女王学園の冒険26
バギャアアアアアアア!!!!ギュラララララララィ!!!!!
突如としてサロンの静寂と窓ガラスをぶち破り、暴れ回る破壊的な何かが部屋の中に侵入してきた。
凄まじい速度で部屋中を跳ね回るそれは、軌道上にある家具や壁や床に圧倒的な破壊の暴虐をまき散らしながら、尚も止まる気配が無い。
「ほんぎゃああああああああああ!!!一体何なんですの!?またママの敵!?ジュラルバーム家を亡き者にしようとする賊が!?」
しかしそこは腐ってもジュラルバームの娘、一旦情けない悲鳴こそ上げはしたものの、瞬時に頭を切り替えた。
素早くソファーの裏に身を隠しながら、暴れまわる侵入者を観察する。
(てっきり爆弾か何かかと思いましたけど……コレってもしかしてただのボール?)
いやいやそんなバカな、とメゾーレは自分の考えをすぐさま否定した。
もしアレがただのボールだとしたら、これだけ跳ね回り続けているのは物理的に不自然だし、衰えの見えない破壊力にも説明が付かない。
只のボールの筈なのに何故か殺気まで纏っている始末。
結果、観察だけでは分からない事ばかりな事が分かった。
「アレが何にせよ、なんか段々腹が立ってきたわ……そろそろ大人しくしてもらいましょうか」
メゾーレはすぐに襲われても対処出来るように腰を落として身構えながら、ゆっくりとソファーの影から移動した後、開けた場所に陣取った。
「さあ!きなさい!!!」
メゾーレが臨戦態勢に入ると、その殺気に反応して無軌道に部屋の中を暴れ回っていたボールが、まるで意思を持っているかの様に明らかに反射角度を変化させて、虎視眈々とメゾーレを狙う動きに変わった。
対してメゾーレは部屋の中央から動かず、両足を軽く開いてステップを踏みながら気を張った。
これでどの角度から襲われてもすぐに迎撃する事が出来る。
「…………」
いやに長く感じる睨み合い?の後、ついにボールが攻撃を仕掛けた。
部屋の天井の角を利用した死角からの攻撃、頚椎を斜め上から狙う必殺の一撃。
並のヒトならば理解出来ても反応出来ないだろうが……しかし勿論、彼女は違う。
全身のバネを総動員しての天井付近まで飛び上がり、オーバヘッドキックから更に半回転して見事ボールを蹴り飛ばした。
しかしボールは更に壁からバウンドしてメゾーレに襲い掛からんとしている。
だがそれはメゾーレの計算通りの軌道だった……そうなる様に蹴ったのだ。
「どっせえええええいッッ!!!」
回転の勢いを殺さず、そのまま身体を回転させながらのダイレクトボレーシュート!
その瞬間、メゾーレの靴に仕込まれたキャスターが起動して、白銀の脚甲が瞬間装着された。
パイルバンカーを内臓した特注のメゾーレ・ジュラルバーム専用の脚甲『ドゥヴォワール』だ。
二段目の蹴りの際、ドゥボワールから長さ一メートル程の杭が飛び出してボールを貫通し、ボールは破裂した。
「ふぅ、全く……なんだったんでしょう?」
あまりに突然の出来事に怒りよりも困惑してしまうメゾーレだった。




