女王学園の冒険22
忌まわしき第三次世界大戦の開戦、それから償いの日の終戦を経て、それまで人間主体だった地球の文明圏はヘルメス・タリスマンとグラーフ・フェルディナント・ツェッペリンという二人の天才によって造られた究極のキメラ、ゲヘナによって絶滅した。
終戦後、キメラ化した人間も試験管から製造されたキメラも皆等しく『ヒト』となり、地球文明は再出発した。
世界を激変させた第三次世界大戦と償いの日だが、その中で特に大きな事柄として『人類の生態の変化』がある。
人間は通常、有性生殖で十月十日の妊娠期間を経て誕生し、それから20年かけて成人となる。
それ以降は成長が止まり、徐々に体が衰えていき、60歳を過ぎる頃には老人となって、健康に生きて100年生きるかどうかの辺りで寿命を迎えて死ぬ。
それまで不変だったその常識が変わってしまった。
キメラ化によって遺伝子汚染されたヒトからは絶対に純粋な人間が生まれる事は無い。
ヒトとなった者達は皆、人間の限界を優に超える高い身体能力と免疫機能を持ち、キメラ化させる獣性細胞によって多種多様な生物の遺伝子と融合した結果、ヒトは成長速度の個体差が激しくなってしまった。
一部を除いて基本的に皆成長速度が速くなり、成人するまで20年も待つ必要は無くなった。
それだけならまだしも人工的に造られたヒトは試験管内での睡眠学習によって、読み書きや計算といった一般常識を既に知っている状態で誕生する為、戦後特に大きな変化を強いられた分野の一つに教育がある。
それまで主流だった年齢による学年の区分けに意味が無くなってしまったので、学校に所属した年月ではなく一定の単位を取得する事によって卒業するという形式が主流となった。
『女王学園』
拷問女王マリィ・ジュラルバームの電撃結婚からすぐに、独裁だったジュラルバームは学園都市としての方向へと舵を切った。
女王学園はジュラルバームが荒廃した世界のあちこちから生き残ったあやゆる分野の知識人達を招聘して作られた戦後初の学園である。
女王学園と名前がついてはいるものの、創設者はマリィ・ジュラルバームではなく、その夫クロード・ジュラルバームとなっている。
学園都市ジュラルバームには現在、非公式のものも含めると大小合わせて8673の学校と研究機関があるが、最も巨大なものが女王学園である。
巨大とは言ったが、戦後の人口減少の影響もまだ強く残っているので、女王学園の規模はあまり大きくはない。
全校生徒を合わせても15000名、それらが10のキャンバスに分かれている。
未だに人類が再建途中という理由もあって、入学試験が飛び抜けて難しいという事も無いが、戦後最初の学園である事や条件さえ満たせばジュラルバームに存在する全ての学校に転校して学ぶ事が可能という魅力があり、それが女王学園のネームバリューをグンと引き上げておいる。
金持ちの親は、是が非でも我が子を女王学園へ入学させたいと考えて、入学に際し多額の寄付を行うようになった。
そんなヒト達の親心と見栄で貴族社会で学園都市ジュラルバームはまわっている。
・・・
拷問女王マリィ・ジュラルバームの一人娘、メゾーレ・ジュラルバーム。
元科学都市ノアから逃げ出した実験体にして、トロメアとメトの同居人兼ジュラルバーム家のアルバイト使用人、ニレ・タリスマン[※入学の為にトロメアの苗字を使わせてもらう事になった]
協力な超能力を持った鉱物生命体、クオリアシリーズの一人、炎を操る拳法使いクオリア・ルビー。
性欲処理用のキメラとして新月街で造られた人造キメラ、復讐のロリ巨乳のスーパーヤンデレ、マイ・アズマット。
新月街下層のスラムにある孤児院うさぎの家からやってきたサイキックヤンキー、獅子群恋
この五人が今年の春から女王学園に入学し、めでたく同じクラスになる事になった。




