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殺戮王は笑って言った、「俺を殺してくれ」と ~自己犠牲の輪舞~  作者: 遊可くるみ
11章

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赤目×告白(1)

 ローズ、ヨハン、アルテの三名はミライカの背中に乗って空を飛んでいた。


「お母様のところへ連れて行ってくれるの?」


「正確にはアルマス様を助けに行ったルイーズ様の元へ、ですけどね」


 ローズは小さな手でミライカの白銀の鱗をそっと撫でた。


「この子は鳥なの? 龍なの?」


「ミライカは天界獣です。雲の上の世界で生きている動物ですよ。一度会ったことがある人間か、もしくは人の匂いが特定できるアイテムがあれば、本人の元に百パーセント辿り着くことができるんです」


「へえ。すごいね」


「ミライカという名前なので、是非可愛がってあげてください」


「うん。ミライカよろしくねー」


 ローズはミライカの背中を撫でた。


「うわあ!?」


 急にミライカの飛行が不安定になった。ヨハンはローズを抱き寄せてアルテはミライカにしがみついた。ミライカの身体に燃える矢が刺さっている。続けて何本も燃える矢が放たれ、ミライカの身体に突き刺さっていく。


「アーリィの矢です!」


「なんだ? なにが起きてんだ!? な、アアアアアアアアアアアアアアアアアーッ」


 一本の矢がミライカの腹部に命中し、ミライカは急降下した。墜落した場所に待ち受けていたのは、アーリィとドルジャスである。


「ご無沙汰ちゃ~ん」


 ドルジャスはニコニコしながら手を振っている。


「アルテ、戦えますか?」


「アーリィとあのクソ女だろ? 余裕だぜ」


 ミライカから降りて、ヨハンはアーリィ、アルテはドルジャスをそれぞれ警戒した。


「包帯巻いてイメチェン? マジウケんだけど」


「あ? 黙れクソ女」


「ローズ。こっちへおいで」


 アーリィはローズに手を差し出した。


 ヨハンはローズの盾になるように一歩前へ出た。


「邪魔だよ」


 アーリィは業火の矢をヨハンに放った。


 ヨハンは刀を抜いて飛んできた矢を斬っていくが、矢は絶えず飛んでくる。背後に立つローズを守りながら攻撃をかわすのが精一杯で反撃できない。


「ヨハン! ローズ様を連れて逃げろ! 流雷群!」


 無数の雷が降り注いでいるなかでも、アーリィとドルジャスは雷を避けながら突進してくる。ヨハンはローズを抱えて進路を変え、アーリィは二人の後を追った。


「クソ女どこ行った!?」


 アルテはドルジャスが気配を消して身を隠したのを感知できなかった。


「ヒィッ」


 冷たい手が頬に触れたので、アルテは咄嗟にその手を握った。


「ドキドキしたい?」


 アルテの口元にドルジャスの吐息がかかり、ドルジャスの唇はアルテの唇に重なろうとしていた。


「雷轟砲」


 二人を包む強力な雷。アルテは自分自身に雷を落とした。


「どーだ……動けねー……だろ…………」


「……ウッザ」


 アルテはドルジャスの手を掴んだまま、ドルジャスと共に感電し、倒れ込んだ。


「いくら、電気に慣れてるっつっても……流石に、きちぃ……」


 しばらくして意識を取り戻したアルテは起き上がった。アルテはドルジャスに触れて首元を確認し、剣を抜いて振り上げた。


「殺す……の」


 ドルジャスはまだ息をしていた。


「んだよ、生きてんのかよ」


 アルテはドルジャスの首を斬り落とすのを止めた。


「なんで、殺さないの」


「放っておいても死にそうだからな。俺が看取ってやるよ」


 アルテはドルジャスの横で胡坐をかいた。


「最期はアーリィ様の側に居たい……」


「惚れてんのか」


「は? 惚れてなんかねーし!」


 ドルジャスは目を瞑って「そっちは?」と言った。


「何がだよ」


「誰に看取られたい?」


「先に逝っちまったからなあ」


「あんたも報われてないじゃん」


「もう一回、会いてえなあ……」


 ドルジャスは微かな気配を察して薄っすら目を開けた。アルテの背後には、気配を消したアコマノが鬼の手でアルテの首を狩ろうとして構えている。


 ドルジャスは仰向けに寝たまま片手を挙げて「待て」と合図を送った。自身の雷で大ダメージを負ったアルテはアコマノを感知できておらず、もちろんドルジャスが手を挙げているのも見えていない。


「もうすぐ会えるじゃん」


「そうかもな」


「会えたら告白すれば?」


「うーん……」


「?」


「好きは好きだけど、お前みたいなのと一緒に居たほうが、俺らしくいれそー」


「は? 何言ってんの?」


「顔赤いぞ」


「ウザ! 黙れ! てか見えてねーじゃん!」


 ドルジャスはアルテを指さそうとして、挙げていた手を下ろした。


 ドルジャスの心臓はドクン――と嫌な音を立てた。


 同時にアコマノは鬼の手を真横にぶん回した。ドルジャスの顔には返り血が飛んだ。


「…………」


「ドルジャス、大丈夫ですか?」


「目の色を確認するまで殺さない約束じゃん……」


「その人は殺して問題ないとアーリィ様に言われていたので」


「……」


「顔に血がついていますよ」


 アコマノはドルジャスの顔に付いた血をマントで拭おうとした。


「その手であたしに触るな! さっさとアーリィ様の援護に行け!」


「……」


 アコマノはボロボロになったドルジャスを置いて、その場を去った。


 ドルジャスは心臓に手をあてて泣いていた。


「ここはアーリィ様の場所だったのに……なんで、なんでこんな雑魚に……」


 溢れ出す涙で顔に付いた血が滲んでいく。


「ほんっと最期までウザすぎ、ウザい、ウザいマジで!」


 ドルジャスはアルテの死体に覆いかぶさるようにして泣き崩れた。


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