第37章:【温かい調査】
【作者よりお知らせ】
いよいよ「革命編」、最終局面へ突入です!
ここから物語は一気に加速し、これまでの伏線が収束していきます。
いつも訪問してくださる皆様、本当にありがとうございます。
現在コンテストに参加中ですので、この展開を面白いと感じていただけましたら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】評価やブックマークで応援をお願いいたします!
それでは、第37話をお楽しみください。
外骨格の金属が、跳躍するたびにきしむ音を立てた。
ジェレナが真っ先に縁に到達し、摩耗したコンクリートに両手をかけながら屋根へと飛び上がった。フラッシュバックがすぐ後ろに続き、動きは重かったが正確だった。ヨイチは……少し時間がかかった。ようやく登り切ると、彼は膝をつき、まるで空気が足りなくなったかのように荒い息をついた。
上空では風が激しく吹き荒れていた。風は塵や灰を運び……そして、混沌の後にだけ訪れる、あの居心地の悪い静寂を運んできた。
最初は誰も口を開かなかった。
皆、考え込んでいた。あるいは、考えようとしていた。
フラッシュバックは腕を組んで、まるで遠くのどこかに答えが書かれているかのように、地平線を見つめていた。
「よし……」――彼はようやく、いつもより少し張り詰めた口調ながらも、力強い声で言った。「できるだけ早く本部へ向かうのがいい。あの忌々しい手を入手して……そして、ここから生きて脱出する。できるだけ早く。」
そう言われると、単純なことのように聞こえた。
あまりにも単純すぎる。
「待、待って……」――ヨイチの声が、自身の荒い息遣いの合間に漏れた――。「あの紙の場所へ……行ったほうがいい……」
フラッシュバックは首をかすかに傾けた。
「なぜだ?」
ヨイチは喉を鳴らした。脚が明らかに言うことを聞かないのに、無理やり体を少し起こした。
「もしその原稿が……未来を予言できるなら……それなら……」――彼は言葉を切った。まるで思考を整理することが、このビルを登ることよりも難しいかのように――「……それなら、本部へ近づくべきかどうかわかるはずだ」
風が再び吹き始めた。今度はもっと冷たかった。
「その紙には……兵士たちは指示に従え……あの方向へ行け……と書いてあった」彼は歯を食いしばりながら続けた。「……まずは確かめてみるべきじゃないか?」
しばらくの間、誰も答えなかった。
それは理にかなっていたからだ。
そして、それこそが危険な所以だった。
フラッシュバックは、ほとんど聞こえないほどの小さなため息をつき、首を横に振った。
「いい考えだ」――彼は認めた――。「良すぎるくらいに。」
彼は彼らの方へ完全に体を向けた。
「だが、調査している時間はない。実行可能な選択肢は一つだ。敵がそれを手に入れてアメリアに渡す前に、できるだけ早く本部へ向かうことだ。」
彼の目は鋭さを増した。
「行くしかない……さもなくば、俺たちは全員死ぬ。俺たち……そして共和国に残された者たちもな」
その言葉の重みは、一気に押し寄せてきたわけではなかった。
少しずつ、じわじわと染み込んでいった。
まるで誰も、現実には……ここには正しい決断など存在しないという事実を受け入れたくないかのように。
ただ……どう死ぬかを選ぶだけ。あるいは運が良ければ……どう生き延びるか。
風は吹き続けていた。
そしてなぜか……その風は、彼らの答えを待っているようだった。
オイチは顔を上げた。胸はまだ不規則に上下していた。その視線はまっすぐジェレナに向けられていた。まるで、この惨状の中で彼女だけが唯一の拠り所であるかのように。
「いい考えがある……」
彼は左腕を彼女の方へ差し出した。単純な仕草……だが、切迫感に満ちていた。
「ねえ……どっちにする?」――彼は、本来よりも強気な口調を装って言った。「二票ある方が一票よりマシだ。手をつなぐか……それとも紙の場所を探るか?」
風が再び三人の間を吹き抜けた。まるで、風もまたその答えを待っているかのように。
ジェレナは二人を交互に見つめた。
まずはヨイチ。次にフラッシュバック。
そして……特に何もない空間へ。
彼女は顎に手を当て、わずかに眉をひそめた。
「迷ってる……」
「とにかく決めろ!」――ヨイチが彼女の言葉を遮った。おそらく本意ではないほど、きつい口調だった。
