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クロノ・レクイエム  作者: クリスチアン・ディアス
エピソード1:[革命]
39/40

第38章:【本部への侵入】

この新しい章をお待ちいただき、ありがとうございます!


楽しんで読んでいただければ幸いです。今後の章は通常の更新形式に戻ります。

「こっちだ!」

「家を一軒一軒捜索しろ!」


「目の高さにある皮膚は、一片たりとも残すな!」

兵士たちが、まるで何度も繰り返してきたかのように、密集隊列を組んで前進する中、命令が飛び交った。地面を踏み鳴らすブーツの音。金属がぶつかり合う音。マスクの奥に隠された息遣い。

一蹴りで扉が軋み、崩れた。

ガシャン。

屋内から叫び声が上がった。

短く。

窒息したような。

深淵部隊の兵士が銃を構え、躊躇なく引き金を引いた。弾丸は、まるで行き先を知っているかのように空気を切り裂いた。家の中の影が次々と倒れていった。

言葉はなかった。

迷いもなかった。

ただ……処刑。

窓から、小さな影が忍び込み始めた。

ブーンという音。

駆除者たち。

人間の頭ほどの大きさのロボットたちが、正確な動きで浮遊していた。その小さな砲塔が回転し、死体以上の何かを探しているかのように隅々までスキャンしていた。

まるで……欠陥を探しているかのように。

兵士の一人が手を上げた。

全員が動きを止めた。

沈黙は完全ではなかった……だが、彼の声が重みを持つには十分だった。

「聞け!」――彼は力強く言った。「本部の地下へ突入しなければならない!」

彼は首をわずかに回し、全員が聞こえていることを確認した。

「我々の任務は変わらない。呪われた手を手に入れろ……どんな犠牲を払おうとも。」

低いざわめきが隊列を走った。

承諾か。

それとも諦めか。

「」

その中を……二人の人影が、誰の目にも留まらず歩いていた。

フードを深く被り。

足取りは落ち着いた。

速すぎず……遅すぎず。

ヨイチとイェレナ。


「ふむ……」――陽一は唇をわずかに動かすだけで呟いた――。「これは……危険なほど興味深い展開だな。」

間。

「ユズリハはどこにいるんだ?」

ジェレナは答えなかった。ただ、通信機を慎重に持ち上げ、手で少し覆った。

ボタンを押した。

「ユズリハ、応答しろ。ここは生死を分ける状況だ。仲間の一人を失った……ここから脱出しなければならない。」

彼女の声は小さかった。

抑制されていた。

「以上。」

かすかな雑音。

そして――

「ユズリハです。心配しないで、私の子供たち!」

その口調は……あまりにも穏やかだった。

「最高の暗殺の師匠にふさわしい計画があるのよ!」

陽一は一瞬、目を閉じた。

(「…もう始まったか。」)

「ちょっと待って……服を着替えなきゃ。この着物はボロボロだし……血まみれだし。」

陽一は思わず反応してしまった。

「一体何をしようってんだ、ユズリハ?」――彼は、抑えきれない苛立ちを込めて囁いた――。「これだけの兵士やロボットがいる中で、こっそり動くなんて無理だぞ」

彼は、近くを浮遊して通り過ぎる駆除者の一人を横目で見た。

(「……多すぎる」)

「これ以上、事態を複雑にするつもりか?」

向こう側から、湿った音がした。

何かが引き抜かれるような音だ。

「私には私のやり方があるの」――ユズリハは、ほとんど楽しげに答えた。

その音が繰り返された。

ナイフが死体から引き抜かれる音だ。

「頑張れ、みんな。できるだけ早く本部へ近づいてくれ。」


彼の声のトーンはわずかに低くなった。

「だが、気をつけろ。」

ヨイチとイェレナは、兵士たちの間を、うつむいたまま歩き続けた。

「あの小さなロボットなら、避けられそうだが……」

一匹の駆除ロボットがゆっくりと頭を向けた。

彼らの2メートルも離れていないところを通過した。

止まることはなかった。

そのまま通り過ぎていった。

「……だが、奴らの武器には水銀弾が装填されている。」

陽一は喉を鳴らした。

「もし検知されたら……」

沈黙。

「ゲームオーバーだ。」

さらに数歩進んだ。

ゆっくりと。

慎重に。

そしてその時――

「あ……」――ゆずりが突然言った――。「もう一歩も歩かないで。」

ジェレナは凍りついた。

「なぜ?」

一瞬。

何もない。

そして――

世界が爆発した。

ドーン。

周囲の建物は、最初から空洞だったかのように千々に砕け散った。コンクリートの破片が飛び散った。窓ガラスが割れた。地面が揺れた。

兵士たちが叫んだ。

駆除者たちは不規則に動き出し、再計算を始めた。

ヨイチはかろうじて身を隠すことができた。

(「……一体何だ……?」)

