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特異性

「昔、昔、大昔、僕たち2人は生まれた。

まだこの星は未完成で星を作る際に生まれるバグ存在を殺すことを脳内に刷り込まれて生まれた。要はというかかっこよく言えば、星の守り手ってかんじかな。

僕たちはその脳内で指示に忠実に従って、バグ存在を殺してきた。

バグ存在はバグらしく未完成で未熟で未満の存在だった。だから、生まれたときから相応の力をもらって生まれてきた僕たちは危機もなく、バグ存在を殺すことができた。

でも、やっぱりバグ存在はバグだった。強さのバグ、その存在が今の魔王だった。まぁ、まだ赤ちゃんのような存在だったからよかったけど、殺すことはできなかった。

代わりに自分でもどうやって解除するのか見当もつかないぐらいにむちゃくちゃに封印をした。そして、もう一人の守り手もむちゃくちゃに封印してただでさえ見当がつかないのに理解を放棄するほどのレベルの封印になった。

そしてからは、あんなバグのバグも生まれず、ただ普通のバグを殺し続けた。

また少し時間が経って、バクではない存在の人間や動物が生まれ始めた。でも、バク存在はまだ生まれてたから僕たちはまだ働いてるんだけどね。

そうして、バク存在を駆除してたら人間は僕たちを闇神と光神って呼ぶようになったんだ。

で、人間が生まれたのと同時期ぐらいに魔王が動き出したんだ。正直、見たときは終わったとは思ったよ、でも、いろいろあったらしいけど星が終わるほどの何かが起きることはなかった。

ん?なんで、魔王は動き出したんだって?うーん、ここらへんは難しいんだけど。

まぁ、まず魔王は封印は解いてない。解けてたら、この星終わってたんじゃない? とりあえず、どうやって動き出したかっていうと封印を自分のものにしたんだ。やり方はよくわかんないけど。元々あの封印って封印らしい封印じゃなくて僕の闇の力をぐちゃぐちゃにして、光神の光の力でつなぎを作って封印って感じだからね。

だからこそ、解き方なんてないんだけど。

そういうことで、どうにかして、僕の闇の力の一部を使えるようになったらしいんだ。これはちょっと笑うしかないよね。でも、ちゃんと封印らしくデメリットもあって常時発動して自分のことを攻撃したり、動きにくくする役割がちゃんとあるんだ。

まぁ、魔王だからあんまり弊害はなさそうだけど。……あっそろそろ時間かな。また会うことがあれば話そう。」


===================


勇者と闇神が同時に我の中にいた時の話を聞いた。やられる直前に我に何らかの魔法をかけて、闇神は我の中にいたらしい。

これなら闇神の力を奪ったあの神が闇を操る力(ブラックボックス)を奪えたのにも辻褄が合う。

我の身体が死ねないほどに硬かったのは闇を操る力が常時発動していたからだろう。

そんなことを考えていると、大きな都市が見えてきた。おそらくヘルメスだろう。

そう言えば、不死の人間について教えて貰う約束だった。

「……」

いや、後ででもいいか。

「魔王」

「なんだ?」

「もうわかってると思うが、抵抗すらしなかったお前を人間たちが殺せなかったのはお前の硬さが原因だったんだ。硬さがなくなったお前を人間は殺せる、それは頭に残しておけよ。」

わかっている。もうイレギュラーは起きない。起こさない。我はただ一つの目標のためにいるのだ。


================


ヘルメスへの入り口を守る2人の槍使いの守り手がいた。険しい顔をし、誰も通さないような目つきだ。だが、我が近づく度、その顔は崩れていく。幽霊、怪物、死体をみたように。

「ぅっ、うっ、わーーー」

緊張の糸を切るように守り手は槍をこっちに向けて、突撃してくる。

当然、水魔法で水の盾を張り、自身を守る。

すると、「ま、魔法?」

なんだ?どういうことだ?

「も、もしかして、ほ、本物の勇者なんでしょうか?」

「?…そうだぞ。」

「え?」


==================


「本当にすいませんでした!」

我は今、2人の守り手とその上司に土下座されていた。

ヘルメスに入り、聖国の王族や聖女、国民は来ていないらしいということを聞き、今、ヘルメスで起きようとしている問題を聞いた。

「しょうがないさ。アンデッドの大群がこっちに来ているんだろう。もう死んだ扱いをされていた人間が来てたら、それは攻撃すべきだ。もし、アンデッドだったら、君たちは死んでたかもしれないしな。」

アンデッド、魔物の中でも死体の見た目をした存在のことを言う。魔法は使えず、主に、ゾンビやスケルトンがいて、大群の場合、ボスがいる可能性が高い。

すると、一緒に土下座していた上司が言う。

「本当にありがとうございます。……それで、都合のいい話だと思うのですが、アンデッドの大群を倒すのを手伝ってもらえませんでしょうか?」

まぁ、それぐらいなら。断っても勇者らしくないしな。

「大丈夫だ。協力しよう。でアンデッドはいつ来るんだ?」

「それは……もう半日頃には…」

「はんにち!?」

早くないか?どうして我は会わなかったんだ?

