夢章二 19 『入夢の刻』
寝室は数分前と同じ配置だった。机の上には開かれた本が置かれ、ノートも静かにその上にあり、ペンキャップも半分ほど開けられたままになっていた。
唯一の違いは、猫が一匹増えたことだった。
「……どうしてまでついてきたんだ? 先に言っておくけど、ここには猫用の寝床なんてないぞ。」
足元をうろうろする黒猫を見て、真夢の口調には諦めが混じっていた。
彼はこの猫の意図が全く掴めなかった。入ってきた時からずっとついてきて、リビングから廊下、廊下から寝室まで、どこまでもついてくる。彼は猫科の生き物とろくに付き合ったことがなく、どう対処すればいいのか分からなかった。かといって、外に放り出すわけにもいかない。
そう迷っているうちに、黒猫は彼の足元を離れ、ゆっくりとベッドの方へ歩いていった。そしてひらりと跳ね上がり、ベッドの隅に着地して座り込み、尻尾を前に巻いた。その姿勢は端正で、立ち去る気配は全くなかった。
どうやら一緒に寝るつもりらしい。
「まさか俺に何か特別なものでも惹かれたのか……」真夢はため息をついた。「……好きにすればいい。邪魔だけはするなよ。」
なぜ自分が猫にこんなことを言っているのか、真夢にも分からなかった。しかし黒猫は確かにその言葉を理解したようだった。体勢を変え、顎を前足の上に乗せて、静かに伏せた。
「本当に……」
黒猫がおとなしくベッドの上に伏せている様子を見て、真夢の口元が微かに動いた。
リビングはすでに暗くなっていた。部屋の中に残っているのは、机の上のランプが放つ暖かな黄色の光の輪と、カーテンの隙間から漏れるかすかな月明かりだけだった。
真夢は椅子に座り、再び机の上の本とノートに視線を戻した。もしさっきまでの奇妙な感覚がなければ、今は貴重な休息の時間だっただろう。
しかし彼にとっては逆だった。まさに異常を経験したからこそ、あまりに正常な光景ほど不安を覚えた。それが彼が入ってから今に至るまでに徐々に導き出した結論だった。
「……今夜も、何かあるんだろうな。」
間もなく横になるだろう。他の人にとっては一日の疲れを癒す時間だが、彼にとってはむしろ気を引き締めるべき時間だった。
「今回はまた何か非ユークリッド空間で、変な生き物に遭遇して、最後はどうにか脱出するんだろうな。」
前回の夢を思い返すと、自分と夢映は何の前触れもなく見知らぬ場所に放り込まれた。そこで彼らは初めて夢喰いと真正面から向き合い、この場所が現実や普通の夢とはまったく異なる実感を初めて身をもって味わった。
そして何より、あの場所の感覚は吐き気を催すほどだった。最も顕著だったのは、死への恐怖が通常の夢よりもはるかに濃く、あそこで死ねば永遠に目覚められないのではないかという錯覚に陥ったことだ。
「一体なぜなんだ……」
夢の中でこんな感覚を味わったことは一度もなく、真夢は途方に暮れた。あの死の間際の切迫感は、アドレナリンの作用と相まって、後になって思い出したくもなかった。
まるで誰かが鋭い刃を首に当て、ゆっくりと意識を苛み、感情は激しく乱れ、道があるように見えて見つけられず、結局追いつかれて無残に命を奪われる——そんな感覚だった。
「……そんな曖昧な場所で死ぬなんて、誰が望むか。」
首を振って、真夢はその考えを打ち消し、再び本に意識を戻した。
そしてペンを手に取り、ノートの次のページを開き、書き続けようとした——その時、
「あ、あの……」
入り口からかすかな呼びかけが聞こえた。
振り返ると、夢映が扉枠に立っていた。自分で持ってきたパジャマを着て、片手は扉枠に、もう一方は体の横に垂らし、困ったような表情を浮かべていた。
「真夢さん……まだお仕事されますか?」
「いや、ただ本を読んで、少し内容を整理しようと思っていただけだ。何か用か?」
「な、何かというわけじゃないんですけど、その……」
夢映はそう言いながら視線を落とし、言葉を選んでいるようだった。
