鍵の開け方
あの闇闇しい敵意、それが来れば死ぬと分かっていた。常識的に考えれば、ここは自分の世界、生命がこっちに来ることは考えられない。だが、あの光と間違えるような女が来たことから常識すら疑わなければならなかった。そして、また2年後ようやくあの女の力が定着したのか自分の存在があの闇と同格レベルの存在になっていることに気づく。そして、私は死ぬことに怯えるんじゃなく、怖がることにした。
そして、能力の確認、この世界の把握、情報収集を行い続け、5年が経った。
この5年で分かったことは多かった。その中でも大きいのは神のことだった。私が取り込んだ女は光神、闇闇しい敵意を向けてきた相手は闇神であることに間違いないだろう。だが、そこじゃない大切なのは魔法だ。光神は複雑すぎるが、だいたい光を操るもので、闇神はシンプルに闇を操る、それだけだった。
他にも、あと光神が持っていたのも含めてこの世界には、闇神、回復龍、魔王が持っている4つの世界石があることがわかったことも大きかった。
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バキッ
音がした。鍵穴を無理矢理こじ開けたような壊すような不快な音が。
私は、引き寄せられるように今まで近づいたことすらなかった魔王城へ向かった。
私はこの世界を舐めてなどいなかった。5年も情報収集に力を尽くし、決してバレないよう慎重に慎重を重ねてきた。だが、私はあの闇と光が混ざった存在に舐めていたんだと理解させられた。
その時だった。闇神とエンカウントした。自分の世界に戻り、戦うことはなかった。
怖かった。恐ろしかった。でも私は笑えていた。
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私の方針が決まった。よく分からないが、勇者の身体の中に入った魔王が回復龍を殺した所に漁夫の利をして回復龍の力も手に入れることができた。今なら闇神も殺せるとは思ったが、敵意も抑えられ、見つけることはできなかった。
だが、私はもう闇神を超えているということは闇神もなりふり構ってられない。魔王と闇神が私を倒すために共闘するという最悪のパターン、闇神が必ず打ってくる手だ。それをどうにかして必ず防がなければならない。
そのためには私と魔王が共闘して闇神を殺す展開を作らねばいけない。だから、殺す代わりに闇神を殺してほしいという関係を作り出すことにした。
正直分が悪かった。闇神を私が殺せない理由はでまかせでいいが、私が魔王を殺せる存在だとわからせる。それが難関だった。というか殺せるならこんな世界すぐ滅ぼしてる。
それに用いたのが、夢を見せる力だった。何百もの世界を滅ぼすなかで手に入れてきた魔法以外の力などいくらでも持っている。
それならば、なんとかできるはずだ。あの化物でもこの世界以外の攻撃なら聞くはず…だ。
結果は半分成功だった。何百万もの能力で魔王を眠らせることはできたが、死ぬ夢を見せることはできなかった。
だが、結果は違った。
友を殺し、自死をしたいと望み、憔悴しきった魔王に夢など必要なかった。ただの思い込み、それだけで十分だった。
勝った、この世界は攻略したも同然だった。後は闇神を見つけて取り込むだけだ。
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そして現在、
「煌めいて」上から光を落とす。光神が持っていた魔法だ。だが、あまりダメージを食らった様子がない。
「うんうん、やっぱり君は最強だよ。じゃあプランBだ。つらいと思うけど頑張って。」
光神に姿を変えているなら女口調にしようと思って使っているがまだ慣れず、男と女が混ざったような口調で語りかける。
「でもさ。見てみなよ。この状況君たちの街は滅びて君だけが生き残ってる。そんなんでホントにいいの?」
「何が言いたい?」
まだ話せるのか。「だからね。死ねってこと。もうやることないでしょ。みんな死んだし、未練もないじゃん。」
「違う。未練はある。」
「ふ~ん、なんなの?」
「お前を殺すことだ。そうすれば、未練なんてない死んでやるよ。」
「そりゃそうだね。まぁ、復讐しなきゃか。まあいいや。」
力も世界石も奪っているが、まだ生きている闇神を自分の世界へ隔離しておく。正直殺しておいていいのだが、これも復讐だ。
「でもさ。君は一番強くて一番弱いんだ。」
ビームを飛ばす。一本一本に何百もの違う世界の力を使い、魔王にダメージを与えるまで強化されている。
「ねえ、どんな気持ちなの?いろんな世界でさ、大切な人を守れないことなんてザラにあるんだよ。
だけど、自分に守れる力もあるし、守れない距離にいるわけでもない。でも一人も守れないなんてあんまり見ないよ。いてもすぐ死ぬ。復讐は無駄とは思わない。
でも君のせいでこの世界は終わるんだ。なのに君だけがスッキリして終わる。そんなことできるはずないよ。ねえ、どんな気持ち?」
死ぬ死ぬ詐欺ばっかりやって結局死なない、口だけの魔王に苛ついてか、こっちも男っぽい口調に戻ってしまう。
「うるさい。」
魔王も闇を圧縮し、ものすごい速さで飛ばす。
ガードも関係ない。足を貫かれた。でも話し続ける。これが勝ち道だから。
「友達も仲間も好いてくれる人も全員君が殺したも同然だ。あっ、友達はちゃんと君が殺したんだったね。」
「うるさい、うるさい。」
腕が切れる。正直、何をしたかすら分からない。
だが、しゃべり続ける。
「ホントのことだよ。多分君は、私を殺した後も全員気にせず、生き続ける。だって死ぬのが怖いんだから。」
「うるさい!黙れ!」
その瞬間、ビームを速くし、魔王を攻撃する
「死んでないんだ。」
上には、右手、右脚がなくなった魔王がいた。だが、すぐ回復してしまう。
「なんで死なないの。さっきのは死んでもいいやつだ。地獄で君を責めるやつなんていないよ。」
無視して闇を発射する。見えてはいないが、外れたのか。傷一つついていない。
「抵抗するんだ。いいよ。徹底的にやってあげる。」
その瞬間だった。元々、魔王がちゃんと死ななかった場合、精神の弱さを利用し、この世界の魔法が通じない魔王を別の世界の能力で嬲り殺すのが作戦だった。
それは成功していた。だが、その時、異壊神は闇神の能力を完成させた。
また魔王を見ると、魔王の闇を操る力、それが、自分のものだと理解できた。
「それは俺のだ!」
そして、レーザーを躱す魔王の闇を操る力を奪い取ると魔王はレーザーに焼かれていく。
その時、聞こえた気がした。壊すような音じゃなく、ガチャと鍵を開けるような音が。




