夢章二 22 『二度目の機会』
意識が流水のように押し戻され、深い海へと沈んでいく。
すべての感覚が一瞬で収束し、脳の奥深くで眠っていた神経細胞を呼び覚ます。
その感覚はまるで涼やかな風が全身を撫で、温かな日差しが肌に降り注ぎ、細胞の一つ一つがゆっくりと伸びていくかのようだった。心地よく、このまま沈み込みたいとさえ思わせる。
しかし、その心地よさは束の間の幻覚に過ぎなかった。
直後に痛覚が押し寄せる。幾重にも重なる。砕けた鏡が再び組み合わされるように、記憶の断片が次々と浮かび上がる——首を落とされた冷たい感触、頭を撃ち抜かれた灼熱の衝撃。二つの死が意識の奥深くで交錯し、痛みが互いに絡み合い、先ほどの安らぎを一瞬で洗い流していく。
そして——
「ああああああああああ————!!!」
鋭い叫びが周囲の静寂を引き裂いた。平静な海面が細かな波紋を広げ、一重に、また一重に外へと広がっていく。
海面の中央で真夢が猛然体を起こし、両手で狂ったように自分の首を触りまくった。指先に伝わる感触は湿って粘つき、それが冷や汗なのか、まだ溶けきらぬ血なのかも分からなかった。
「俺……また死んだ……?」
先ほどの経験が頭の中を高速で再生され、真夢は息を呑み、身体が制御不能に震えた。
死んだ。確かに死んだ。夢に近い場所で、背後から首をはねられた。
現実は? 戻れない。彼はあの場所で死ぬことが何を意味するかをよく知っていた。現実で自然に目覚めることはなく、この海面に飛ばされる。そして目の前のこの光景は、彼にとってあまりにも見慣れたものだった。
どこまでも広がる海面が視界の果てまで続き、頭上には太陽がないのに陽光は降り注ぎ、雲は風もないのに自ら動いている。足元の海水は地面のように堅く、人が歩けるだけの強度を備えている。すべては前と同じだった。
真夢は体を起こして立ち上がり、周囲を見渡した。平坦な海面を見渡し、最終的に彼が待つ方向に視線を落とした。
「アイエス……」
目の前に現れたのは、全身純白の装束をまとったアイエスだった。前回と同じく、彼の顔には何もなく、虚無とすら呼べない、ただの空白だった。
「どうやらまたあの場所で死んだようだな。」
再び意識の海に戻ってきた真夢を見て、アイエスは仕方なさそうに肩をすくめた。その言葉の端には、皮肉なのか気遣いなのか判別しがたい響きが残っていた。
「ああ、あいつに不意打ちされた。何の前触れもなく仕掛けてきて……汚い手口だ。」
最初の死の記憶を合わせて考えると、二度目に自分の首を落とした犯人が誰か、おおまかに見当がついた。その域に達するのは、ヴィラ・ブレイク以外に考えられなかった。
「結構痛かったな……正直、一回目に頭を撃ち抜かれた方がまだマシだった気がする。」
当時の感触を思い出すだけで、真夢は全身に悪寒が走った。傷口に冷たい風が入り込む感覚、首の断面が冷たい石畳に打ち付けられる鈍い衝撃。その一コマ一コマが、あまりに鮮明だった。
「死に慣れるのはやめたほうがいい。それは君に何の利益ももたらさない。ただ君をますます鈍感にするだけだ。毎回の遡行で記憶は消去されるが、死そのものへの耐性は積み重なっていく。さっき君も感じただろう、死の痛覚は記憶と共に戻ってくる。これからはもっと慎重に行動しろ。さもなければ、何十種類もの痛みが積み重なって、いつか君の意識を押し潰すだろう。」
アイエスのこの言葉は、ほとんど教訓に近かった。真夢はその場に立ったまま、落ち度を指摘された生徒のように素直に聞いていた。
「分かった……すまない。」
真夢は微かにうつむき、その口調には謝罪の気持ちが含まれていたが、まだわずかな不満の尖りが残っていた。
「謝るなら俺ではなく、自分自身に、夢映に、カクに謝れ。」
その言葉を聞いて、真夢はすぐに何かに気づき、顔を上げた。
「君は……夢映とカクのことも知っているのか?」
「もちろん。クローリアもレゼロも知っている。すべてを知っている。君の経験、君の行いも含めて。未来も過去も現在も、私にとっては広大な砂漠の中の一粒の塵に過ぎない。手を伸ばせば、誰かのすべてを掴める。」
アイエスは手を上げ、目の前の虚空に向かって握ってみせた。まるで本当に何かを摘まんだかのように。
「それなら……俺の能力も君が与えたものなのか?」
「まあな。覚えておけ、『適応』しようとするな。」
真夢は首をかしげ、アイエスが引っ込めた手に視線を落とした。
それ以前、アイエスと出会う前、いやクローリアと出会う前から、彼は夢の中で何百回も死んでいた。しかし、アンカーによる遡行の能力は、ごく最近になって現れたものだ。なぜ今なのか? なぜ自分なのか? なぜ記憶喪失という後遺症が伴うのか?
