その手が自分じゃなくても
戦いが始まろうとする時、メガネ秘書の纏う魔力が跳ね上がる。
攻撃、支援、なにが起こるかわからない。だが、魔王は数秒で魔法を妨害することが最善手だと考える。
まだ水魔法を使えることはバレたくはないので、水魔法だと気づかれない程度に薄い水の膜を張り、メガネ秘書へと跳ね上がろうとする。
しかし、その時、「ライ!」
「!!!」眼の前に突然、ナイフが現れる。
かろうじて、方向転換したが、眼から血が出てくる。深手にならなかっただけましだ。というか見えなかった。目の前にいたはずなのに見ることができなかった。ということは
「……チッ、透明化か。」
そう透明化だ。殺意や気配が消されてるのは技術か仕様かはわからないが、完全に透明化している。魔道具だと思うが、透明化と分身のコンボか。嫌だな。
そして、メガネ秘書の溜めが終わったように見えた。
見えないほど薄い水の膜で身体を覆い、完全に防御をする。身体が脆くなっているのは分かるが、こうして防御すれば、問題ないはずだ。
だが、攻撃は来ない。しかし、爆発が起こる。
我らのいる王城が爆発する。我がじゃない、城がだ。たまに我にも爆発は来るが、不意打ちじゃなければ、どうってことはない。そして、城が崩れ、原形もなくなった頃、爆発は止んだ。
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「おい勇者」
「なんだい、気が散ると思って話しかけないであげてるのに」
正直サボってるとしか思えないが。
「この状況どう見る?」
「いや、意味もなく爆発させるわけないし、あのユイ(メガネ秘書)って子の魔法が更地にしないと使えない魔法なんじゃない?」
「まぁ、そうか。そうだよな。」
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ドドドドドドドドドドドド
地響きが聞こえる。魔法?いや、後ろを見ると、人間がものすごいスピードでこっちに向かってきていた。
これがメガネ秘書の魔法!?なんだこれ?
いや、やばい、どうする?水魔法で一掃するか?いや、……
勇者へ人が集まって行く。目はうつろだが、有名人である勇者を見に行っているとさえ思える。だが、そんなわけがない、そのまま勇者にぶつかり、くっついていく、そして、それが収まり、少し音が小さくなった瞬間、爆発した。人が、集まった人間が連鎖的に爆発した。
爆発が収まったあと、更地とかした場所で布がうごめいた。
「プハッ、フーやっぱりすごいねー。この布、爆発なら何でも防げるとか。弱点、暑いぐらいだよ。」
そう少女が言う。
「油断するなよライ、というかユイはどこいった?」
布から出てきた男はキョロキョロと周りを見渡しながら言う。
男は知っていた指名手配ランク10という気の狂った奴らを見て油断は死だと、そして、あいつらと正面向いて戦うことが死なんだと。
「ここです、ボス。」
「よかった。生きてたか」
「それより、さすがに死んでますかね?」
「微妙なとこだ、生きてたら驚くが、同時に納得もする。」
その瞬間、光った。どこからかというと自信はないが、爆心地だった。
「っッ」
足が貫かれた。自然に足が崩れ落ちる。そして、後ろでパシャッという水のような音が聞こえる。
隣にいたライもユイも同じように崩れ落ち、倒れた。
「クソっ、クソっ」
負けたのだ。即時治癒できる薬は一応持っているが、足がボロボロになるまで貫かれ、削られた。ここまでの傷はさすがに無理だ。
そして、その男はこの状況の絶望を壊すように魔法を使わなければならなかった。
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「いない?」
水を圧縮し、全方位に高速の水滴を飛ばした。手応えは確かにあった。あれが避けられていなければ、足を削り落としたはずだ。
爆発、分身、人間操作?これらの魔法じゃ回復もできないはず、
「どう思う?」
人間である勇者なら何かわかるかもしれない。
「うーん、人間の国でも足をすぐに回復する薬は存在しない。考えられるのは、情報を渡さないための自爆か魔道具とかで逃げられたって感じだ。おそらく、後者だろうと思うが。」
「なぜそう思う?」
「いや、あいつらは俺のことを完全にハメ殺そうとしてた。俺だったら死んでただろう。だからこそ負けた時のことを考えられていないわけがない。そう思っただけだ。」
「……というか、なぜ頭を狙わなかったんだ?情報が欲しいにしてもすぐにお前が水魔法で治癒力を促進すれば一人ぐらいは助かったろう。」
そうだ。確かに頭を狙うべきだったんだろう。だが、我はしなかった。わからない、なんで、我は…………
「まぁ、いいか。これからどうする?ヘルメスへ行くか?」
「………そうだな。一応地下室とかないか探してから行こう。」
しかし、地下室も何も見つかることはなく、ヘルメスへと向かうことになった。
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「ゴホッ」
ボスと呼ばれる男はベットで寝ていた。
「死の克服」という魔道具を使い、死んで戻ってきたのだ。この魔道具は一度だけでここで使いたくはなかったが、相手の実力は思っているより2段上ぐらいに見ておくべきという教訓が得られたのでもう気にしない。
すぐに起き上がり、部屋を出て、会議室に入る。そこにはいつも通りの6人がいる。ライとユイはちゃんといるのになんであの2人は来ないんだか。
男もいつも通りの椅子に座り、さっそく本題を話し始める
「勇者の実力は聞いていたより上だった。殺して操るのが一番だと考えていたが、これならぶつかり合わせれば不完全少女を瀕死レベルには追い込めるはずだ。」
ライもユイも魔法の関係上行けなかったメンバーも頷く。どんな手を使っても、自分の手で殺せなくてもあいつを殺すために私たちはいる。
私たちはぶつかり合わせることを軸に計画を決め始めた。




