夢章一 20『前夕夢』
夜、七時五分。
真夢はあるホテルの入り口に立ち、外を往復していた。靴底が石段を叩く音は通りの車の流れに飲み込まれ、彼が向きを変えるたびに再び響いた。
ホテルの建物は灰白色の高層ビルで、約二十数階建ての外壁はアイボリー色のタイル張り、街灯の下で柔らかな光を反射していた。ほとんどの部屋には明かりが灯り、カーテンはしっかりと閉められている。正面入り口の上には暖かな黄色の看板が掲げられ、その光が石段や車道を琥珀色に染めている。回転ドアのガラス越しには、ロビーから漏れる明るい暖色の光が見えた。入り口の両側には整然と手入れされた植栽があり、数本の低木が夜風に葉を揺らしている。
通りは車や人で賑わい、車のヘッドライトが流れる光の帯を形成していた。歩行者の話し声と車のクラクションが混ざり合い、街全体を覆う厚い布のように広がっている。しかし真夢はそれらすべてから隔絶されているかのようだった。見え、聞こえているが、どれも彼の感覚に届いていない。彼はただ絶え間なく往復し、靴底が地面に何度も何度も叩きつけられていた。
夜風が通りの向こうから吹きつけ、排気ガスとアスファルトの余熱を帯びて彼の肌に触れたが、午後から胸の奥に居座る冷たさを払うことはできなかった。
午後のあの出来事が、真夢に言いようのない異様な感覚をもたらしていた。特にあの紙の上の内容——末端の微かな跳ね、インクの濃淡に至るまで、すべてが彼の癖と一致していた。それは彼に背筋が凍るような思いを抱かせた。
もしあの紙に書かれていることが真実なら、今夜が真夢の最後の時間となる。
「はぁ……」
真夢は立ち止まり、石段の端で深呼吸をした。空気が肺の底に達すると、夜風の冷たさと街の匂いが一緒に流れ込んできた。
奇妙なことに、真夢は自分が恐怖を感じていないことに気づいた。いや、恐怖は別のより強い何かに押しつぶされていた。
それは執着に近い探究心だった。
彼は自分の目で夢喰いがどのようなものか見てみたかった。そして何よりも、クローリアが何をするのか見てみたかった。彼女は真夢が連結体だと口にし、あれほど力を尽くして彼をあの場所に引き入れたのだ。彼がこのまま引き裂かれるのを黙って見ているはずがない。
少なくとも、真夢はそう信じていた。
「来たか……」
遠くの人影がこちらに向かって小走りで近づいてくる。真夢は顔を向け、目を細めてその方を見た。
その人物は白いパーカーにグレーブルーのスラックス姿で、頭のキャップのつばは深くかぶられていたが、走るリズムに合わせてつばの下の顔が時折現れた。
「真……真夢さん……すみません……出るのがちょっと慌ててて……遅れませんでしたか……?」
「もちろん、むしろ早いくらいだ。」
来たのは夢映だった。今の彼女は両手で膝を支え、大きく息を吸っている。額にはうっすらと汗の粒が浮かび、街灯の下で細かな光を反射していた。パーカーのひもは彼女の呼吸に合わせて上下に揺れている。
昼のうちに、真夢は夢映に夜の計画を伝えていた——それはホテルで同じ部屋に泊まるというものだった。真夢の言い分では、二人の距離が近ければ近いほど、夢映が以前言及していた「夢の接続」が起こりやすくなるというものだった。
真夢のその時の言葉遣いは抑制的で、「君の理論を検証するため」という職業的な理由を用いていた。それでも、夢映の反応はまるで尻尾を踏まれた猫のように激しかった。顔を赤らめ、慌てて手を振り、「ダメダメ」「急すぎる」「そんなこと……」と何度も繰り返した。しかしその後、真夢は穏やかな口調と理性的な分析、そして少しの頑固な粘りで、ついに彼女をうなずかせた。
今、二人はホテルの入り口に立ち、夢映の指はパーカーの裾を不安そうに弄っている。その視線は落ち着かず、どこに向ければいいのか分からないようだった。
「それで……いつ頃……」
「今だ。」
「え? 今ですか?」
夢映は顔を上げ、その目には予想外の慌てた様子が浮かんでいた。