続く沈黙は居心地の悪いものだった。
騒音のためではなく……その決断が意味するものゆえに。
ジェレナは一瞬、目を閉じた。
(「難しい決断だ……」)
彼女の思考は、状況そのものよりも速く動き始めた。
(一方を選べば、もう一方は犠牲になる……避けようがない。)
原稿の記憶が、稲妻のように彼女の頭をよぎった。
(「あの原稿……普通じゃなかった。偶然じゃなかった……本当に未来を予言できるのかもしれない。」)
彼女は唇を軽く噛みしめた。
(「ヨイチの案に従えば……もしかしたら、成功する確率が高くなるかも……」)
しかし、その考えは……どこか不完全な気がした。
何かが、完全に噛み合っていないような気がした。
(「もし……私たちに関する別の原稿が、すでに存在していたら?」)
その考えに、彼女は少し身構えた。
(「私たちがすでに手応えをつかんでいる……あるいは失敗している……あるいは……すでにこの決断を下している……そんな原稿が。」)
彼女の呼吸は遅くなった。
重くなった。
(「私たちが何をしたとしても……」)
彼女は目を開けた。
(「……それはすでに書かれているのか?」)
一瞬、世界が……奇妙に感じられた。
まるで足元の屋根が、完全に現実のものではないかのように。
まるで未来が、築き上げるものではなく……ただ落ちていくものかのように。
(「私たちは、自分たちにとって不確かな未来へと進んでいる。でも……あえて、その手に向かって突き進んでみたらどうだろう?」)
風がまた吹いた。
そして今回……ジェレナは視線を上げた。
もはや彼らの方ではなく。
その先へと。
まるで、何らかの形で、すべてを理解しようとするのをやめる決心をしたかのように。
「もう決めたわ!」
彼女の声が空気を切り裂いた。
力強い。
しかし、完璧ではなかった。
なぜなら、その確信の中にも……胸の奥のどこかに、まだ小さな疑念が潜んでいたからだ。
◇◆◇
カチッ。カチッ。カチッ。
外骨格の金属音が壁に反響し、彼らは止まることなく前進した。一歩一歩が乾いた、正確な……ほとんど暴力的な足取りだった。今、迷っている余裕などなかった。
イェレナが先頭を歩いていた。
彼女の視線は一点に固定されていたが、実のところ……目の前のものだけを見ているわけではなかった。
むしろ、それは誰かがすでに決断を下した時に現れるような視線だった……そして今、彼女に残されているのは、その決断を最後まで貫くことだけだった。
彼女は頭をわずかに左へ傾けた。
計算した。
そして飛び降りた。
その勢いは凄まじかった。彼女の体は、本来よりも長く感じられた一瞬の間に、ビルとビルの間の隙間を飛び越えた。ほんの一瞬、世界は静寂に包まれ……時が止まった。
そして――
カチッ。
彼女の脚がもう一方のビルの壁に食い込み、衝撃を吸収した。だが、止まることはなかった。勢いは彼女を下へと引きずり込み、金属のきしむ音と共に滑り落ち、接触するたびに小さな火花が散った。
そして――
地面に激突した。
乾いた音。直撃だ。
彼女はほぼ即座に身を起こした。
その一秒後、ヨイチとフラッシュバックが彼女の横に倒れ込んだ。衝撃は彼女と同じだったが、着地は彼女ほどきれいではなかった。
ジェレナは腕を上げ、前方を指さした。
「この位置なら……軍陣地の周辺にある、この一軒の家が見えるはずよ」
そこにあった。
ぽつんと。
静まり返って。
周囲の状況に比べ、あまりにも無傷すぎる……そして同時に、あまりにも静かすぎる。
そこはクリフォードの家だった。
フラッシュバックはしばらく何も言わなかった。ただ腰に手をかけ、懐中電灯を取り出した。スイッチを入れるカチッという音が、不気味なほどに闇を切り裂いた。
「行こう……時間はあまりない」
彼が先頭に立った。
いつものように。
彼は躊躇しなかった。
ドアは一蹴りで蹴り破られた。
ガシャン。
その音は家の中に響き渡った……しかし、反応はなかった。
何もない。
中に入ると、空気が変わった。
すべてが……おかしい。
暗闇のせいだけではない。
その感覚のせいだった。
内部は散乱し、崩れ落ちた箇所があり、家具は所定の位置から外れていた……まるでそこで何かが起きたかのように。何か、突発的な。何か、激しい。
そして……何も。
フラッシュバックはさらに一歩踏み出し、懐中電灯を左右に振り回した。
(クリフォードの家……廃屋なのか?)
