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竜の塔に閉じ込められたお姫様、但し英雄は来ない  作者: 渡辺 佐倉


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魔法使いの集まり3

「お姫様に教養を与えるということは、彼女が“キズモノ”だと気づくということだ。

あんた、それを理解してるのかい?

姫君が姫君じゃなくなるってことだよ」


アイシャという魔女は言った。


「わかってるよ。

さすがにそれを考えられる思考はまだ残ってる。

でも、ずっと【生贄の姫】以外のなにも教われないのはあまりにも哀れだろう?」


竜は言った。


「一番哀れまれないといけないのは呪いにかかったお前さんだろうけどね」

「そうかな?」


竜は困ったように首を揺らした。


それから「まずは服だよ服」というとんがり帽子をかぶった魔女と、「鱗とにかく鱗だ」という魔女と、「研究室への転移陣だろう。あんたの研究室はすごいって有名だろ」という魔法使いと。

それから色々なことを言う人たちが沢山いた。


「呪いをとくのは最終目標だね。

姿かたちを人に似せること。

思考、脳を竜に浸食されないこと。

この二つを優先しよう」


そう言いながら少し太った魔法使いは集会で出されたクッキーをむさぼるように食べている。


「そうだよ。

どうせ魔法使いになった以上、人間とは既に別の生き物だ。

人間にもどそうっていうのが土台おかしな考え方だろうね」


アイシャという魔法使いが言った。


それから何人かの魔法使いは竜をそっと抱き寄せていたお姫様にこちらに来るように言った。


「これから交代であんたが人間として生きていく方法を伝授していくよ。

あたしたちは、もうすでに魔女になっちまったから、人とは違うけど、まああの竜よりは人間にちかいだろ」


お姫様は魔法使いと人が別の生き物だと知らなかった。


「魔法使いは私とは違うのですか……?」

「あたしたちも元は人間だった。

人間から魔法使いに成るのさ」


お姫様はその言葉が完全に理解できたわけではなかった。

けれど、そういうものなのだと思うことにした。


何しろ魔法使いというものを見るのはこれが初めてだ。

今のところふわふわと空を飛んで竜を確認している等、魔法が使えるという点以外の違いについてはよくわからなかった。


「あんたが今一番知りたいことは?」


魔女の一人が言った。

お姫様の元へ交代で通って本をと言っていた。


「真実の愛が何かを知りたいです」


若干不快そうに魔法使い達に触られてた竜が思い切り噴き出した。

火の粉が出てなかったことだけが幸いだった。


「真実の愛、ね……」


薄目になったアイシャという魔女がお姫様と竜を交互に見た。

それから「まずあんたには、一般的な家族の絆ってやつや、友人同士の協力。そういうものから学んでもらう必要があるね」と言った。


真実の愛について教えてくれるかについては誰も答えなかった。

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