「うーん……夜は、いつ頃お休みになりますか? 私、私の言いたいのは……夜、いつ夢に入られるのかなって……」
声は先ほどよりもさらに小さくなっていた。
夢映の横顔を見て、真夢はしばらく迷った後、本を閉じて元の場所に戻した。
「今からだ。一人で先に夢に入って何かあったら困るだろう。なら、二人で同時に入れば問題ないはずだ。」
「そ、そういうわけじゃ……うぐぅ……い、いいえ……問題ないです……」
途中で言葉がつっかえ、語尾もとても軽く、ほとんど含み笑いのように聞こえた。
どうやら彼女は一人で夢に入り、何かとんでもないことが起きるのを心配して、ここに来たのだろう。
それも当然だ。何せ真夢は彼女と同じ症状を持つ数少ない人物であり、今彼女が最も信頼できる相手だ。住まいを提供し、仕事を用意し、夢の中での助けも本物だった。
万が一何かが起きても、少なくとも彼の冷静な判断力が役に立つだろう。
「分かった。ならすぐに戻って横になっていろ。これを片付けたらすぐにベッドに入る。」
「はい……それでは、おやすみなさい……」
「ああ、おやすみ。」
そう言って、夢映は振り返った。足音が入り口から遠ざかり、布団を整える微かな音がして、やがて静かになった。
外の物音がしなくなったのを確認して、真夢も机の上の物を片付け始めた。本は脇に揃え、ノートは元の場所に戻し、ペンもペン立てにしまった。机の上を片付けてから、ベッドの端に腰を下ろした。
ずっとベッドの隅に伏せていた黒猫が彼が座るのを見て、ゆっくりと体を起こし、小股で歩み寄ってきて、頭で彼の手の甲を擦った。柔らかな毛が肌をかすめ、心地よい温もりを伝えてきた。
「さあ、お前も休め。明日また何か考える。」
真夢は黒猫を少し移動させてから、自分も横になり、四肢をだらりと伸ばした。
天井のひび割れは依然として元の位置にあった。ただ、部屋の隅に向かって少し延びていて、影の縁とつながっているように見えた。
その上に視線が一瞬止まると、心の底から不快な感覚が湧き上がり、またゆっくりと沈んでいった。
「今夜の夢も、すぐに終わるだろう……」
そうつぶやいて、真夢はゆっくりと目を閉じ、入夢の準備を整えた。
意識が潮のように引いていき、現実の周囲の事物への知覚も少しずつ消えていった。時計の音が耳の端から消え、代わりにかすかな風の音が聞こえてくる。
続いて、どこか遠くから空疎で優雅な鐘の音が聞こえ、先ほどの静寂に取って代わった。
そして、足の裏に虚から実へと移る感触が伝わってきた。
目を開けると、目の前の光景は街並みだった。欧風の建物が両側に不揃いに立ち並び、石造りの壁には細かな質感が施され、柱やアーチが建物のファサードに規則正しく配置されている。通りの配置は丁寧に計画されたかのように整然としており、意図的に設計されたような工整さを帯びていた。
空気には白い霧が浮かび、遠くの建物の細部を遮っていた。ただ、遠くの鐘楼の輪郭だけが霧の層を通して月明かりを反射していた。時折、欧風の服装をした通行人が通り過ぎる。足取りは落ち着き、視線はまっすぐ前方に向けられている。しかしよく見ると、普通の人間とはどこか異なり、まるで特定の指令に従って動いているかのようだった。
間違いなく、今いる場所は夢の中だ。厳密に言えば、夢の上で現実の下——かつての無限回廊と同じ階層に位置する夾層空間だった。
「……ここはまたどこだ?」
周囲の環境を観察し終えて、真夢は独り言のように尋ねた。見知らぬ場所に立った時、まず周囲を確認するのは誰しもがすることだ。
しかし、もう一つの異変が彼の注意を引いた。
「夢映、ここにいるか?」
声は広い通りに広がり、霧にゆっくりと飲み込まれていった。返事はなかった。
数秒待って、真夢はもう一度呼びかけた。やはり返ってくるのは自分の声の残響だけだった。
「まさかまだ入ってきていないのか? そんなはずはないだろう……」