空気は粉塵で満たされた。

騒音で。

混沌で。

「走れ! 粉塵の中を突き抜けろ! 今すぐ!」

ユズリハの声が、ナイフのように混沌を切り裂いた。

そして彼らは従った。

陽一とジェレナは、ほぼ同時に短剣を抜き放った。カウントも合図もなかった……ただ、躊躇すれば死ぬと分かっている時に湧き上がる、あの衝動だけがあった。

二人は煙の中へと飛び込んだ。

世界は灰色に染まった。

ぼやけて。

鈍い音、不完全なシルエット……すべてがゆっくりと動いているように見えたが、実際にはあまりにも速く過ぎていた。


陽一は兵士の背後に現れた。

考える間もなかった。

腕が勝手に動いた。

短剣が喉を後ろから前に貫いた。

熱かった。

速かった。

相手は反応する間さえなかった。

倒れる前に、彼を放した。

彼は進み続けた。

次だ。

今度は上から。

外骨格で跳躍し、彼の上に飛びかかり、止まることなく刃を突き刺した。衝撃で二人はよろめいたが、陽一はすでに次の動きへと移っていた。

周囲では、銃弾が不規則に飛び交っていた。

兵士たちは影へ、物音へ、何もない場所へと撃ちまくっていた。

駆除者たちは明確な目標もなく霧の中を漂い、センサーは塵に惑わされ、再計算していた……遅すぎる。

イェレナは地面を走っていなかった。

壁を駆け上がっていた。

カチッ。

カチッ。

外骨格が精密に密着し、不可能な角度での動きを可能にしていた。彼女の体は常に落下しているかのように前傾していた……しかし、決して地面には触れない。

彼女は人影を捉えた。

計算した。

飛び込んだ。

短剣が先に降り注いだ。

鋭い一撃で兵士の頭部に突き刺さった。確認する暇もなかった。彼女の足はすでに再び壁に触れ、彼女を前へと押し出していた。

もう一人。

目の前。

相手が彼女に気づく間もなかった。

刃は首にまっすぐ突き刺さった。

鮮やかな一撃。

効率的。

体が後ろへ倒れ込む頃には、ジェレナはすでに通り過ぎていた。

煙がゆっくりと散り始めていた。

そして、それと共に……


混乱もまた。

駆除機たちは徐々に安定し始めていた。

一台が向きを変えた。

別の機体が高度を調整した。

小型機関銃が狙いを定めた。

探している。

検知している。

陽一はそれを見る前に感じた。

背中に走るあの感覚。

あの瞬間、気づくのだ……

自分に向けられていると。

彼はわずかに振り返った――

(「…くそっ。」)

そして煙の中に入って以来、初めて……

誤差の余地は消え去った。

「家の中へ! 今すぐだ!」

陽一の声は、自分が思っていたよりも大きく響いた。

それが良い考えかどうか考える暇はなかった。

彼は走った。

そしてその瞬間――

駆除者たちが反応した。

彼らの頭が鋭く振り向いた。

機関銃が火の玉を吐き出した。

その音は耳をつんざくほどだった。

水銀弾の雨が空気を切り裂き、壁を打ち砕き、金属を貫き、その道のりのすべてを粉砕していった。

ヨイチは飛び込んだ。

イェレナも同様だった。

彼らがガラスを突き破って中へ飛び込んだ瞬間、窓が炸裂し、彼らは暗く、廃墟と化したバーの中に落ちた……少なくとも、そう見えた。

だが、そんなことはどうでもよかった。

銃撃は止む気配を見せなかったからだ。

弾丸は壁を紙のように貫き、瓶やテーブル、柱を打ち砕き……すべてが粉々に爆発した。

「動け!」――陽一が叫んだ。

二人はひっくり返ったテーブルの間を駆け抜け、まるで追いかけてくるかのような弾丸をかわした。

ジェレナが振り返った――

しかし、足が滑った。

彼女は転んだ。

一瞬。

ほんの一瞬。

だが、それで十分だった。

駆除者の一人が、割れた窓の前に降り立った。

彼らの銃は発砲を止めた。

装填している。

彼は振り返った。

彼女を真っ直ぐに狙った。

時間が……奇妙に感じられた。

遅く。


ヨイチは来なかった。

来られなかったのだ。

(「……いや……」)

