表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロノ・レクイエム  作者: クリスチアン・ディアス
エピソード1:[革命]
40/40

第39章:【秘術の物質】

この世界の終わりが始まる。

「くそっ! マジか!? なんで全部爆破しなきゃいけないんだ!?」

陽一の声が暗闇に響き渡り、彼は死体の間を駆け抜けていた。彼の手は止まることを知らなかった。ベルトを調べ、包みを剥ぎ取り、手に入れるために何に触れなければならないかなど、一切気にしなかった。

C4。

次から次へと。

ジェレナは彼の横を、同じくらい素早く、同じくらい冷徹に走っていた。顔など見ない。役に立たないものは何一つ見ない。

「もう『呪われた手』を手に入れているはずだったのに」彼女はペースを落とすことなく言った。「でも、これだけの死体がある中で……今さらそれを探すなんて正気の沙汰じゃないわ」

彼女は血まみれの壁に爆薬を押し当てた。

カチッ。

「それに、軍が追いついてきている」

もう一つの爆薬。

カチッ。

「俺たちが手に入れられないなら……奴らも手に入れられない」

ヨイチは兵士の死体から別の爆薬を剥ぎ取りながら、乾いた笑いを漏らした。

「安っぽい慰めには聞こえるけど……その言葉、受け取るよ」

彼は柱の方へ移動し、震え始めた手でC4を固定した。

「『呪われた手』を破壊したらどうなるか、俺たちにはさっぱり見当もつかない。」

間。

彼は周囲を見回した。

死体が山積みになっている。

乾いた血……そして、まだ乾ききっていない血。

「それに……」――彼は呟いた――「なんでここにはこんなに死体があるんだ?」

彼の声は少し小さくなった。

より真剣な口調で。

「まるで……互いに殺し合ったみたいだ。」

イェレナは黙り込んだ。

疲れのせいではない。

……認識のせいだ。

彼は再び死体たちを見つめた。以前のように、障害物としてではなく……証拠として。

「これに一番近いのは……」――彼は呟いた――「『狂気の部屋』だ」

ヨイチは片方の眉を上げた。

「それって、良いことなのか?」

「いいえ」――彼女は率直に答えた――。「でも、これは厳密にはそれとは違うわ」

彼女は死体のそばにしゃがみ込み、傷跡を観察した。

「もっと……制御されている。まるで『手』を守るために特別に作られた領域のように」

沈黙。

重苦しい沈黙。

「つまり……」――彼女は続けた――「誰かが『手』を奪ったということよ」

ヨイチは固まった。

「……そして、制御を失ったの」

ジェレナは軽く頷いた。

「不安定になった。そして、結局、全員を殺してしまった……自分が死ぬまで」

ヨイチは息を吐いた。

「なるほど……」――彼は辺りを見回した――。「かなりひねくれた話だけど、納得できる」

間。

「じゃあ……もし俺たちがそれを手に入れようとしていたら……」

彼は言葉を続けなかった。

だが、その問いは宙に浮いたままだった。

「そう単純な話じゃないわ」――ジェレナが答えた――。「自動的に手に入るわけじゃないの。」

彼女は立ち上がった。

「でも……確かに……すごく注意が必要ね。」

彼らが何かを言い終わる前に――

ドーン。

本部の正面玄関が、上から激しく開かれた。

声。

大勢の。

「入って、入って!」

「逃がすな!」

ヨイチは顔を上げた。

「……友好的な訪問客だ。」

彼は再び遺体を見渡し、最後にもう一度確認した。

苛立ち。

「悪い知らせだ……起爆装置は見つからなかった。」

イェレナは答えなかった。

彼女の視線は台座に釘付けになっていた。

あの青みがかったガラス。

