不完全選択
足が止まる。もうあんな所に蘇生魔法を使うような聖女がいるはずない。なのに、身体が動かない。
「お前、乗っ取れるのか?」
身体は乗っ取れないって言っていたのに。
「いや、なんかできただけだ。」
「はぁ、まぁいい。でなんだ?」
「なんで行かない?」
「あんな所に聖女も王族もいるわけないからだ。そして、お人好しでもないからだ。」
そうだ。時間は余りあるほどにあるはずだが、時間を無駄遣いするわけにはいかない。
「王城に蘇生魔法とかの情報があるかもしれない。」
「ないかもしれないだろう。蘇生魔法という禁忌に踏み込みすぎている魔法に関する情報をほっといて逃げるとは思えない。」
「………なら、ここに何が起こったか調べてくれれば、一つ、不死の人間についての情報を渡す。」
よしきた、元々ここは調べるつもりだったが、不死の人間についての情報もゲットできそうだ。渋っといてよかった。
「よし、いいだろう。でも嘘だったらもうお前の言うことは聞かない。わかったか?」
「わかった。」
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「でどうすべきだと思う?」
闇魔法を失った代わりのようにまた使えるようになった水魔法で風景に偽装して、バカみたいにいるガラの悪い連中を避け続けて王城の前まで着いた。
正直、マジで便利だ。使い勝手がすぎる。何でもできそうだ。
「おい、お前は指名手配ランクって知ってるか?」
我の質問を無視して、勇者がそう聞いてきた。我も無視したいが、指名手配ランクが気になる。
「知らない。」
「知らないのか。指名手配ランクは簡単に言うと、逃走中の犯罪者のランクだ。1から10に分かれてて、1は窃盗程度、2は殺人、5ぐらいで盗賊の頭って感じだ。色々と例外はあるが、今はその程度でいい。一応言っとくが、お前は10だ」
言う必要あったか?それと「知らないのか」がウザい。
「でそれが何だ?」
「今の所、ここにいる奴らはほとんどランク2から5程度の犯罪者だ。」
は?来る途中にいた人間、全員指名手配者なのか?
「本当か?多すぎるだろ。」
「そうだ。多すぎる。普通こんなに集まる理由がない。ただでさえ秩序のない連中がもっとひどくなるからな。だが、周りを見ろ。」
荒れている、建物は壊れ、綺麗そうな石積みの道も草が生え茂っている。
「荒れているが、今さっき壊れたような感じじゃない。というかこんなに指名手配者が集まって死体も乱闘も見ていないのが逆に怖い。」
確かに。「なら操られているとかか?」
「いや、操られてるには行動が人間的すぎている。言うなら扇動や誘惑または何かの圧的な感じかもしれない。」
「しかも、ランク5の指名手配者も少なくない、むしろ多いぐらいだ。多分、集めた奴はランク9レベルだろう。」
「?………ランク9?10じゃないのか?」
「ランク10は違うんだ。今度説明するからそれは後ででいいだろ。まぁ、住民も見つからなかったし、とりあえず王城に潜入するか。」
「そうだな。」
そう言って、魔法をかけ直し、正々堂々と正面から潜入した。
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気づいたら縄で縛られて、転がされていた。縄は普通そうだが、何らかの力で我にすらちぎれない様になっている。
「おはよう、勇者くん」
目の前にいる真っ黒に染まったような男が話しかけてきた。
周りには、強そうな人間がたくさんいる。
魔法を使っていたとはいえ、油断しすぎたか。
「あいつは誰だ?」
脳内で勇者に聞く。
「いや、わからない。でも、いやそんなわけ…」
「あぁ、すまない。わからないか。私はピリカのボスだ。名前がないから名乗ることはできないが、これで分かってくれるかい。」
「ピリカ!?」
うるさいな。脳内で大声は頭がキーンとして不快すぎる。
「ピリカって?」
「知らないのか?少数精鋭の国と同レベルの力を持った犯罪組織だ。慎重で情報もないに等しい組織でもある。本当に一体聖国で何があったんだ?」
「驚かないか。さすが勇者くん、予想はつけていたのかな。」
知らなかっただけだが、いい感じに勘違いしてくれたっぽいな。
「聖国で何をした?」
「いきなり真正面からか。まぁ、僕は優しいからね、答えてあげよう。」
そう言って、このリーダーは聖国に何が起こったか話始めた。