その考えは重くのしかかった。
(一体ここで何が起きたんだ……?)
彼の顎が硬直した。
そして彼は叫んだ。
「サン・マリア軍だ!」 中にいる者は誰でも、直ちに外へ出てこい!
その声は、空っぽの壁に反響した。
一度。
二度。
そして……
静寂。
返事のない、あの種の静寂。
安心させるどころか……むしろ、すべてをさらに不気味に感じさせる静寂。
フラッシュバックはさらに奥へと進んだ。一歩踏み出すたびに、埃とあの匂いが舞い上がった……古びた、重苦しい匂い。まるで空気が、あまりにも長い間そこに閉じ込められていたかのように。
懐中電灯の光が部屋の中を照らし出した。
ひっくり返ったテーブル。
壊れた椅子。
誰かが外へ出ようとしたのか……あるいは身を守ろうとしたのか……そして失敗したかのように、破れた布がぶら下がっている。
そして、そのすべての中に――
動き。
小さく。素早く。
ゴキブリ。
多すぎる。
フラッシュバックはうんざりしたように目をそらし、舌打ちをした。
「時間の無駄だ」
彼の声は普段よりきつかった。確信があったからではなく……目の前の光景が気に入らなくなってきたからだ。
「行く前に、何が起きるのか確認しておいたほうがいい」――後ろからヨイチが答えた。彼はまだ、立ち続けようとしていた。
フラッシュバックは、皮肉な笑いを漏らした。
「もし、本当にその原稿が俺たちをここに連れてきたとしたら……宇宙の運命はすでに決まっているってことか?」
懐中電灯の光が一瞬止まった。
「今、俺がここを去ったとしても……運命は決まっているだろう。」
それは仮説には聞こえなかった。
それは……諦めの言葉のように聞こえた。
ジェレナは、より落ち着いた様子でその場所を見渡した。少なくとも、そう見せかけようとしていた。
「先見者たちについての情報が必要なら、今がちょうどいいタイミングだと思うわ」――彼女は軽く腕を組んで言った――。「まだ戦場には現れていない……それこそが、かえって怪しい証拠よ」
彼女は、影の中に何か隠れているのを探すかのように、少し首を傾げた。
「ユズリハは、もう『呪われた手』へと全速力で向かっているはずよ。そのことは気にしないで……いつでも連絡が来るわ」
再び沈黙が訪れた。
気まずい沈黙。
ヨイチはそれ以上何も言わなかった。ただ、左側の部屋へと足を向けた。
手を上げた。
ドアを押した。
ガチャン――
木が軋む音はゆっくりだった……まるで抵抗しているかのように。
その部屋は、もう一つの居間だった。
あるいは……かつてはそうだった。
今は、崩れ落ちた物々の山と化していた。天井の破片が散らばり、家具は粉々になり、壁には汚れがこびりついていた。
ヨイチは一歩踏み出した。
そしてまた一歩。
やがて――
足を止めた。
何か……おかしいと感じた。
彼は視線を下げた。
何かを踏んでしまった。
液体だ。
黒ずんだ。
粘り気のある。
……
「一体……?」
声は思ったより小さかった。
まるでそれが見ているものを変えられるかのように、彼は少し身をかがめた。
変わらなかった。
それは血だった。
古い。
だが、まだ十分には乾いていない。
背筋に寒気が走った。
彼はゆっくりと頭を右に向けた。
そして、それを見た。
山。
死体。
無造作に積み上げられた……まるで、もうどうでもよくなったかのように。
腐敗した皮膚。へこんだ肉。その臭い――今なら納得できた。耐え難いものだった。
ヨイチは片手を鼻に当て、半歩後ずさった。
「こいつ、ひどい臭いだ……」
彼は唾を飲み込んだ。
だが、視線をそらすことはしなかった。
なぜなら、そこには他にも何かがあったからだ。
何かがおかしい。
「おい!」――声はわずかに震えていたが、彼は声を張り上げた。「面白いものを見つけたぞ!」
数秒後、慌ただしい足音が静寂を破った。
フラッシュバックとジェレナが部屋に入ってきた。
そして、彼らはその場に立ち尽くした。
「一体全体……?! ここで何が起きたんだ!?」――フラッシュバックは、怒りと困惑が入り混じった声で叫んだ。