宙に浮いている。

無傷のまま……あの大混乱の真っ只中に。

「……いい考えがある。」

ヨイチが反応する間もなく――

彼女は走り出した。

彼は台座へと飛びつき、左手でそれを掴んだ。ガラスの冷たさが、電撃のように腕を駆け抜けた。

彼はナイフを掲げた。

「この領域を破壊する方法を思いついた!」

そして、それを突き刺した。

上階。

兵士たちはエレベーターで降りてきて、武器を構え、隅々まで点検していた。

「見逃しは許さないぞ!」

彼らは進んだ。

一室ずつ。

黒い部屋まで。

足を止めた。

「…一体何だ…?」

何もない。

死体だけだ。

「くそ…逃げたな。」

一人が後ずさり始めた。

「捜索を続けろ!」

だが、もう一人は動かなかった。

「おい…」

彼は指差した。

「あれは何だ?」

台座。

まだ宙に浮いている。

だが今――

何かが突き刺さっている。

ナイフだ。

「それは秘術の品だ……」――彼は呟いた――「だが……そこに何があるんだ……?」

彼らは一歩近づいた。

ガラスがきしんだ。

ひびが入った。

そしてもう一つ。

やがて無数に。

青い光がひび割れの間から漏れ出し始め、ますます強くなり、鮮やかになっていった。

空気が震えた。

音がした。

ガスが漏れ出すような音。

甲高い。

不快な。

兵士たちは周囲を見回した。

死体。

C4。

壁。

すべて。

彼らの目が大きく見開かれた。

「……逃げろ。」

「逃げろ! 罠だ!」

彼らは振り返った――

だが、もう手遅れだった。

――

下へ。

世界が砕け散った。

爆発は、この領域のまさに中心で始まった。

青。

炎ではない。

煙でもない。

何か別のもの。

爆風は地下から地表まで全てを貫き、建物をまるで紙のように引き裂いた。

柱が崩れ落ちた。

壁が崩れ去った。

空気そのものが裂けるようだった。

ただ聞こえるだけの轟音ではなかった――

体で感じるほどの轟音だった。

まるで地震のようだった。

まるで何かが……現実から引き剥がされたかのようだった。

本部は巨大な青いエネルギーの柱となって爆発し、空へと舞い上がり、周囲をすべて照らし出した。

そして一瞬――

すべてが静寂に包まれた。

瓦礫が降り注ぎ始める前に。

その衝撃は物理的なものだけではなかった。

まるで……世界が足元をすくわれたかのようだった。

フラッシュバック。ユズリハと緑のマントの男は衝撃波に巻き込まれた。空気そのものが二人を後ろへ押し返し、まるで重さなどないかのように地面から浮き上がらせた。

煙が後から押し寄せた。

濃密な。

激しい。

ユズリハは空中で回転し、屋根の上に落下した。何度も転がり、ようやく止まると、再び吹き飛ばされないよう片手を瓦に突き立てた。

視界は遮られていた。

ただ灰色。

ただ騒音。

(「あの秘宝を爆破したのか!?」)

彼女は立ち上がった。

苦しそうに。

煙が薄れ始めた……ほんの少しだけ。

そして、彼女はそれを見た。

目の前。

かつて本部があった場所――

そこにはもう何もなかった。

ただ虚無……そしてその虚無の上に――

一つの物体。

巨大な。

球体。

青みがかった……白が混じり、まるで生きているかのように。まるで呼吸しているかのように。空に浮かび、周囲の空気を歪ませていた。

ユズリハは固まった。

初めてのことだった……

即座に返答できなかった。

(「……あの……秘術の物質……」)

彼女の声は小さかった。

信じられないという様子で。

「宇宙の封印を破ったの!?」

彼女の頭の中で、点と点があまりにも速く繋がり始めた。

(「あの台座……」)

