夢章一 19『悼亡夢』
午後。
真夢は診察室のオフィスチェアに座り、患者たちのカルテを閲覧していた。
彼には習慣があった。患者のカルテをすべて一冊のノートに記録すること——各患者の症状、診断、薬への反応まで。一つには異なる病状間の関連を振り返って分析しやすくするためであり、もう一つには、自分の症状に関連する手がかりをそこから見つけたいという願いからだった。
「……」
その内容を見て、真夢は微かに眉をひそめた。
内容が難解だからではない。むしろ逆で、彼にとってはあまりにも容易に理解できすぎるのだ。それらの言葉は流水のように彼の視界を流れ去り、もはや何の波紋も起こさなかった。
「はぁ……」
真夢はため息をつき、ノートを机の上に戻し、背もたれに寄りかかって、昼に起きたことを思い返し始めた。
——カフェで、彼は夢映にその依頼を持ち出した。
おそらく医者としての本能から、何かを確認したかったのだろう。あるいは心の奥底で何かが彼を駆り立てたのかもしれない。とにかく、彼は口を開いた。そして夢映の反応は彼の予想をはるかに超えていた。彼女はまず全身が凍りついたように硬直し、それからその赤みが耳の根元から頬全体へと広がっていった。まるで誰かが彼女の皮膚の下で赤いインクをひっくり返したかのようだった。彼女は慌てて手を振り、口を滑らせて何度も拒否した。その語気は機関銃のように速かった。
「だ、だめだめだめ! そ、そんなこと……! 私と……あなたと……あ、あの……」
その声はほとんど汽車の汽笛をかき消すほどだった。
真夢はあらゆる手段を尽くした。穏やかな口調で、職業的な理由で、懇願に近い姿勢で。幾度もの要請の末、夢映はついに断りきれなくなった。彼女はうつむき、蚊の鳴くような声で、最後に辛うじてうなずいた。
正直なところ、彼は今でもなぜ彼女があれほど反応したのか理解できていなかった。自分の言葉遣いを注意深く振り返ってみても、あのような反応を引き起こすようなきっかけはどこにも見つからなかった。
彼の依頼は、ただ夜に一緒に夢に入るということだけで、それ以上の何も含んでいなかった。
「あんなに反応する必要があるのか……?」
真夢は天井を見上げ、目頭を揉みながら低くつぶやいた。その口調には言いようのない困惑が混じっていた。
その時、誰かが診察室のドアを開けた。
彼が顔を向けると、同僚の白川栞が入り口に立っていた。栞の表情には少し迷いがあり、自分が入るタイミングが適切だったかどうかを確かめているようだった。
「どうした、栞?」
「あ、ああ……ごめん、邪魔をしたか?」
栞の声にはかすかな申し訳なさが混じっていた。彼女はおそらく真夢の眉間の浅い皺を見て、彼が何か忙しいと思ったのだろう。
「いや、ただ少し考え事をしていただけだ。気にしなくていい。」
「そうなんだ……」
それを聞いて、栞はほっと息をついた。
「それで、俺に何か用か?」
「あの……聞きたいことがあるんだけど……夜……時間ある?」
栞の声は次第に小さくなり、その視線は落ち着かず、指は無意識に白衣の裾を弄っていた。
「正直に言うと、ない。」
「え……やっぱりそうか……」
彼女はまるで結果を予想していたかのように、一瞬で萎れ、肩を落とした。
真夢は彼女の落胆を気にせず、引き出しを開けて、その中から自分の古いカルテを取り出した。何度目にこの報告書を見たか数え切れない。紙の端は微かに丸まり、折り目には浅い灰色が浮いていた。
「……またあの大事なカルテを見てるのか?」
「もしこれを大事なものだと思っていたら、コーヒーを一番に置く必要はなかったな。」
栞の冗談に、真夢は淡々と答え、視線は紙面から離さなかった。彼は何気なくその内容を眺めた。診断結果、提言、そしてすでに暗記してしまった文句の数々。
