女王学園の冒険31
女王学園時計塔最上階ジュラルバーム家専用サロン。
ドッジボール中に発生してしまった凶弾によってこの部屋がバチクソに破壊されてから早二週間。
そして部屋の修復が完了したのがつい先日……にも関わらず、四人は再びこの部屋に訪れていた。
部屋の主、メゾーレ・ジュラルバームが努めて平静を装いながら言った。
「常識的に考えれば……貴方達はこの部屋を再び訪れようとは思わない筈ですけど?」
多少は反省しているのか、少しバツが悪そうにケーキを貪り食っている恋が反応する。
「俺はちょっと相談したい事があってな……他の連中は知らんが」
毒のある笑顔でケーキを貪り食っているヤンデレロリ巨乳、マイ・アズマットがニコニコしながら毒を吐く。
「ずるいわよねー?権力者の娘だからってこんな便利な部屋を独り占めなんて。なんか不公平でムカつくから嫌がらせ半分で来ちゃった♪」
さも当然の権利の如くケーキを貪り食ってるのは鉱物生命体の学級委員長クオリア・ルビー。
「別にいいじゃない、許可は貰ってるんだし……それにアンタ達って見張ってないとすーぐ面倒事起こしそうで心配なのよね」
既に全員分の紅茶を淹れ終えて、タッパーにケーキを詰めながら自身もまたケーキ食っているうジュラルバーム家のアルバイト使用人、ニレ・タリスマン。
「お嬢様、多分このヒト達って正論とか常識でヒトの言う事聞くタイプじゃないですよ」
「知り合って日が浅いですけど、それはなんとなくわかっています。はぁ~……どうしてこんな事に……」
「そんで相談なんだけどよ、単刀直入に言うと金の稼ぎ方の事なんだよ」
「まぁそうよね、アンタ借金を返済していかなきゃいけない訳だし」
「喧嘩以外取柄なさそうなゴリラは世渡り大変そうよね~♪」
「そこのボインゴキブリの言う事はムカつくが、その通りだ。腕っぷしにはそれなりに自信があるが、この街に来て日も浅ぇし、働いた経験とか役に立ちそうなスキルも無ぇ……正直どうしたらいいのかわからねえんだ」
「お金の稼ぎ方ねえ……無難にアルバイト頑張るしか無いんじゃないの?」
「それは確かにその通りなんだが……なんせ額が額だ、それなりに稼ぎてぇ」
「実入りのいいバイトねぇ……そんな都合の良い話、ホイホイあるもんじゃないでしょ」
「じゃあ体でも売ったら?ゴリラさん♪」
「あ?やんのかゴキブリ?」
「あぁん?」
半ばヤケクソでケーキを自分の口の中に押し込みながらメゾーレが助け舟を出した。
「……ニレなら何か知ってるんじゃないかしら?このヒト、スーパーアルバイターとして使用人達の間でも有名みたいだし?」
「「「すぅぱぁあるばいたぁ~?」」」
「なにその頭悪そうな名前」
「ちょっと!私が言ってるんじゃないわよ、勘違いしないで!……おほん。とにかく資格やら免許をやたら沢山持ってて、なんでも出来るみたいな話だけど……」
タッパーにケーキを詰め終えたニレが顔を上げた。
「まあ、そうですね。確かに資格とか免許とか沢山持ってますけど……うーん、金策かあ。もうちょっと話を聞いてから考えたいですね」
それからニレは恋に労働経験や特技、好きな事嫌いな事出来る事出来ない事といった事を聞いていった。
「まとめると……学業と両立出来て、それなりに実入りも良く、身体を売らずに、無資格未経験でも出来る仕事……って所かな?」
「概ねそんな感じだな」
「……もしかして世の中を舐めてんのかしら?」
「俺がバカで世間知らずなのはわかってる、だからこうしてダメ元で相談してんだよ」
「そうだなあ……じゃあ『クエスト』なんとどうかな?」
「くえすと?」