彼女の瞳がさらに見開かれた。

「あれは封印だった……」

彼女は喉を鳴らした。

「私たちの宇宙を……隔離し続けている封印。」

風が変わった。

また。

より強く。

より……方向性を持って。

遠くで――

世界のあちこちで――

手。

大地から突き出ているあの巨大な構造物……まるで誰かが空をつかもうとして、途中で手が届かなくなったかのようだった。

それらが動いた。

同時に。

四つすべてが。

その掌が掲げられた。

狙いを定めて。

球体へと。

そして――

光。

それぞれの掌から、一筋の光線が放たれた。

強烈な。

凝縮された。

まるで……意識を持っているかのような。

それらは空を切り裂き、雲を貫き、距離を……すべてを突き抜けていった。

そして、その物質へと向かった。

四本の光線が命中した。

同時に。

その衝撃は静かではなかった。

それは爆発だった。

球体は振動し、放電を放ち、それは空気そのものにひび割れのように広がっていった。

しかし、それは壊れなかった。

完全には。

光線は一つになり始めた。

つながり始めた。

まるで……それを封じ込めようとしているかのように。

あるいは書き換えようとしているかのように。

空はもはや空ではなかった。

今は別のものになっていた。

通信機が鳴った。

強烈だ。

切迫している。

「一体何が起きてるんだ!?」

声ははっきりしなかった。

誰の声か分からなかった。

皆の声かもしれない。

ユズリハはすぐには答えなかった。

なぜなら、初めてのことだったから……

計画がなかったのだ。

ただ見つめていた。

空に浮かぶあのものを。

そして、あることに気づいた――

今、自分たちが成し遂げたこと……

それは勝利ではなかった。

それは……決して触れてはならない何かを開いてしまったことだった。

アメリアは足を止めた。

迷いではなかった。

それは……反応だった。

彼女の視線は空の球体に釘付けになった。まるでその中に何かが彼女を呼んでいるかのように。

そしてその時――

彼女の皮膚が裂けた。

何の予兆もなく。

外部からの暴力もなく。

まるで内側から何かが外へ押し出そうとしているかのように。

一秒ごとに……

新たな裂け目が。

黒く。

彼女の血が噴き出した。濃厚で、暗く……ほとんど不自然だった。普通の血のように流れ落ちるのではなく、まるで体から離れるのを躊躇っているかのように、ゆっくりと滑り落ちた。

しかしアメリアは叫ばなかった。

後ずさりもしなかった。

何もしなかった。

ただ……見つめていた。

その少し上の方で、マークは建物の残骸の中を走っていたが、彼女を見て足を止めた。

彼の表情が一瞬で変わった。

(「秘儀の物質?一体何が起きたんだ…!?」)

彼の視線はアメリアへと向かった。

分析するように。

計算している。

(「『呪われた手』と繋がっている…」)

彼は歯を食いしばった。

(「もし『呪われた手』が消え去れば…追うべきものは何もなくなる…だろう?」)

だが、何かが腑に落ちない。

何もかもが腑に落ちない。

アメリアは衰弱していなかった。

制御を失ってもいなかった。

(「……苦しんではいない。」)

彼の瞳孔が収縮した。

(「……進化している。」)

その考えは、爆発よりも強く彼を打ちのめした。

(「もし、あの手が欲しかったわけじゃなかったとしたら……?」)

彼の眼差しは冷たくなった。

鋭い。

(「もし、それを破壊させたかったとしたら?」)

彼は思い出した。

その遅さ。

その間。

その「過ち」。

(「……すべては意図的なものだったのか?」)

彼の呼吸は荒くなった。

「……この獣は……」

間。

「賢い。」

別の場所——

フラッシュバックが窓を突き破った。

廃墟となった建物の中に落下する彼を取り囲むように、ガラスが炸裂した。

彼は転がった。

止まった。

立ち上がった。

皮膚の切り傷が焼けるように痛んだが、彼は気にも留めなかった。

彼の意識は別の場所にあった。

(「秘術の物質…?」)

彼は横へ少し血を吐き出した。

(「まだ、そんなものが存在するのか?」)

彼は壁に片手を付き、体を安定させた。

(「あれはただの遺物じゃなかった…封印だったんだ。」)

外を見渡した。すべてを染め上げる青い光の方へ。

(「我々の宇宙を守り得る封印……」)

眉をひそめた。

さらに深く。

(「それなら……」)

空を見上げた。

球体。

稲妻。

空気に走る亀裂。

(「他のマテリアたちは……どうなった?」)

沈黙。

不快な思いが頭をよぎった。

(「……破壊されたのか?」)