二人はほぼ同時に鼻を覆った。その中の臭いはさらにひどかった……より濃厚で、より生々しかった。
それは単なる死の臭いではなかった。
それは「見捨てられた」という臭いだ。
まるで誰も戻りたがらなかったかのように……見ることさえも。
ジェレナは目を細め、死体をより詳しく観察した。彼らはただ死んでいるだけではない……引き裂かれていた。ひどく。
まるで何か……あるいは誰かが……急いでいなかったかのように。
彼女が何かを言う前に――
ピッ。
通信機が小さな電気的なカチッという音と共に鳴った。
そして、声が聞こえた。
「やあ、やあ、私の可愛い子供たち! どこにいるの?」
その軽やかな口調は、目の前の光景と……不釣り合いなほどに衝突した。
フラッシュバックは、死体の山から視線を外すことなく答えた。
「今……あまり良いタイミングじゃないと思う」
「良いタイミングじゃない?」――向こう側の声が返ってきた――。「とっくに来てるはずなのに。しかも、本来なら叱るべきところなのに、叱ってもいないわ」
少しの間が空いた。
「普通に話してるよ……だって、海岸に壁はまだ見えないから。」
それは……いい感じじゃなかった。
「私たちはクリフォードの家にいるの!」――ジェレナが少し声を張り上げて割り込んだ。
「えっ? そこで何してるの?」
ヨイチは周囲から目を離さずに、一歩前に踏み出した。
「重要なのは、なぜ俺たちがここにいるかじゃない、愛しいお嬢さん……何を見つけたかだ。」
ジェレナは軽く頷いた。
「家は完全に廃墟で、めちゃくちゃだ。でも、争いがあったみたいだ……かなり激しい。片隅には、バラバラになった兵士の死体が山積みになってる……なぜこうなったのか、さっぱり見当がつかない。」
彼女はもう一度辺りを見回した。
「戦場にはビジョナリーの姿はなかった……それが、なおさら不審な点だ。」
沈黙。
向こう側。
「一体何の話をしてるんだ……?」
陽一はもはや話を聞いていなかった。
彼は半分倒れかけたテーブルに近づいていた。
その上に何かが置かれていた。
一枚の紙。
指の間で崩れ落ちないか心配するかのように、彼はそれを慎重に手に取った。
彼の視線は、速く、乱雑に書かれた行をなぞった。
「……どうやら、クリフォードは、彼の周囲に住む私たち人間全員について、何かを隠しているようだ。もし、私たちが知っていると思っていること……そして、あの日、人類がどのようにして大災害から救われたのかについて、人類がまだ答えを出していないこと……と、すべてが一致するなら……」
彼は喉を鳴らした。
「……間違いなく……我々は問題を抱えている。」
空気が重くなった。
冷たくなった。
まるで何かがはまったかのように……しかし、それは最悪の形で。
その時――
物音がした。
乾いた音。
ほとんど聞こえないほど微かだった。
だが、それで十分だった。
ヨイチは素早く頭を振り向き、瞳を普段よりわずかに大きく見開いた。
「気をつけろ!伏せろ!」
問う暇はなかった。
考える暇もなかった。
窓が粉々に砕けた。
そして銃弾が飛び込んできた。
世界は騒音に包まれた。
銃声。割れるガラス。砕ける木材。
3人はほぼ同時に床に飛び込み、弾丸が家の中を止まることなく貫通していく中、できる限り身を隠した。リズムもなければ……間もなく……壁を震わせる絶え間ない雨だけがあった。
「くそっ……!」――フラッシュバックは歯を食いしばった。
深く考えもせず、彼は腰に手を伸ばし、小さなカプセルを取り出して上へ放り投げた。
1秒。
2秒――
プシュッ。
発煙弾が炸裂し、すべてを飲み込むような濃い煙が空間を満たした。
「逃げろ!」――彼は叫んだ。
そして彼らは走った。
隊列を組んでではない。
兵士のようにではない。
死ぬのが嫌だという人間として、彼らは走った。
ぎこちない足音、荒い息遣い、混沌の中を出口を探そうと、半壊した家具に体がぶつかる音。
衝撃のたびに家が揺れた。
そして――
何かが……変わった。
音ではなかった。
正確には。
