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神への階と十五柱の花嫁  作者: 輝夜月愛


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第22話:五つの誓いと、英雄の凱旋

王宮、大広間。

星の祭りの騒動が落ち着いた後、国王アルセイド三世は、玉座の前でライルとアナスタシア(魔族形態のまま)を迎えた。


「……よくぞ、民の前で真実を晒した、アナスタシアよ」


国王の声は穏やかだった。


「陛下。……隠していて、申し訳ありませんでした」

「よい。お前の母……亡き王妃が魔族の王族であったことは、王家の極秘事項であったゆえな」


そう、アナスタシアは人間と魔族のハーフではなく、魔族の血を色濃く引いた「隔世遺伝(先祖返り)」として生まれた姫だった。

その強すぎる魔力が幼い体に合わず、「病弱」として魔力を封印して育てられていたのだ。


国王は、玉座の脇にある巨大な鏡――《真実の鏡》を指差した。


「古き盟約により、王家は『人』の血筋を守らねばならぬとされてきた。

魔族であるお前が王位を継ぐことなど、許されぬと……そう思っていた」


しかし、鏡は今、太陽のように眩く発光していた。

鏡面に映し出されているのは、人間の青年ライルと、魔族の姿のアナスタシアが手を取り合う姿。

そして、古代文字で新たな神託が浮かび上がっていた。


『――白の選定者、ここに現れり。

異界の風を纏う王と、闇を統べる魔性の姫。

二人の結合こそが、種族の壁を壊し、新時代の礎とならん』


「……鏡が、認めた」


国王は震える手で鏡に触れた。

数百年、沈黙を守り続けてきた鏡が、人間と魔族の「異種族婚」こそが国の未来だと告げている。


「神託は下った!」


国王が高らかに宣言する。


「これより、王家は正式に『異種族混婚』を認める!

種族の違いなど、愛の前には無力であると……我が娘と、この英雄が証明したのだ!」


「お父様……!」


星の祭りでの騒動(アナスタシアの魔族覚醒と、ライルによる承認)を経て、王宮の大広間には、改めて五人のヒロインが勢揃いしていた。


玉座に座す国王アルセイド三世は、目の前に並ぶ娘たちを見て、頭を抱えつつも満足げに笑った。


「……まさか、余の娘二人フィリアとアナスタシアのみならず、エルフ、獣人、あまつさえ女神まで娶るとはな。

ライル・フォン・ローレンツよ。其方の器、もはや一国に収まるものではない」


「恐れ入ります、陛下」


ライルが跪くと、その背後には五人の美女が煌びやかなドレス(と神装)で控えている。


フィリアは純白のドレスで、清楚に微笑んでいる。「ライル様との冒険の日々が、わたくしを強くしました」


アナスタシアは漆黒のドレスに身を包み、魔族の角を隠さずに堂々と立っている。「私の闇を受け入れてくれた貴方を、姉として、女として支えます」


セレナは森の緑を基調としたドレス。「風の王に、森の祝福を」


ミアは情熱的な赤のドレス。「あたしの炎は、全部あんたのものだよ」


そしてサクヤは、神々しい桜色の羽衣を纏い、全てを見守るように微笑んでいる。「ふふ。賑やかで良いですね、主さま」


国王は高らかに宣言した。


「これより、ライル・フォン・ローレンツを『五種族の調停王』とし、我が娘フィリア、アナスタシアを含む五名の妻との婚姻を、国家として承認する!」


わぁぁぁぁっ!!

王都中から歓声が上がる。

人族、魔族、エルフ、獣人、そして神。

全ての種族の架け橋となる英雄王の誕生に、世界中が沸き立った。


「ライル・フォン・ローレンツよ。

魔族の姫であるアナスタシアを、妻とし、生涯愛し抜く覚悟はあるか?」


「はい。彼女が魔族だろうと、世界中を敵に回そうと、僕の愛は変わりません」


ライルの迷いない言葉に、アナスタシアは感極まって彼に抱きついた。

黒い翼がライルを包み込む。それは、悪魔の契約ではなく、聖なる誓いの翼に見えた。



【そして、女神サクヤとの「禁忌の契約」へ】


騒動が終わり、静けさが戻ったライルの私室。

人族、エルフ、獣人、そして魔族。

四人の姫との運命的な婚約を終えたライルの前に、最後のひとりが現れた。


「……お疲れ様でした、主さま。いえ、『魔王の婿』殿?」


サクヤが、どこか寂しげに、しかし慈愛に満ちた瞳で微笑んでいた。


「私の役目は、ここまでです。

貴方はもう、私がいなくとも立派に歩んでいける……」


彼女は、自分が「神」という異質な存在であることに引け目を感じていた。

人、エルフ、獣人、魔族。

地上の種族たちが手を取り合う輪の中に、高次元の存在である自分が混ざることは許されないと。


だが、ライルは彼女の手を掴み、引き寄せた。


「行かせないよ、サクヤ」


「主さま……?」


「君は全部見ていただろう? 僕が、種族とか常識とか、そんなものを気にする男じゃないってこと」


ライルは真っ直ぐに彼女を見つめた。


「君が神様でも、使い魔でも、ただのサクヤでも構わない。

君がいたから、僕はここまで来れたんだ。

……君も、僕の家族になってほしい。五人目の、大切な花嫁として」


その言葉に、サクヤの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。

神としての矜持も、立場も、すべてが崩れ去る。

残ったのは、一人の恋する女性の心だけ。


「……はい。謹んで、お受けいたします。

貴方の……永遠の伴侶として」



【祝福の宴、そして始まる伝説】


こうして、ライルの元には五人の花嫁が集った。


人族の姫: フィリア(氷の加護)


エルフの姫: セレナ(風と森の加護)


獣人の姫: ミア(炎と大地の加護)


魔族の姫: アナスタシア(闇の加護)


異界の女神: サクヤ(光と因果の加護)


四つの種族、五つの属性、そして神。

すべてを束ねる“調停の王子”ライルの名は、大陸全土に響き渡った。


世界は平和へと向かう。

だが、それは「平穏」の終わりでもあった。

神と人、異なる種族が交わることで、世界のシステムそのものに歪みが生じ始めていたのだ。


そして、時は満ちる。

五人の花嫁たちに、新たな命が宿る時――神界を揺るがす「運命の連鎖」が幕を開ける。


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