顎に力がこもった。

(「これが最後の封印なのか?」)

その時、彼は思い出した。

空を。

さっきの。

太陽を。

赤く染まっていた。

(「……なるほど。」)

彼は一瞬、目を閉じた。

そして目を開けると――

そこには怒りが宿っていた。

「一体何をしたんだ……?」

間。

「バカな二人め……」

だが心の奥底では……

誰がやったかなど、もうどうでもよかった。

なぜなら今起きていることは……

そう簡単に元に戻せるものではなかったからだ。

フラッシュバック、ユズリハ、そしてマークの視線が、同時に外れた。

それは偶然ではなかった。

それは……本能だった。

地平線の向こうで、何かが変わっていた。

その瞬間にそぐわない何かが。

そして――

すべてが真っ暗になった。

――

静寂。

――

何もない空間の真ん中で……

そこにいたのは彼女だけだった。

サラ。

立ち尽くしていた。

一人きりで。

彼女の腕は、前に掲げたままわずかに震えていた。手には深い切り傷が走り、血がゆっくりと滴り落ちていた……あまりにも濃く、あまりにも暗い血が。

一滴一滴落ちる音……

それだけが、存在していた。

彼女の呼吸は乱れていた。

その瞳……

揺らいでいた。

そこには恐怖があった。

本物の恐怖。

隠そうとしても隠せない、そんな恐怖。

「特別な取引をしてほしいの……」

彼女の声はわずかに震えた。

だが、彼女は言葉を止めなかった。

「君が望むだけの血を、すべてあげる……」

間。

沈黙はさらに重くなった。

「その代わり……」

彼女の指が硬直した。

「……アメリアを殺すのは、君自身だ。」

囁き。

命令。

懇願。

「こっちへ来て……」

空気が震えた。

「金継ぎ。」

パキッ。

空から稲妻が落ちた。

普通の稲妻とは違う。

これは……降りてきた。

まるで導かれているかのように。

地面に激突した。

そして、周囲の世界が砕け散った。

地面が裂けた。

その黒い空間の見えない壁が、ガラスのようにひび割れた。

そして、その衝撃の中心で――

何かが動いていた。

生まれたわけではなかった。

現れたわけでもなかった。

再構築されたのだ。

ゆっくりと。

破片から。

ひび割れから。

……破砕から。

一つの姿。

巨大な。

まず、一本の腕が現れた。不規則な線に覆われ、まるで黄金の傷跡が皮膚を貫いているかのようだった。

次に、腕。

そして胴体。

その体のあらゆる部分は、砕かれたかのように見えた……そして不完全な形で修復されたかのようだった。

しかし、その「修復」は……

輝いていた。

まるで、それぞれの亀裂を封じる黄金の血管のように。

金継ぎ。

その体は、自身の裂け目を隠そうとはしなかった。

むしろ、それを誇示していた。

完全に身を起こした。

武器を掲げた。

巨大で歪んだ剣。まるで何度も再構築されたかのように。その刃は滑らかではなかった……だが、それゆえに、より危険な印象を与えた。

その周囲を包むオーラは黒かった。

濃密だった。

触れるものすべてを吸収するかのように。

そして――

彼女は顔を上げた。

その瞳が開いた。

そこには怒りなどなかった。

狂気などなかった。

ただ……目的だけがあった。

彼女は前を見つめた。

その空間を貫くように。

まるでその先を見通せるかのように。

まるで、すでに標的がどこにあるかを知っているかのように。

アメリア。

空気が再び震えた。

サラは思わず一歩後ずさった。

その瞬間、彼女は何かを悟ったのだ――

彼女は武器を呼び出したわけではなかった。

すでに存在していた何かを呼び出したのだ。

命令など必要としない何か……

その存在が果たすべき役割を、ただ果たすために。


(第39章 終わり)



第39章をお読みいただき、ありがとうございます。もし気に入っていただけましたら、ご自身の判断で評価をお願いします。


また、もしよろしければ、改善点についてコメントを残していただけると幸いです。大変参考になります。ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