そして――

バン。

駆除機が空中で爆破された。

金属片が火花や煙と共に飛び散った。

静寂。

一瞬の。

ヨイチとジェレナは窓の方を見た。

外――

別の屋根の上――

彼女がいた。

ユズリハ。

ライフルを肩に担ぎ、落ち着いて装填していた。

彼女の服装は以前とは違っていた。

膝元まで届く長い茶色のコートは、縁に赤い縁取りが施されていた。その下には、明るい色のシャツ、暗い色のネクタイ……そして、風になびくスカート。ぴったりとした黒いブーツが装いを引き締めていた。

丸い眼鏡には、周囲の灰色の光が映っていた。

そして、その微笑み……

それは安堵ではなかった。

自信だった。

「どう?」――彼女は少し首を傾げて言った――「私の新しいスタイル、気に入った?」

ヨイチは、自分が息を止めていたことにも気づかずに、息を吐き出した。

「助けてくれてありがとう、おばさん……」

間。

「でも、大事なことに集中しようよ、いい?」

ユズリハは片方の眉を上げた。

「おばさんなんて呼ばないでよ、ピエロの仮面。」

だが、本当に腹を立てているようには聞こえなかった。

ただ……役柄として。

彼女はライフルを少し下ろし、周囲を素早く見渡し、まだ空中に漂う煙の中でのあらゆる動きを分析した。

彼女の表情が変わった。

より真剣なものになった。

「出てこい!」

叫んだわけではなかった。

だが、その声には疑いの余地がなかった。

外では……

残りの殲滅部隊がすでに射線を再調整していた。

そして今回は――

外すはずがない。

「計画を再調整しよう……この虐殺者たちに尻を撃たれる前に。」


ユズリハは、まるで死が目前に迫っているかのような様子もなく、ライフルを肩に担ぎながら口を開いた。彼女の指はすでに動き出し、隠されていた二本の刃を取り出していた。

ジェレナは周囲から視線を外さなかった。

「計画は?」

ユズリハは両手の刃を目の前で掲げた。

彼女の表情が一変した。

決意。

抑えきれない怒り。

「走る」

それ以上の説明はなかった。

次の瞬きをする間に――

彼女は消えた。

文字通り。

彼女がいた空気がわずかに震えた……そして、何もなくなった。

駆除者たちは反応が遅れた。

一人が爆発した。

次にもう一人。

そしてまた一人。

ドーン。ドーン。ドーン。

まるで目に見えない何かが、彼らを内側から引き裂いているかのようだった。

火花、金属、破片が四方八方に飛び散る。

兵士たちは叫び、虚空に向かって発砲したが……見るべきものは何もない。

狙うべきものなど何もない。

その時――

ユズリハが再び現れた。

まるで生き物であるかのように、駆除者の一人を背後から抱きしめていた。

機械は震え、武器は制御不能に回転し、無作為な方向に発砲していた。

そして彼女は……

微笑んでいた。

普通の微笑みではない。

どちらかといえば……それを楽しんでいるような。

「何を待っているの?」――彼女は、どこか場違いな小さな笑い声を交えて言った。「走って!」

ヨイチとジェレナは顔を見合わせた。

一瞬。

それで十分だった。

言葉は不要だった。

二人は動いた。

走り出した。


彼らはバーから飛び出し、外骨格の推進力を利用して、破壊されたビル群を登りながら本部へと向かった。道は不安定で、亀裂や塵、瓦礫だらけだったが……彼らは止まることはなかった。

“”