考えてみれば、夢映が真夢よりも遅く夢に入ることは絶対にあり得ない。彼女は一秒で眠りにつく能力があると言っていたのだ。今ここにいないのは、おそらくこの空間の別の場所に転送されたのだろう。その理由については、今は考えても仕方なかった。
「……彼女の元々の夢は普通で自由なものだったのに。俺と出会ってから、変な場所を逃げ回らせて、責任まで負わせている。どうも申し訳ない気がする。」
なぜか、夢映がすぐに眠れる能力を持っていることから、彼女の元々の夢の内容にも思いが及んでしまい、真夢は罪悪感を覚えた。
結局のところ、こうなったのは主に自分自身に原因がある。もし最初に彼女に積極的に接触しなければ、彼女はこんな危険な場所に立つことはなかったのではないだろうか。
なぜ今こんなことを考えているのか、彼自身にも分からなかった。おそらくこの場所に立ち、あまりにも静かで考え事をしやすい環境だからだろう。
「まあいい……今は目の前のことを片付けよう。」
真夢が前に足を踏み出そうとしたその時——
「うんニャ、まさか彼女のことをそんなに気にかけているとはね。」
声が背後から聞こえ、真夢の意識の表面にぴたりと収まった。
軽快な声には隠しきれないからかいの調子が含まれていた。それを聞いて、真夢は一瞬気まずさを感じた。
振り返ると、霧の中からゆっくりと黒い影が現れた。体型は小さく、猫のように見えるが、成猫よりは一回り小さい。
影の主が完全に姿を現してから、真夢はそれが誰か分かった。
あの黒猫だった。首の部分にひし形の白い斑があり、薄暗い光の中ではっきりと浮かび上がっている。宝石のように澄んだ目は、見る者に異様な感覚を抱かせるあの黒猫。今、それはゆっくりと真夢に向かって歩み寄ってきて、言いようのない威圧感を漂わせていた。
「お前……」
「何を聞きたいかは分かっているニャ。緊張するな、何か変なことをするつもりはない。」
真夢が警戒しているのを察して、黒猫が先に口を開き、自分の態度を明らかにした。
目の前で言葉を話す猫を見て、真夢はしばらく沈黙した。まず感じたのは奇妙さだった。目の前の猫が話し、軽快な口調で彼と交流している。本来なら受け入れがたいはずだった。
「つまり……これがお前が俺の夢に入るのを待っていた理由か?」
真夢は自分が思っていたよりあっさりと受け入れていることに気づいた。なぜこんなに平然と猫が話すという事実を受け入れられるのか、自分でも分からなかった。
「うん……大方の理由はそれだ。主に君の身体から漂う匂いを感じ取ったからだ。」
「……俺の身体の匂い?」
自分の体臭のことか、それとも別の何かか?
「そうだニャ。君には特別な匂いがある。体臭とかじゃない。強いて言えば、もっと……特別な何かだ。」
その言葉に、真夢はすぐには返事をしなかった。黒猫が何を言いたいのか分からなかった。同時に、背筋に何か予感がゆっくりと這い上がってくるのを感じ、心の中の困惑はさらに深まった。
「ちょっと待ってくれ、まずは整理させろ。まず——お前は誰で、何をしていて、なぜ俺の匂いを感じ取ってついてきたんだ?」
次々と質問を投げかけ、真夢は黒猫に視線を落とし、その返答を待った。
黒猫の耳が微かに動いた。
「うーんニャ、本当に慎重なんだな。まあいい、俺の名前はカク。カクと呼んでくれ。俺は夢の世界を漂う生物で、夢の中でできることはだいたい何でもできる。一番多いのは、他の誰かの夢の中で、彼らが失ったペットの役を演じることだ。」
ここまで話して、カクと呼ばれる黒猫は一拍置き、琥珀色の視線を真夢の顔に固定した。
「なぜ匂いを感じ取ってついてきたかというと、君が十分に俺を惹きつけるからだ。」
「俺が……お前を惹きつける?」
「そうだ。君の身体から漂う匂いはどうにも気になる。特にあの——」
カクはゆっくりと目を細め、縦瞳をわずかに縮め、その目つきは鋭くなった。まるで物事の本質を見抜くかのように。
「——あの死の匂いがな。」