しかし、彼がその紙を元の場所に戻そうとした瞬間、彼の視線は何かに釘付けになった。
「……?」
真夢は目をわずかに見開き、紙を摘む指をわずかに強く握りしめた。顔の血の気が肉眼で分かるほどに引いていった。
「……どうした?」
栞は彼の急変した顔色に気づき、ゆっくりと一歩前に出て、彼が何を見たのか確かめようとした。
しかし彼女が足を踏み出した瞬間、真夢はその紙を勢いよく引き出しに押し込み、「カチ」という音を立てて閉めた。その勢いは机全体が震えるほどだった。
「……何を見たんだ? 顔色がすごく悪いぞ。」
「いや、何でもない。何もなかった。」
真夢の語気は普段より速く、机の端を押さえる指も白くなっていた。
栞は彼の様子を見て、直感的に何かがおかしいと感じた。
「何だよ、何を見たらそんなになるんだよ。ちょっと見せてみろよ。」
「栞……」
真夢の口調が突然低くなった。
「……悪いが、少し一人にしてくれないか。一人で考えたいんだ。」
「ちょっと待って、いったい何が——」
「出て行ってくれ。」
真夢の口調にはもはや妥協の余地はなかった。
栞は口を開き、何かを言いかけたが、結局まぶたを伏せて一歩下がった。
「それなら……体に気をつけて……」
そう言い残して、彼女は振り返って診察室を出ていった。ドアは彼女の後ろで静かに閉まり、微かな音を残した。
診察室は再び静けさを取り戻した。
真夢はその姿勢を保ったまま、長い間動かなかった。喉仏が上下に動き、彼は唾を飲み込んだ。乾いた音が静かな部屋の中でひときわはっきりと響いた。
「ありえない……ありえない……」
真夢は独り言のように言い、そして再び引き出しを開けて、その紙を取り出した。
「いったい誰が……」
彼はそのカルテを手に取り、見下ろした。
カルテに、新たな一行が書き加えられていた——
死亡時刻:6月30日22時3分19秒
その文字は彼自身の筆跡と完全に一致していた。画の終わりの微かな跳ね、文字と文字の間隔、インクの濃淡。そのすべてが彼の普段の書き癖と合致していた。文末には丸印があり、それは彼が長年にわたって身につけた癖で、誰かに特に伝えたことは一度もなかった。
「違う……違う違う……」
そう言って、真夢はその紙を掲げ、窓の外の日差しに透かしてみた。光が紙の裏から透けて、紙の繊維の質感がはっきりと見えた。修正されたり上書きされた痕跡はなく、隠された文字も、中間層も、何もなかった。
「6月30日……夜に……」
真夢はポケットからスマホを取り出し、画面を点灯させて時間を確認した。日付欄にははっきりと表示されている。6月30日。
「……」
今夜。まさに今夜だ。
クローリアはかつて言った。夢喰いは【夢に浸透し】、【現実に侵入する】と。もし自分が今夜死ぬのだとすれば、十中八九、夢喰いと無関係ではない。そして、たとえこの情報が発生場所を示していなくても、真夢は自分がどこで襲撃されるか分かっていた。しかし彼は夢の中で襲撃されるのか、それとも現実でか? 真夢には見当もつかなかった。
もう一つ、この行を書いたのは誰なのか? 彼はこの紙にこんな内容を書いた覚えはない。しかし筆跡は彼のものと完全に同じで、彼だけが知っている書き癖までもが一致している。そして今、夢喰いのことを知っているのは夢映と自分だけだ。栞はそれについて全く知らず、夢映がこんな冗談を言うはずもない。そして自分自身もこの行を書いたという記憶はまったくなかった。
「……夢喰い、か。」
真夢は独り言のように言い、手にした紙をじっと見つめ、長い間沈黙した。
窓の外の日差しが斜めに差し込み、床に長い影を落としている。すべてがこれほど穏やかに見えた。
ただその一行だけが、真夢の意識の深くに静かに突き刺さっていた。
——夜の訪れを待ちながら。