後ろ……

ユズリハは駆除者をより強く抱きしめた。

「これで終わりだ……」

彼女は短剣を掲げた。

突き刺す準備ができた。

しかし――

彼女は動きを止めた。

何かが。

遠くに。

屋根の上で。

彼女の視線が変化した。

鋭くなった。

「ん…?」

彼女は武器をわずかに下ろした。

「また一人…?」

そこに。

立っている。

微動だにしない。

一人の兵士。

緑のマント。

背中には弓。

戦場にいる者にしては、あまりにも静かだ。

あまりにも……意識的すぎる。

風がマントを揺らしていた。

だが、彼は動かなかった。

ユズリハは目を細めた。

久しぶりに……

楽しそうには見えなかった。

なぜなら、彼の何かが……

他の者たちとは違っていたからだ。

すべてが真っ暗になった。

音はなかった。

空気もなかった。

ただ……何かが今にも壊れそうな、そんな感覚だけがあった。

そして、ユズリハの声。

遠くから。

だが、はっきりと。

「ふむ……どうやら、強力な誰かが訪ねてきたようね……」

少しの間。

まるで、気に入らない何かを観察しているかのように。

「これはまずい匂いがするわ」


◇◆◇


世界が突然戻ってきた。

騒音。

足音。

荒い息遣い。

イェレナとヨイチはすでに本部の前に立っていた。

あるいは、その残骸の前だった。

壁にはひびが入り、建物の一部は崩れ落ちていた……それでも、建物は立っていた。まるで完全に崩れ落ちることを拒んでいるかのように。

二人は立ち止まらなかった。

中へ入った。

走って。

その変化は瞬時だった。

外は戦場だった。

中……

そこは別世界だった。

彼らの目の前で空間が突然広がった。

広大だ。

あまりにも広大だ。

高い柱。

闇の中に消えていくような天井。

構造物の残骸……割れた展示ケース、倒れた彫刻、空っぽの台座。

美術館。

かつてはそうだった。

彼らの足音が響き渡った。

空虚な響き。

「こりゃ巨大だ!」――ヨイチは思わずそう口にした。

その声が反響した。

一度。

二度。

三度。

そして……

再び静寂が訪れた。

だが、それは普通の静寂ではなかった。

まるで誰かに見られているような、そんな静寂だった。

イェレナは返事をしなかった。

彼女の視線は動き回っていた。

分析するように。

隅々まで。

影の一つひとつまで。

(「広すぎる……隠れ場所が多すぎる……」)

その中では空気が違っていた。

より冷たい。

より重苦しい。

まるでその場所が、何かを……ずっと昔から、秘めているかのように。

陽一はさらに一歩踏み出した。

彼のブーツの音が、その空間全体に反響した。

「地下室って、一体どこにあるんだ……?」

彼はその言葉を言い終えなかった。

何かが変わったからだ。


周囲の環境ではなく。

感覚の中でのことだった。

まるで建物そのものが……彼らがそこにいることに気づいたかのように。

イェレナは足を止めた。

「……私たち、一人じゃないわ」

声に出して言ったわけではなかった。

ほとんど。

だが、十分だった。

そしてその瞬間――

自分の足音の反響……

それが唯一の音ではなくなった。

その場にそぐわないような声が、静寂を切り裂いた。

「ああ、さっきも言ったけど…子供を何人か捕まえて…臓器ブローカーに売り飛ばそうか。」

低く抑えた笑い声。

何気ない。

まるで他の何気ない話題を話しているかのように。

「15歳のあの子、俺がもらってもいいか? めっちゃいい体してるぜ。」

「バカ…あれは商品だ、俺たちのものじゃない。」

陽一は胸の奥で何かが締め付けられるのを感じた。

それは恐怖ではなかった。

別の何かだった。

もっと……汚い何か。

もっと重い何か。

隣にいるジェレナは表情を変えなかった。だが、彼女の指先がわずかに硬直した。

二人は、見られることなく中を覗けるように、ほんの少しだけ開いたドアの陰に隠れていた。

(「やっぱり…」)とジェレナは思った。

(「もし彼らがもうここにいるなら…地下室への入り口も見つけているはずだ。」)

彼女の表情はさらに厳しくなった。

(「時間を無駄にしている。」)