一連の疑問が真夢の頭の中で渦巻いた。初めてここに来た時は考える余裕がなかったが、今ようやくその時間ができた。
「……なぜ俺にこの能力が与えられたんだ?」
彼はこの機会に多くのことを尋ねようとした。なぜならアイエスはクローリアのようにあちこちに防御を張っているようには見えなかったからだ。
「簡単なことだ。君は時間の呪いを受けないからだ。」
「俺が……時間の呪いを受けない……?」
「そうだ。君だけだ。君だけが時間の呪いを受けない唯一の人間だ。」
そう言って、アイエスは遠くに向かって手を伸ばし、勢いよく引いた。何かが遠くから無理やり引き寄せられた。
振り返ると、前回と同じ列——「真夢」たちが整然と並び、どの顔も何もなかった。列の最後尾の者は首を失い、白衣は血に染まり、裾からは暗紅色の液体が滴り落ちていた。
その光景に真夢は悪寒を覚え、無意識に自分の首に手を伸ばした。
「この辺りの情報はあまり多くを伝えられない。現実に戻って記憶を失ったとしても、これらの内容を漏らすことはない。何事も、知らない方が安全なこともある。その点は理解してほしい。」
「……分かった。」
その通りだ。未知の方が既知よりも安全なこともある。真夢はアリュエスの遺産で、その言葉の重みを身をもって経験していた。
あるものは真相に迫れば迫るほど、向かい来る衝撃は大きくなる。最後に麻痺するのか、それとも狂気に陥るのか? その答えを出せるのは、本当に真実を見た者だけだろう。
「今回のアンカーは第二条時間線に沿って設定する。どの時点から始めれば君の命が守られるのか、よく考えて選べ。」
アイエスは列の順序を少し調整し、数歩後退して真夢の選択を待った。
真夢は列を一瞥し、しかし振り返ってアイエスに向き直った。
「……もう一つ質問してもいいか?」
それを聞いて、アイエスは両腕を胸の前で組み、仕方なさそうにため息をついた。
「質問する前に、一つ聞く。ここで質問することに意味があると思うか?」
彼は一歩前に出て、その何もない顔を真夢に向けた。
「現実に戻れば、君の記憶は前のアンカーから再開される。ここで経験したことは、一言も思い出せない。それなら、ここで質問することに一体何の意味がある?」
真夢はその言葉に一瞬詰まった。アイエスの声には珍しく苛立ちが混じっていた。
そうだ、何の意味がある?
