレが心底ウザそうに顔を顰めた。
「…………はい」
「ハイお嬢様ァ!」
なんで今日のニレはこんなにテンションが高いのだろうと思いつつも、それを言い出したら話が脱線しそうなので無理矢理スルーした。
「私達、宝石の鑑定なんて出来ないんだけど、それはどうするの?」
「あ、それは私が鑑定士の資格持ってるんで大乗仏教です」
「あら便利ね、流石スーパーアルバイター♪」
「でも皆で拾った石、一個一個見てたら効率悪くないかしら?」
「そこも大丈夫。確かに等級とか値段は初心者には判別が難しいんだけど『その石が宝石かどうか』だけを判別するなら割と簡単なんだよね……あ、そうそう、コレ渡しておくね」
そう言うとニレはあらかじめ用意しておいたペンライトを全員に配った。
「拾った石に光を当てて透かして見ると石の中にある宝石の結晶が光を反射してキラキラ光るんだよ。まぁそれでもハズレが混ざっちゃうだろうから、そこは数でカバーかな」
「なるほど、それで鑑定する数をある程度絞れるのね」
「なんか宝探しみたいで思った以上に面白そうじゃねーか……うっし!一発で借金返せちまう様なデッカイのをゲットしてやらぁ!」
マイは何かに気付いた事があるらしく、小さく挙手した。
「はい♪」
「はいどーぞー」
「そんな楽しそうな場所なのに、誰も居ないのはどうしてかしら?」
「あーそれねー……」
ニレが質問に答えようとした時、川の方から派手な水飛沫の音が聞こえた。
その場に居た全員が音のした方向を向くと、そこには五メートルはあろうかという巨大な鮭がばっちゃんばっちゃんと盛大な水飛沫を上げながら、水深の浅い川を遡上しているではないか。
まるでブルドーザーの様な大迫力の進撃は、川の中で待ち構えていた二十メートルを超える巨大なワニの顎によって、あっさりと止まってしまう。
鮭も食われまいとビッタンビッタン大暴れするものの、ワニの牙から逃れる事は敵わず、そのまま食べられてしまった。
「見ての通りここってⅭ級の危険地帯なんだよね……因みに、あのワニと鮭は今日のサブターゲットかな」
「そういう事……面白そうじゃない♪」
「石拾うのに飽きたらワニをボコろうぜ!」
「あのワニから素材が取れるって事は、消し炭にしちゃ駄目よね……能力的に殲滅なら得意なんだけど」
「考えてみれば当たり前の事だけど、色んなものにそれぞれ違った価値があるのねぇ」
沸き立つ野蛮人一行の中でメゾーレだけが一人感心していた。
育ちが良いだけあって宝石類には馴染みがあるメゾーレだったが、それが何処にあったものかなんて考えた事もなかった。
「お嬢様、イケます?」
「誰に聞いてるのよ……ワニの肉、お母様が好きなのよね。せっかくだから何匹か狩ってお土産にしましょ」
「なぁ、ワニってうめえのか?」
「おいしいよ~ちょっと鶏肉と似てるかなって感じ」