「よし。ならば、もう用意をしよう。」

「わかりました。」


=====================


勢いよく、「用意をしよう」とは言ったが、もうほとんどできていた。冒険者や騎士団、武器なども用意はできていて、もう外に出すところだったらしい。

そして、半日程度経ち、真夜中と言える時間なる頃、

総隊長のような男は話し始めた。

「もうすぐ、アンデッドが来る!だが、こちらには魔王を倒した勇者がいる!ここで負けることは許されない。目指すは完全なる勝利だ。いくぞ!」

「ウオォーーーーーーー」

総勢五十人程の連合は威勢よく雄たけびを上げる。ヘルメスのほとんどの冒険者は今、遠征に行って帰ってこれないらしいのでほどんどが騎士団所属の人間になっている。

数にもよるが多分、我がいなかったらなかなかに厳しい戦いになっていただろう。

「そう言えば、アンデッドの数はどれくらいなんだ?」

総隊長の男に聞いてみる。

「それが分からないのです。予知の魔法を持つ者が最近、アンデッドの大群が来ると突然言ったのでちゃんと調査ができてないのです。ですが、急な予知だったので、そこまで多くはないと考えています。」

すると、カチャカチャやズルズルといった音が聞こえる。

そこには地平線が埋まるほどのゾンビやスケルトンがいた。何百では収まらない。何千ものアンデッドがそこにはいる。

なんだこれ。我は何千年も生きているが、このレベルのアンデッドの大群は見たことがない。これがそこまでなのか?人間の世界っていうのはいつもこんなことが起きているのか?

しかし、周りを見ると、さっきの威勢は何処へやら、怖気づいた様子だった。

「な、何あれ。」

「む、無理だ、こんなの。」


我は、水魔法で水の刃を飛ばす。先頭のアンデッドは身体が真っ二つに割れ、倒れていく。そして、その後ろのアンデッドは真っ二つの死体を踏みながら、こっちに来ている。

いや、やばいなこれ。多すぎる。結構な数打ち漏らしそうだ。どうするかな。

そして、また水魔法を発動し、真っ二つに切るが、アンデッドは近づいてきている。砲撃をする隊は気づいたように砲撃をし始めるが、数は一向に減らない。

水魔法を完全解放して、100%の力で範囲攻撃をすれば、全員を殺せるが、この連合はもちろん、ヘルメスの一部住人も殺してしまうだろう。それは嫌だ…だめな気がする。

===================

「勇者どうする?」

何か、何か思いついてないか?

「もう範囲攻撃すればいいんじゃないか?」

クソっ、こいつ本当に勇者かよ。範囲攻撃すれば、近くの人間も殺すことは分かってるはずなのに。

最近、うすうす感じていたが、こいつは魔物や悪人のような悪的存在を殺すことが目的なんだろう。そのためなら犠牲を惜しまない。

なんでこいつ勇者やってられたんだ。

================


勇者を無視し、考えるが、範囲攻撃するしかアンデッドを全員殺すことはできない。というか、もうその思考になってしまっている。

その瞬間、1人の女と男が現れた。現れたのだ。歩いて、飛んでではない。目の間に一瞬にしてここに現れたのだ。

大きな帽子を被った、魔法使いとしか言えない派手な服装をした女はこっちを向いて話しかけてくる。

「えーーーー!!!!!久しぶりね!勇者ちゃん、死んでなかったのね!!!よかったわーーというか数、多いわね!間に合ってよかったわーー!」

そして、一緒に来た派手な格好の女とは対照的に何とも言えないような地味な格好をした男は少し目を見開き、ペコリと礼をする。

「じゃ、久しぶりにあなたの運命(さだめ)借りるわ。」

突然、肩を触られると身体が浮き上がる。

「!!」

何にも感じない。ただ、身体が浮き上がるのを感じる。なんだこの魔法?

「ルー!お願いねーー!」

女のその声に応えるように男は小さく頷く。

そして、アンデッドの大群が見渡せる高度に来ると、その上昇が止まる。

「じゃ、行くわねーー!」

女の周りに大きな七色の光が現れる。

そして、一瞬で七色の光は消え、大群の真ん中に出現する。

「は?」

速いとかじゃない、瞬間移動だ。そして、火が、水が、風が、土が、雷が、闇が、光が、大群の中で爆発する。それが一瞬の間に何度も繰り返される。

大群は数秒もしないうちにみるみる消えて、クレーターだけが残る。


魔法は想像をし、魔力を込め、創造をする必要がある。

普通、これは数秒の時間がかかるのだ。我は想像を魔力を込める量で短縮し、1秒以下で抑えている。また、魔法には魔力の適性や想像のしやすさの適性があり、使えても2種類だ。

しかし、この女は、7種類いや、瞬間移動も含めると8種類の魔法を同時に、ノータイムで創造したのだ。そんなことは不可能に近…不可能だ。断言できる、不可能であると。


=================

「な、なぁ、勇者、この女はなんなんだ?」

脳内での会話だが、驚いているのが丸わかりなのだろう。勇者は嘲笑うような感じで答えた。

「彼女は、イベル·マジカ、魔法が使えるこの世界で、誰でも魔法使いになれるこの世界で、ただ一人、「魔法使い」と呼ばれる冒険者だ。」









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