意識の海の仕組みはそうだ。真夢はここからアンカーを選び、過去の特定の時点に戻ることができる。代償も明確だ。死からアンカーまでの間の記憶をすべて失う。ここで得た情報を現実に持ち帰ることは絶対にできない。
それでも——
「やらないこと、口にしなかった疑問、解決できなかった問題。それこそが本当に意味のないものだ。」
「……」
アイエスはしばらく沈黙した。その何もない顔が一瞬固まったように見え、やがて低い冷笑を漏らした。
「ふん、その態度をいつまでも保てるといいな。」
アイエスは両手を広げ、真夢の願いを黙認した。
自分の願いが受け入れられたのを確認して、真夢は深く息を吸い込み、ゆっくりと口を開いた。
「君は……クローリアやレゼロと同じ陣営なのか?」
「純粋に一方的に知っているだけだ。つまり、私だけが彼らを知っていて、彼らは私の存在を知らない。彼らが現実の他の人々の存在を知っていても、その人々が彼らを知らないのと同じだ。君の言う陣営などない。」
「それなら……君自身の立ち位置は何なんだ?」
「私は自らを観測者と呼んでいる。能力も単純だ。万物を知り、世界の始点から宇宙の知識を集める。私をアリュエスと同じ存在だと思ってくれ。私が知っていることは彼も知っている。彼が知っていることも私も知っている。」
「アリュエスを知っているのか?」
「もちろん。旧知の仲だ。彼の位階は私と同じレベルだ。ただし、彼が今どこにいるのかは私も知らない。虚空に隠れているのかもしれないし、どこにでも存在しているのかもしれない。」
アイエスの口調は淡々としており、日常会話のように聞こえた。しかし彼が口にする一つ一つの言葉は、真夢の耳に重く響いた。
質問をし、答えを得る。この往復の過程が真夢に得難い満足感をもたらした。三つの質問、三つの回答。どれも記録する価値があった。たとえその記録の効力がこの海面の上だけに限られていたとしても。
「もう一つ……印について知っているか?」
その言葉が終わると同時に、アイエスは手のひらを上げ、真夢に向けた。
真夢は本能的に腕を上げて視線を遮り、顔をそらした。彼はこのものの威力を知っていた。身体の反応が思考より速かった。
「そんなに慌てるな。ここで印を直視しても何の影響もない。安心しろ。」
そう言われても、真夢は慎重に、ゆっくりと腕を下ろした。
数秒の間に、心の中ではいくつもの感情が交錯していた。未知への本能的恐怖、印への好奇心、事実への渇望。それらの感情が押し合い、誰も譲らなかった。
「これは……?」
ぼやけている。いや、アイエスの顔と同じで、何も見えない。
手のひらは一面の漆黒で、まるで映像の中で黒幕に覆われた部分のように。何も見えず、何も感じ取れない。具体的な内容が全く見えなかった。
「これは私自身の印だ。君のような普通の人間には見えなくて当然だ。守夢人ですら見えるとは限らない。まして君にはなおさらだ。」
アイエスは手を引っ込め、再び体の横に垂らした。
その結果に真夢は少し落胆したが、すぐに気持ちを切り替えた。何せアイエスの顔でさえ全く見えないのだ。専用の印が見えないのも当然だった。
「他に質問はあるか?」
「もうない……」
実はまだまだたくさんあった。しかしこれ以上問い詰めるのは失礼だと、真夢は話を終わらせることにした。
「質問がないなら、次の命に備えよう。」
そう言ってアイエスは横に一歩退き、真夢は列の脇に歩み寄った。
それらの「真夢」たちは依然として同じ姿勢を保ち、全員が自分自身であり、全員の顔は何もなかった。二度目にこの光景を見ても、真夢は背筋が冷たくなるのを感じた。
「目の前にあるこの節点は、君が家に足を踏み入れた瞬間だ。記憶はこの時点から再開される。それ以降のすべて——海面で経験したことも含めて——すべて消去される。次にここに戻ってくるまで、何も思い出せない。準備ができてから行動することを勧める。」
アイエスが横で注意を促し、指で列の最後尾にある首のない身体の肩を軽くつついた。
「酷い死に方だな……」
その冗談を無視して、真夢はゆっくりと手を上げ、目の前の自分の肩に触れようとした。
指先が触れようとした瞬間、彼の手が空中で止まった。進まず、引かず、中途半端な位置で留まっていた。
「……どうした? まさかここで俺と一緒に一生を過ごすつもりか?」
アイエスの冗談は真夢を動かさなかった。彼はただ黙って列を凝視し、しばらくしてから口を開いた。
「右側のは、どの時点だ?」
「それは君がカクに疑念を抱いた節点だ。その次は机でノートを整理している時。その次は夢に入った時。最後は君が死んだ瞬間だ。」
アイエスは順にいくつかのアンカーを指さし、それぞれの位置を簡潔に説明した。
真夢は頭の中で素早く前後関係を整理し、右へ一歩移動した。
「これでいい。」
彼はその「自分」の前で立ち止まり、手を触れた。
「……よし、目を閉じろ。」
その言葉が終わるのと同時に、激しい落下感が全身を襲った。血液が逆流するように脳へと押し寄せた。続いて冷たい海水が四肢を包み込み、すべての毛穴に隙間なく染み込んだ。初めての経験ではなかったが、その感触に全身が震えた。
意識が一瞬で砕け、無数の破片となった。そして再び組み合わされる。脳は一時的に機能を停止した。
海面は再び静けさを取り戻した。すべての輪郭が消え去った。
そして真夢は、二度目の機会を迎えた。