ヨイチは彼女を横目で見た。

そして、常識に反して…少し微笑んだ。

「最高のアイデアがあるんだ。」

イェレナは返事をしなかった。

それはすでに悪い兆候だった。

「見て、覚えておけ。」

彼女が止める間もなく――

ヨイチは外へ出た。

彼はドアの前に立ち、身をさらけ出した。

「おい、そこの! 誰だ!?」

二人の兵士は即座に武器を構えた。

ヨイチは彼らに向かって歩き始めた。


ゆっくりと。

足を少し引きずりながら。

まるで本当に怪我をしているかのように。

「お、お願いです…!」――彼の声は震え、切実だった――。「助けてください! 私は父親なんです…子供が二人いるんです…行方不明なんです!」

兵士の一人が眉をひそめた。

「俺に何の関係があるんだ?」

ヨイチは、まるで絶望しているかのように視線を落とした。

「報酬として女を差し上げます! 私には……サン・マリアの別の地域に売春宿を経営していて……お願いです! 何でも差し上げます!」

沈黙。

二人の男は顔を見合わせた。

あの種の沈黙……あまりにも多くのことを物語っている。

「おい……」――一人が言った――。「よく見てみろ。」

彼はヨイチを頭からつま先まで観察した。

「俺たちの分隊の制服を着ているぞ」

もう一人は納得していない様子だった。

「信用できない。見たことないな」

「でも考えてみろよ、兄弟!」――最初の一人が、歪んだ笑みを浮かべて食い下がった――。「女をくれるんだぞ!」

ため息。

迷い。

そして――

決断。

「ちっ……いいだろう。」

彼らは近づいた。

二人で彼を支え、歩くのを手伝った。

陽一は、必要以上に彼らに寄りかかりながら、抱えられていくのを許した。

「ありがとう……!」――彼は、声を震わせながら言った――。「本当に……ありがとう……」

彼らは歩き始めた。

その足音が、広大な空虚な空間に響き渡った。

陽一はかろうじて顔を上げた。

「ねえ……本部地下室がどこにあるか知ってる?」

二人は少し身構えた。

「何のために知りたいんだ?」

「その……」――彼は気まずそうに笑った――「そこに俺の武器があるんだ……まるで自分の子供みたいに大事にしてるんだ……」


「君って変な奴だな」

「一緒に地下室へ探しに行こう」

「いや、やめて!」――陽一は素早く答えた。「場所を教えてくれればいいんだ……」

「歩けないくせに、なんでそんなにこだわるんだ?」

その瞬間。

まさにその時。

小さな隙。

陽一は演技をやめた。

右腕がゆっくりと腰へと下がった。

指が短剣に触れた。

(今だ。)