それは声だった。
温かみのある。
その状況にしては、あまりにも穏やかな。
「攻撃部隊の兵士たちは、家の方角へ銃を乱射していた……」
その声は特定の場所から聞こえてくるわけではなかった。
それは……至る所にあった。
「……その間、ヨイチ、フラッシュバック、ジェレナは命からがら逃げ回っていた……」
ヨイチは背筋が凍るのを感じた。
弾丸のせいではない。
そのせいだ。
「……パニックと絶望に駆られて。彼らの魂は、死ぬことを恐れていた。」
「な……何だ……?」――走りながら、彼は呟いた。
その時――
ガシャン。
何かが壁を突き破った。
弾丸のようではない。
もっとゆっくり。
もっと……意図的だ。
三人は反射的に足を止めた。
そして、それを見た。
天秤。
まるで世界が一瞬だけ重力を無視したかのように、宙に浮いていた。
「遺物がどこからともなく現れ……壁を突き抜けて……」
声は語り続けた。
それが事態をさらに悪化させた。
なぜなら、ただ起きているだけではないからだ。
それは……語られているのだ。
天秤の皿がゆっくりと動いた。
その下には……言葉。
浮かんでいる。
「軽蔑」……あるいは「忠誠」。
そして上には――
ある名前。
フラッシュバック。
「審判が彼の前に現れた……」
フラッシュバックは動かなかった。
動けなかった。
彼の体は……ただ反応を止めた。
まるで何かが内側から彼を縛りつけているかのように。
天秤が震えた。
傾いた。
片方へと。
「……そして、真実が彼の顔を直撃した。」
「軽蔑」。
世界が歪んだ。
文字通り。
フラッシュバックにとって、すべてが突然傾いた。床は床ではなくなった。壁は紙のように曲がりくねった。
「な、何だ……?!」
彼は言葉を言い終えられなかった。
彼の体は後ろへと吹き飛ばされた。
壁を突き破った。
そしてまた壁を。
さらに壁を。
まるで何も彼を止められないかのように。
「審判は、その人が人生の過去6ヶ月間に悪行を犯したかどうかを裁く……」
その声は止まらなかった。
「いかなる悪行も……それは罪である。」
フラッシュバックは息ができなかった。
衝撃と衝突の合間、通り過ぎるたびに爆発する家屋の破片の合間に、空気が漏れ出ていった。
「罪:窃盗!」
その言葉が轟いた。
外ではなく。
彼の頭の中で。
まるで誰かがそれを彼の脳裏に直接刻み込んだかのように。
彼の体は飛び続け、跳ね返り、まるでただの弾丸であるかのように建造物を破壊していった。
「その遺物の持続効果は15秒間……」――声は動じることなく続けた――「…… そして、その人物にペナルティが課される。」
15秒。
短いように思えた。
だが、その瞬間……
それは永遠のように感じられた。
外の空気も、決して良いものではなかった。
だが、少なくとも……閉じ込められているわけではなかった。
ヨイチとジェレナは家から飛び出した。勢いでつまずきそうになりながら。彼らは止まらなかった。後ろを振り返らなかった。
彼らは飛び降りた。
カチッ。
外骨格が壁に張り付く鋭い衝撃音と共に作動し、次の瞬間には、まるで重力が単なる気まぐれに過ぎないかのように、彼らは垂直に走り出していた。
また一跳躍。
また別のビル。
顔に吹き付ける風が、息を詰まらせる。
「一体あれは何だったんだ!?」――ヨイチは、かろうじてペースを維持しながら叫んだ――。」 「フラッシュバックを置いて行けない!」
ジェレナはすぐには答えなかった。
彼女の視線は前方に向けられていた。
常に前方へ。
「あれは遺物よ」――彼女はようやく口を開いた。
「遺物?!」――次の屋上に着地した時、ヨイチは危うくバランスを崩しそうになった――。「本当にそんなものが存在するのか?!」
返事はない。
ただ――
銃声。
下から弾丸が次々と飛んできては、縁や壁に当たり、コンクリートを砕き散らし、四方八方に飛び散った。その音は絶え間なく続き、まるで止むことのない嵐のようだった。
ジェレナはスピードを上げた。
そうしたいからではない。