「そうだ。揃ったなら、すぐに行動を始める。」
顔に紅潮を浮かべ、言葉をどもらせる夢映とは対照的に、真夢の口調は恐ろしいほど落ち着いており、その顔にはかすかな笑みが浮かんでいた。
そして真夢はホテルの回転ドアをくぐった。夢映はその場で一拍置き、小走りで追いかけた。
ロビーに入ると、暖かな黄色の灯りが頭上から降り注ぎ、二人の影を包み込んだ。ロビーの床は大きな大理石のタイルで敷き詰められ、その質感は繊細で、まるで凍った水流のようだ。両側の壁はアイボリー色のタイル張りで、流線型の模様が灯りの下に柔らかな陰影を描いている。空気にはかすかなアロマの香りが漂っており、木質系の落ち着いた香りがホテルの内装と調和していた。ロビーの中央に吊るされたシャンデリアは細長いクリスタルの装飾を垂らし、それらを通り抜けた光が床に細かな光の斑点を散らしている。
夢映はおそらく初めてこのような場所に来たのだろう。ロビーに入るなり、あちこちを見渡しては、見知らぬ部屋に入り込んだ猫のように、好奇心と警戒心を同居させていた。
「いらっしゃいませ。何かお手伝いできることはございますか?」
カウンターの後ろには、きちんとした制服を着たスタッフが立っていた。その顔は穏やかで、口元にはプロフェッショナルな微笑みが浮かんでいる。声は高すぎず低すぎず、ロビーの静かな雰囲気に調和していた。
「空いている部屋はありますか?」
「はい、ございます。ただ……今夜は二つのツアー団体と、ある企業の出張グループがご宿泊のため、シングルルームのほとんどが埋まっております。現在残っているのは、主にダブルベッドのタイプでございます。もしご差し支えなければ——」
「それでいい。」
真夢の返答は簡潔で、一瞬の迷いもなかった。
隣の夢映は一瞬固まり、その言葉の意味がゆっくりと彼女の意識に染み込んでいった。彼女の顔色が変わり始め、耳の根から赤みが広がり、頬、そして首まで微かにピンク色に染まった。そして彼女はうつむき、両手で顔を覆った。
「かしこまりました。お人数は?」
「二人です。」
スタッフは後ろの棚から鍵を取り出した。キーホルダーには小さな真鍮のプレートが付いており、部屋番号が刻まれている。
「お部屋は404号室でございます。どうぞ良い夢を。」
「ありがとう。」
真夢は鍵を受け取り、振り返ってエレベーターの方へ歩き出した。
しかし、夢映はまだ先ほどの状況から立ち直れていないようで、その場に立ち尽くし、まるで魔法でもかけられたかのように動かなかった。
「あの……大丈夫ですか?」
スタッフの声が横から聞こえ、心配そうな口調で尋ねられた。
「あ、ああ、どうしたの?」
「お連れ様はもうエレベーターの方へ行かれましたよ。急がないと見失ってしまいますよ。」
彼女が指し示す方向を見ると、夢映は真夢がエレベーターの前に立ち、こちらに顔を向けているのを見た。
「は、はい。ありがとうございます。」
夢映はカウンターの方に一礼し、小走りで駆け寄った。
真夢のそばに着いた時、ちょうどエレベーターのドアが開いた。金属の扉が両側にスライドし、鏡のようなエレベーターの内壁が現れ、暖かな黄色の灯りを反射している。
「……行くぞ。」
そう言って真夢はエレベーターに乗り込み、夢映はその後ろについて、歩調は非常に軽やかだった。
エレベーターの中は広くなく、二人の間は約一腕分の距離があった。夢映はうつむき、両手を前で組み、視線はエレベーターの床の隙間に落ちていた。
真夢は四階のボタンを押した。ボタンが淡い光を放ち、軽い「チン」という音がした。エレベーターの扉がゆっくりと閉まった。ロビーの灯り、スタッフの姿、回転ドアの外の夜景が次第に細い線に収束し、最終的に二枚の金属の扉によって遮断された。
そして、エレベーターは上昇し始めた。足の裏に微かな浮遊感が走り、階数表示が一階ずつ上がっていく。
——やがてエレベーターは四階で停止した。