予告なしに――

突き刺した。

右隣の兵士の脇腹へ。

刃はすっと入った。

深く。

男は反応する間もなかった。

あえぎ声。

驚き。

痛み。

その瞬間――

陽一は体をひねり、左腕で相手の顔面へ一直線に一撃を放った。

乾いた音。

残忍な一撃。

その衝撃が部屋に響き渡った。

偽装は破られた。

そして沈黙は……

再び危険なものへと変わった。

一撃で男は床に倒れ、意識が朦朧とし……荒い息を漏らしていた。

陽一は時間を無駄にしなかった。

身をかがめ、服の襟首をつかんで、男を自分の方を見上げるようにちょうどいい高さまで持ち上げた。

「さあ、言ってみろ……」――その声にはもはや「絶望した父親」の面影はなかった――「このビルの地下室が一体どこにあるんだ?」

兵士は喉を鳴らした。その目は震えていた。

「ただ……ただ二階へ上がってください!」――彼はどもりながら言った――「あ、あそこにエレベーターが……地下へ連れて行ってくれます……もう放っておいてくれ!」


一瞬の沈黙。

ヨイチは彼をじっと見つめた。

彼の言葉を信じる価値があるかどうかを、見極めているかのように。

「ありがとう」

そして、それきり――

彼を床に叩きつけた。

衝撃は鋭かった。

気絶させるには十分だった。

死んではいない。

だが、死にかけだ。

陽一はしばらくじっと立ち尽くし、普段より少し荒い息をついた。それから、その感触を消し去れるかのように、服で手を拭った。

立ち上がった。

振り返った。

ジェレナが後ろに立っていた。

彼を見つめていた。

驚きではない。

正確には違う。

どちらかといえば……見極めているようだった。

「さっさと行こう」――彼はそう言い、視線をそらした――。「そんな目で見るな……気まずくなる。」

◇◆◇

エレベーターは低いブーンという音と共に下降した。

――4階。

ドアが開いた。

空気が変わった。

より重く。より……腐敗したような。

目の前には、長い廊下。真っ直ぐに伸びている。両側には無数の扉が……だが、すべてが覆い尽くされていた。

血。

死体。

あまりにも多く。

まるで誰かが、こここそがすべてを終わらせるのに最適な場所だと決めたかのように。

「一体ここで何が起きたんだ……?」――ヨイチは呟いた。

ジェレナが先頭に立ち、腕を避け、次に脚を避け、そしてもう見分けようとも思わない何かを避けて進んだ。

彼女はわずかに身をかがめ、死体のひとつを観察した。

「我々の仲間には見えないな」

ヨイチは短く笑った。

「それならなおさらいい」

二人は歩き続けた。

足音は今や違っていた。より湿り気を帯びて。より重く。


やがて、彼らはある扉の前にたどり着いた。

二人は一瞬、顔を見合わせた。

ヨイチが扉を開けた。

……

暗闇。

完全な暗闇。

そこは普通の部屋ではなかった。

そこは……虚無だった。

漆黒。

光そのものを吸い込んでしまうかのような、そんな深い闇。

それでもなお――

そこには何かがあった。

形。

物体。

もっとたくさん。

積み重なり、散らばり、まるで誰かが無造作に放り投げたかのようだった。

そして、その中心には――

ガラスの台座。

空っぽだった。

ヨイチは一歩踏み出した。

そして、理解した。

「くそっ! 遅かった!」

彼の声は闇の中に消えた。

イェレナは何も言わなかった。

ただ見つめていた。

分析した。

(「……これは普通じゃない。」)

二人はその場を歩き回り、死体の間を慎重に縫うように進んだ。

その時、ヨイチは足を止めた。

ポケットに手を入れた。

原稿を取り出した。

イェレナは彼の方へ顔を向けた。

「何してるの?」

「ここで、こんなことを読んだんだ。」

彼は素早くページをめくった。

「もしこれが本当に我々の未来を予言しているなら……それを使わなければならない。」

彼は深く息を吸った。

そして読み始めた。

「ヨイチとジェレナは、完全な闇に包まれた部屋に入る……その宇宙の魂そのものと同じくらい暗い……」

彼の声の反響が、静寂と混ざり合った。

「……しかし、彼らの周りからは依然として血が噴き出し続ける……どの隅であれ、そこは常に血で満たされている……」

イェレナは彼を遮らなかった。

「……ヨイチは原稿を取り出し、その言葉を朗読する……」

間。

「……あの死体の下……永遠の希望の光が見出されるだろう。」

沈黙。

重苦しい沈黙。


「それだけ?」――ジェレナが尋ねた。

ヨイチは原稿を下ろした。

「ページはそこで終わっている」

彼は辺りを見回した。

死体。

闇。

空っぽの台座。

「つまり……最も理にかなっているのは、これらの死体を一つ一つ調べることだろう」

ジェレナは顔を上げた。

辺りを見渡した。

目に見える壁はなかった。

明確な境界線はなかった。

ただ……闇が広がっているだけ。

死体が転がっているだけ。

「こ……ここは広大だわ」

彼女は感嘆しているようには聞こえなかった。

むしろ……居心地が悪そうだった。

なぜなら、そんな場所では――

何かを探すこと……

それは単に難しいだけではない。

それは……別の次元のことだった。

それでもなお――

それが彼らにできる唯一のことだった。

「時間は十分ないけれど……」――ヨイチは果てしない闇を見つめながら呟いた――「一つだけ有利な点がある。ここまで戦う必要はなかったんだ。」

彼はまだこわばった顔を手で撫でた。

「ユズリハとは話したか?」

ジェレナは軽く首を振った。

「まだ……」

彼女は通信機を取り出し、口元に当てた。

「こちらジェレナ。ユズリハ、私たちは地下室の中にいる。でも『呪われた手』は……」――彼女は周囲を見回し、喉を鳴らした――「……何百もの死体の下にいる。彼女を見つけるには時間がかかりそうだ。以上。」