もしペースを落としたら……終わりだと分かっていたからだ。
彼女は建物の間の隙間をまた一つ飛び越え、空中で体をひねってから、傾斜した屋根の端に着地した。足が地面に触れるや否や、再び跳び上がった。
ヨイチは彼女を追った。動きは不器用だったが、なんとかついていっていた。
突然、ジェレナの通信機がパチパチと音を立てた。
不規則な音……まるで信号が何か他のものと一緒につかまって引きずられているかのように。
「ジェレナ!フラッシュバックだ!」
彼女の声は歪んで届いた。途切れ途切れだったが、生きていた。
ジェレナは走りながら、わずかに首を回した。
「フラッシュバック?!」――認めたくないほど驚いて――「どこにいるの?」
「俺たちを追いかけ回している奴は……深淵の傭兵だ!」
ヨイチは眉をひそめながら次のビルへ飛び移り、着地時にぎこちなく転がった。
「何…?」
だがフラッシュバックは止まらなかった。
彼女の息遣いが風と混ざり合う。
「スーツのエンブレムを見て! 政府と同じイデオロギーを掲げている…でもこいつらは普通より強い!」
通信機の向こう側で、鈍い音が響いた。
何か重いものが。
すぐ近くで。
「くそっ――!」
そして――
静寂。
完全な沈黙ではない。
だが、あの不自然な……途切れるような静けさだ。
――
フラッシュバックは、もう落ちていなかった。
少なくとも……以前のように落ちてはいなかった。
何かが変わった。
またしても。
重み。
その上に。
一人の兵士。
まるで最初からそこにいたかのように現れ、彼がまだ審判の余韻に浸っている間に、そのまま腹部に身を乗り出した。反応する暇もなかった。
兵士は何かを取り出した。
一冊の本。
それを開いた。
ページがあまりにも速くめくられていく……追いつくことなど不可能だった。
そしてその時――
声が戻ってきた。
あの声。
温かみのある。
語りかけるような。
「兵士は、まだ罪の余韻に浸っている彼の腹部に身を伏せた……」
フラッシュバックは歯を食いしばった。
動こうとした。
だが、彼の体は……思うように動かなかった。
「……ある遺物を開き……それを彼の目の前に差し出した。」
世界は――
砕け散った。
移行はなかった。
落下もなかった。
ただ……変わった。
突然、彼らはそこにいなかった。
破壊された家もなかった。
空もなかった。
銃声もなかった。
ただ……
白。
絶対的な、居心地の悪い白。まるで、空白のページをじっと見つめすぎたような感覚。
地面は……存在していた。
だが、現実味がない。
彼らの体を形作る線は……震えていた。
スケッチのように。
未完成で。
時には下手な。
まるで誰かが描いているかのように……未完成のまま。
フラッシュバックは自分の手を見た。
線が動いていた。
「……瞬く間に、二人は別の場所にいた……」
声は続いた。
いつも続いていた。
「……白一色の世界、まるで紙のように……そこで彼らの体はスケッチのように見えた。」
兵士が先に動いた。
躊躇することなく。
まるで、自分よりもその場所をよく知っているかのように。
フラッシュバックは考えなかった。
ただ反応した。
身を乗り出した。
飛び上がった。
足が白い地面を擦り、不完全な線を残した。
空中で回転し――
そして打ち込んだ。
顔面へ。
衝撃音は、本来あるべき音とは違っていた。
それは……乾いた音だった。
平板な音。
まるでその音さえも、絵の一部であるかのように。
兵士はわずかに後退した。
だが、フラッシュバックは隙を与えなかった。
体を後ろにひねり、両足を上げ――
腹部に叩き込んだ。
その一撃で兵士は地面に叩きつけられた。
フラッシュバックは上に覆いかぶさった。
踏みつける。
強く。
もう一度。
そしてまた。
そしてまた。
「フラッシュバックは蹴り続けた……まるで馬を蹴るかのように……」
その声には感情が感じられなかった。
いつもそうだった。
「……そして、その世界の線は、戦いの痛ましさを……白黒で描き出していた。」
衝撃のたびに地面が歪んだ。
