不必要で不完全で不死で不思議で不健全な少女
男はゆっくりと話し始めた。
「知っているかもしれないが、ほんの少し前、聖国は魔都に喧嘩を売った。
魔王が死んだ報告され、魔都門についての欠陥もわかっている。聖国と名乗る国が悪つまり魔人を退治するのにぴったりだ。
だが、それは失敗に終わった。魔王が、いや、魔王レベルの存在がまだ存在していたらしい。
聖国が魔都に負ける、そんなことが起こってしまった。しかも、偽聖女が労力も金もかかる魔力回復薬を使って何百、何千もの魔人を蘇生した。正直、敗戦国として当然、いや甘いくらいの措置だが、やはり市民からの反乱を食らうに決まっている。
でも、そんなことは起きなかった。何百年もの間、蘇生魔法で生き返り、政治をしてきた王がそんなことを起こすわけがない。王は、完璧な手腕で完全にこの大事件を隠蔽した。これはすごいとしかいいようがない。嫌味でも何でもなく、すごいとしか。そのせいで何百人死んだかは定かではないけど。
そして、隠蔽されたいつ壊れるかなどわかったものじゃない平和がまた訪れることになるはずだった。
だが、そうはいかない。ここを見れば分かる話だ。ハッピーエンドで終わるわけがない。
……そして、平和になろうとする聖国であいつがやって来た。指名手配ランク10、不を追い求める少女、残酷選択不完全少女、魔王と並ぶ力を持つ人害だ。
そこからの情報はあまりない。おそらく、何らかの逆鱗に触れたせいか、不機嫌だったかで聖国はこんなになってしまったんだ。……そう言えば、気が気じゃなかったと思うが、王族と一部の市民は魔道具か何かで抜け出したらしい。」
ほう、まぁ別にあまり我には関係ないような話だったが、指名手配ランク10の話が一番の収穫だったな。
ていうか今となってはどうでもいい話だが、このレベルの力の持ち主をなぜ我が知らなかったのか、なぜ殺しに来なかったのかは不思議だ。そして、少し無音の空間が作られる
「まぁ、ここまでの話は勇者くん、君に状況を整理してもらうための話だ。で、だ。私たち、ピリカはその不完全少女を殺すために動いている。
もちろん言うまでもなく、復讐のためにだ。そのためならなんだってやる。だから、不完全少女を殺すために手助けをしてほしい。」
………うーん、どうするか。生死に関わる魔法や情報は非常にセンシティブで国のトップや相当な強さを持ってなければ得られないはずだ。
そういう意味ならその少女は強さに見合った情報を持っていても不思議じゃない。
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「いいんじゃないか。」
頭の中で声が響く。
「こいつらも蘇生系の魔法について知っているかも知れないし、一国を滅ぼす悪を放っておきたくはない。」
確かに知っているかもしれないな。
「まぁ、何かやられても反撃できるだろうしな。」
「あっ、一つ聞いてほしいことが……」
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「いいぞ。手助けをしよう。あと一つ教えてほしいんだが、なぜあんなに指名手配者を集めてるんだ?」
よく考えたら、あんなに犯罪者がいることと今の話は関係なかった。
「ありがとう、言ってなかったね。不完全少女に勝つために必要だから、少し情報を流してあつめてるんだ。その辺はあとでまた教えよう。あっ、そういえば、ユイお願い。」
後ろにいた女性は、我に絡みついていた縄を外し、その男は手を我の前に出す。握手か。
「手荒な真似をして悪かったね。」
犯罪組織と聞いたが、礼儀も仁義もない荒れた組織ではなかった。
我も手を出して握手をする。
男は、片方の手も重ねて、下を向く。
「本当にありがとう!」
目の前が白く、赤く、音もなく、光った。