1秒。

2秒。

雑音。

そして――

「素晴らしい。情報ありがとう……敵の士官候補生。」

……

ジェレナの目が大きく見開かれた。

それはユズリハの声ではなかった。

別の声だった。

男の声。

冷たい声。

ヨイチは即座に反応した。

「おい、おい!どうしたんだ?」

通信機が再び鳴った。


「武器を構えろ。軍はあそこへ向かう。」

その後に訪れた沈黙は……重苦しかった。

彼らが言ったことそのもののせいではない。

それによって示唆されることのためだ。

上へ。

屋上へ。

緑のマントをまとった男は、ユズリハの首根っこをつかんで、まるで重さなどないかのように持ち上げていた。

彼女の足は地面に触れていなかった。

息遣いは荒かった……それでもなお――

彼女は微笑んでいた。

「子……たち……」――彼女は苦しそうに言った――「『手』のことは忘れて……この場所をすべて吹き飛ばしたほうがいい……」

彼女の声はわずかに震えていた。

「『手』と一緒に本部全体を爆破して!」

男は反応しなかった。

ただ彼女を見つめるだけだった。

「お前は喋りすぎだ」

そして彼女を地面に叩きつけた。

衝撃は凄まじかった。

空気が圧縮された。

ユズリハの体は軽く跳ね返った後、動かなくなった……少なくとも、そう見えた。

しかしその時――

何かが空気を切り裂いた。

素早く。

激しく。

男の手――

爆裂した。

肉片と血が飛び散った。

その音は乾いていた。

決定的な音だった。

そして一瞬……

すべてがスローモーションになった。

男は顔を向けた。

そこへ。

空中に。

血にまみれて。

フラッシュバック。

彼の二本の短剣は、まだ滴り落ちる暗い残骸と共に輝いていた。

彼の呼吸は荒かった。

彼の体は……明らかに調子が悪かった。

だが、彼の目――

それは生きていた。

以前よりも。

彼は降りてきた。

ゆっくりと。

まるでその瞬間が彼のものであるかのように。

そして、彼は微笑んだ。


ただの笑顔ではない。

もっと深い何か。

もっと……個人的なもの。

「お前の戦い……」

間。

彼の足が地面に触れた。

「……それは、俺の戦いだ。」

二人の間を風が吹き抜けた。

そして初めて――

緑のマントの男は……

完全に自分をコントロールできているようには見えなかった。

緑のマントの男は動じなかった。

血にも。

痛みにも。

フラッシュバックにさえ。

彼はゆっくりと頭を向けた……まるで、そのすべてを以前にも見たことがあるかのように。

彼の視線は、ユズリハがいた場所に注がれた。

空っぽだ。

遺体はない。

痕跡もない。

何もない。

一瞬。

静寂。

そしてその時――

彼の背後で。

動きが。

微細な。

的確な。

ユズリハ。

まだ生きていた。

まだ立っていた。

呼吸は乱れ、体はわずかに震えていた……だが、その眼差しは依然として揺るぎなかった。手にした短剣が微かな光を放ちながら、男の首めがけて一直線の弧を描いて降りていく。

(今だ……)

今回は笑みなどなかった。

ただ、決意だけがあった。

刃はあと数センチのところまで迫っていた――

だが、何かがおかしかった。

男は反応しなかった。

体を完全に振り向くことさえしなかった。

ただ、口を開いた。

「遅かったな」

……

空気が変わった。

ユズリハはそれを感じた。

手遅れだった。

一撃は本来あるべきように命中しなかった。

目に見えない何かが、その軌道をほんのわずかにそらしたのだ。

短剣はマントをかすめた……だが、肉には触れなかった。

その時、男は振り向いた。

素早く。


彼の冷たい視線が、彼女の視線と交わった。

そして初めて――

彼は兵士には見えなかった。

まるで……何か別のもののようだった。

「興味深い」――彼は呟いた。

ユズリハは一歩後ずさった。

恐怖からではない。

本能からだった。

(「……これは普通じゃない」)

数メートル先で、フラッシュバックは短剣を握りしめた。

体が痛んだ。

息をするたびに、戦える状態ではないことを思い知らされた。

それでも――

彼は動いた。

なぜなら今……

これはもはや単なる戦いではなかったからだ。

それは、三人とも完全には理解できていない何かだった。

そしてそれこそが……

最も危険なものであった。


(第38章 終わり)



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