二回目
って首を切られただけで死ぬわけないでしょ。
「あっ、待って。ちょっと!」
全身が切られていっている。やばい、粉微塵にされそうだ。レーザーで魔力を込めた胸の部分だけ飛ばす。
「速っ。」
勇者は飛ばした部分を切りに行った。1秒もかかっていないが、回復に全能力を注げば、問題なく回復できる。
「はぁ、はぁ、殺す目って言うなら、君も殺す目してるでしょ。」
こいつは魔王も人間も殺しているはずだ。
「そうだよ。僕も殺す目をしている。だから、お前は殺すし、いつ死ぬ覚悟もできてる。だけど、それまでの時間は世界を綺麗にするんだ。」
こいつは魔王とは違う、芯がある。口撃は無理か。なら、攻撃だ。
「開いて。」
ぐちゃぐちゃで黒でも白でもない世界にない色が広がる。そして、その色は世界を覆った。
すると、その色から無数のレーザーが飛び始めた。
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私の能力である。「能力喰らい」、これは、技術を奪うことはできない。どこまでいっても能力だけだ。
だから、光神も闇神も魔法は奪っているのだが、レーザーの威力と速度を上げることしかできていない。だが、魔王の能力「闇を操る力」は闇神の魔法である「闇を操る魔法」で奪っている。性質が似ているからなのか、闇神が何かしたのかは分からないが、私は魔王の技術すらラーニングし、私の数百万を超える能力達はそのレベルを数段上げることになった。
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ここは、私の能力、ほぼ全てを使って作り上げた自分のステータスや能力の精度が数段上がる空間だ。そして、逃げ回る勇者を閉じ込める空間でもある。
勇者はレーザーから逃げ続けながら、隙を見せたら殺そうとしている。だが、空間の上下からレーザーを出す。
「やっぱり、化け物だよ。」
心臓と頭を狙いに行ったが、避けられた。しかし、手を貫いた。ホントは剣を持っている左手を攻撃したかったが、まあいいだろう。
すると、勇者は逃げ回るのをやめ、こっちに来る。
思考も早いのかよ。魔王ならもっと考えるのに。けれど!
勇者はコケた。おっちょこちょいだからというわけではない。これまでさんざんレーザーで攻撃し続け、レーザーメインで他に何かあるという意識を薄くし、私から勇者を動かす。それが狙いだった。そして、普通だったら気にする必要すらないほど弱い能力である「黒い手」を使い、勇者の足を掴む。
だが、レーザーは使えない。勇者の一番ヤバい部分は初速だ。初速だけは見ることすら叶わない。見えるのは魔王や光神ぐらいだ。それでも、追いつくのは不可能に近い。レーザーすらも躱すだろう。
上の空間を光らせ、レーザーを撃つ振りをし、目の前を殴る。目の前には何もいない。バカみたいな行為だ。だが、あの初速は制御できないはずだ、できたら強すぎる。
手応えがあった。いろんな能力を組み合わせて殴った拳にはじーんとした痛みがあり、向こう側には、勇者が倒れている。
分が悪い賭けだった。この空間で戦って勝つよりはマシだが、普通やらない手だ。
勇者に近づくと、死んではいないが、意識はなかった。だが、指が動いた。
「ヒッ!」
レーザーを浴びせる。だが、立っている。
「勇者じゃ……ない?」
嫌気がさすような天丼芸に絶望しながらも、戦わなければならなかった。




