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殺戮王は笑って言った、「俺を殺してくれ」と ~自己犠牲の輪舞~  作者: 遊可くるみ
2章

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沈黙×襲来(5)

 軍舎の広場に戻ったアルテとヨハンは、現場の変わり果てた様子を見て呆然とした。地面は所々隆起していて冷え固まったマグマ柱が点々とある。軍人の死体があちこちに転がっている。


「早く治療をしないと。医療班は来ていないんですか」


 ヨハンはまだ微かに息をしている生存者に駆け寄った。慌てるヨハンとは対照的にアルテは担いでいたドルジャスとシヴァを下ろしてゆっくり肩を回している。


「あの様子じゃ、呼んでないんじゃねえの?」


 ヨハンはアルテの視線の先を見た。高台にルイーズが佇んでいる。


 直後、視線の先に居たルイーズが消えてヨハンとアルテの前に現れた。


「おかえり。二人とも、これからよろしくね」


 ヨハンとアルテは姿勢を正して敬礼をした。


「これからはルイーズ隊長って呼べばいいっすか?」


「なんでもいいよ。でも敬語はやめてほしい」


「でも隊長は隊長っすからねー」


「僕に敬語を使う奴は僕を簡単に裏切るような気がするんだ」


「お……おお」


「ルイーズ様、医療班への救援要請と軍人の生存確認を」


「必要ないよ」


「救える命を見捨てるおつもりですか?」


「仲間が死んだからといっていちいち嘆かない。感情を殺さないとアーリィは殺せない」


「……」


「僕はもう弱虫じゃない」


 ヨハンとアルテは顔を見合わせた。


「ヨハン、君も敬語じゃなくていいからね。まあ、君は誰にでもその調子だから強制はしないけど」


 ルイーズは縛られたドルジャスとシヴァを見た。


「うぅ……」


 ドルジャスが小声で唸ったため、ヨハンは剣を抜いて切っ先をドルジャスの喉元に向けた。


 ルイーズは屈んでドルジャスの顔を覗いた。


「アーリィは何を企んでいる」


「教えるわけないじゃん」


 ルイーズは腰から短剣を抜いてドルジャスの腹部を突き刺した。


「いいから言え!」


「誰が言うか……」


 ルイーズは容赦なくドルジャスの腹部を刺していく。ドルジャスは顔を歪めるだけで白状しようとしない。


「このチビは俺が殺ろうか?」


「その少年は無関係ですよ。どこかから連れて来られて顔を変えられたんでしょう」


「はあ!? じゃあ本物はどこ行ったんだよ」


「さあ……。変装術が使える仲間がいるとは厄介です」


 ドルジャスは腹部の刺し傷から流れ出た血溜まりに横たわっている。


「分かった……教える……」


 ドルジャスの声が小さいのでルイーズは耳を貸すようにドルジャスに近付いた。


「ルイーズ隊長、そいつに近付くとろくなことねえぞ」


紅血のネズミ捕り(ルージュトラップ)


「「ルイーズ様!」」


 ヨハンとアルテの声が重なったのはドルジャスの能力が発動した後だった。


 血溜まりが鋼のばねのように姿を変えてルイーズを挟み込むように勢いよく襲い掛かった。ルイーズはドルジャスに覆いかぶさった状態でドルジャスと共に血のばねに捕らわれている。


破局噴火(ウルトラプリニー)!」


 ルイーズとドルジャスが横たわる地面をマグマが勢いよく突き上げた。軍舎の広場で暴れていたマグマ柱とは比べ物にならないほど遥か上空までマグマが噴出した。


 遠方から猛スピードで飛んできた巨大な(からす)がルイーズとドルジャスを咥えて、攫って行った。


「あ! おい! 待て!」


「あの速さじゃ追っても追いつけません。軍舎に戻って作戦を練りましょう」


 巨大烏は大空に溶け込むようにして姿を消した。


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