女王学園の冒険33
ある休日、メゾーレを含めたサロンの五人は素材収集のクエストへ出発した。
五人の中で唯一車の免許を持っていたニレがレンタカーを借りて、それで他の四人を目的地まで乗せていく事になった。
「貴方がウチに来た時、使用人達が『伝説のスーパーアルバイターが来た!』なんて噂話をしてたのは知ってたけど……ホントになんでも出来そうよね」
「そんな噂流れてたんですか?というか流石に何でもは出来ませんよ、履歴書に書いた事はちゃんと出来ますけどね」
「ふーん……あんた、他にはどんな資格持ってるのよ?」
「えー……乗り物だけで言うと、普通車中型大型特殊と……あ、そうだ小型だけだけど船舶も持ってるよ」
「……それって実質殆ど全部の乗り物に乗れるって事にならない?」
「なにそれすげぇじゃん」
ニレは照れくさそうに、たははと笑った。
「旧世界の頃はちゃんとした教習所とかもあって、法律も厳しかったらしいけど……今は結構アバウトだから皆が思ってるよりは楽だよ。下手でもとりあえず動かせればおっけーみたいな所があるし」
確かにクローニングでヒトは造れる様になったが、なんせ『ヒト』だ。
七大都市協定で製造は厳しく制限されているし、製造者は製造したヒトに対して人道的な扱いをしなければならないし、自由や権利も保障しなければならないと決められている。
だもんで安価な労働、面倒くさくてやりたがらない労働の為だけにヒトを造ると、逆にコストが嵩んで損をする。
そして刷新されたセカイには旧世界では考えられない様な、新発見の資源なんかもある。
どこの街もそれを確保しようと躍起になっているし、そもそもヒトが生活している資源なんて無限に必要になるものだ。
そういう訳で新しいセカイは常に人材不足、資源不足なのだ。
「そういえばニレって歳いくつなの?」
誰からともなく、話の流れで自然に出た何気ない質問だったが、現在のセカイではその趣旨やニュアンスが旧世界とは異なる。
キメラ技術の普及により人造人間が造れる今では、どんなヒトでも見た目通り年齢ではないからだ。
「……うーん。ちょっと色々あって生まれた頃は時間の経過とか気にしていられなかったから曖昧なんだけど……今年で五才位かな?というか皆はいくつなの?」
最初に答えたのはルビーだった。
「あたしは償いの日が起きた直後に生まれたから今年で十二ね」
続いてマイが答えた。
「私は一才とちょっとね……もしかしたら一番若いかもね♪」
次に恋が答えた。
「俺は自分がいつ生まれたのか知らねえんだが、書類上は孤児院に世話になり始めた頃に生まれた事になってるから……二歳位か?」
最後にメゾーレが答えた。
「私は学園都市が出来た後だから今年で七歳ね」
皆が自分の年齢を答え終わると車内は微妙な沈黙に包まれた。
途端に車内が騒がしくなる。
「ウソでしょ!?いくらなんでもバラバラ過ぎない!?」
「今がこういうセカイだってわかっちゃいたけど、凄いよねコレ」
「十年生きてるヤツが少数派かよ」
「今のセカイで十年生きるのって大変よね♪」
「自分の年齢なんて気にしてるヒトの方が珍しいでしょ、ティファちゃんなんてあの見た目で12才だし……」
「……ティファちゃんって、もしかしてケテルの教皇『ティファレト・タイタニア』の事?」
「そうだけど……」
「スゲーな、教皇様と知り合いかよ!?」
「……これは貴方達全員に言っときますけど、私はその教皇様と並び称される七大都市のジュラルバーム家なんですからね?あんまりなめた態度をとらない様に」
メゾーレの釘を刺す言葉に、その場にいた全員が声を揃えて言った。
「「「「いや全然なめてないっスよ?」」」」
「……貴方達って、ホントは結構仲良いでしょ?」
メゾーレは呆れた様な諦めた様な顔をしていたが、実は大して気にしていなさそうな様子だった。