線が断ち切られた。
書き換えられた。
まるで、そこに痛みが形を成しているかのように。
フラッシュバックは考えていなかった。
今は。
ただ蹴り続けるだけだった。
なぜなら、立ち止まることは……
再び感じることを意味したからだ。
そして今……
それだけは、絶対に避けたかった。
白は消えた。
予告もなく。
何の移行もなく。
まるで誰かがページをめくったかのように。
突然、世界は再び……現実のものとなった。
灰色の空。
破壊された家々。
重苦しい空気。
フラッシュバックは立っていた。
あるいは……それに近い状態だった。
彼の目の前、兵士は動かずに横たわっていた。死んでいた。
静寂。
ほんの一瞬だけ。
なぜなら彼の背後には――
まだそこにあったからだ。
天秤。
浮かんでいる。
見つめている。
「……今回……遺物は再び嫌悪へと立ち上がった。」
声が戻ってきた。
そして今回は……もっと近くから聞こえた。
もっと重く。
天秤が傾いた。
またしても。
迷いなく。
「罪:殺人!」
フラッシュバックには反応する暇もなかった。
彼の体は内側から砕け散った。
――グッ――!
血が噴き出した。
口から。
鼻から。
多すぎる。
止められなかった。
彼は膝をつき、咳き込み、自分の血に溺れながら、体は制御不能に震えていた。
(…いや…いや…)
息を吸おうとした。
できなかった。
(…こんなの…)
また痙攣。
さらに血。
痛みは特定の場所に限られていなかった。
それは…全身に及んでいた。
まるで何かが、彼の存在そのものを罰しているかのようだった。
「…その遺物は、その人物に罰を与える…」
声は続いた。
いつも続いていた。
「…15秒間。」
15秒。
冗談のようだった。
残酷な冗談。
なぜなら、1秒1秒が…あまりにも長く感じられたからだ。
だが、時間はなかった。
本当の意味で。
なぜなら、彼は一人ではなかったからだ。
足音。
速い。
足並みが揃っている。
兵士たちだ。
屋根の上を、次々とやってくる。物語の結末をすでに決めてしまったかのような影のように動きながら。
フラッシュバックは歯を食いしばった。
顎からまだ血が滴り落ちている。
体が止まれと叫んでいる。
彼は身をかがめた。
地面から何かを拾い上げた。
ナイフだ。
兵士のものだ。
彼はそれを力強く握りしめた。
まるで、それだけで十分であるかのように。
彼は立ち上がった。
半分ほど。
だが、立ち上がった。
彼の目……それは以前とは違っていた。
「このクソ野郎どもめ!」――彼は、文字通り、言葉ごとに血を吐き出しながら――。「自分たちとは無関係な戦争で、敵を利用しているんだ!」
兵士たちは返答しなかった。
ただ前進し続けた。
そして一瞬……
フラッシュバックは何かを理解した。
彼らは話し合うためにそこにいたのではない。
交渉するためでもなかった。
ましてや……勝つためですらなかった。
彼らは何かを成し遂げるためにそこにいた。
すでに決まっていた何かを。
天秤は彼の背後で浮かび続けていた。
傾いたまま。
秤量し。
待ち続ける。
それでもなお――
フラッシュバックは一歩前に踏み出した。
なぜなら、彼の体はすでに代償を払っていたが……
彼の内側には、まだ屈服する気のない何かがあったからだ。
(第37章 終わり)
【作者より:重大なお知らせ】
第37話をお読みいただき、ありがとうございます!
「革命編」のクライマックスは、ここから数話にわたって怒涛の展開を迎えます!
そして、この第一章(革命編)が完結した暁には、物語の始まりである**「第1話」を全編リライト(書き直し)する予定です!** より完成度の高い物語を皆様にお届けするため、全力を尽くします。
【作品への応援をお願いします】
現在コンテストに参加中です。このクライマックスと、今後のさらなる進化に期待していただける方は、ぜひページ下部より**【ポイント評価】や【ブックマーク】**で応援をお願いいたします!
皆様の熱い応援が、執筆の最大のモチベーションになります!




