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殺戮王は笑って言った、「俺を殺してくれ」と ~自己犠牲の輪舞~  作者: 遊可くるみ
8章

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瀕死×絆(2)

 白肌の蛇はイザナミから離れた場所で痙攣を起こしている。


 イザナミは助けに来た人物の正体を確認しようとして目を細めた。あれは……。


「ここは俺に任せとけ!」


「援護、軽挙妄動」


「俺を甘く見てたら怪我するぜ? 覚えとけ、俺の名前はアルテ=ハンテットだ!」


 流雷群の発動により、無数の雷が上空から降り注ぐ。


 シヴァは鎖分銅を取り出してぶんぶん振り回しながら雷を避けていく。


「まだまだァ!」


 アルテは雷の間を縫ってシヴァに突進していったが、赤目の大蛇が立ち塞がり、鋭い牙をむいて威嚇している。


「また俺に立ち向かうなんて学習能力ねーな! それともあの落雷が癖になったか? ならもう一発……」


 アルテは雷轟砲を発動するために右手の人差し指と中指を立てて、指先を空に向けた。右手中指にはめられた金色の指輪はバチバチと電気を帯び始めた。


 アルテが右手を思いきり振り下ろそうとした時、白肌の蛇は牙から毒液を噴射した。


「ぐああああああああああああああああああああああああああああ」


 アルテは両手で目を覆ってのたうち回っている。


 そのままアルテは白肌の蛇に丸呑みされた。


「阿呆、確保」


 シヴァは鎖分銅を引きずりながらイザナミの傍に来た。


漸う(ようよう)、殺生」


 シヴァはイザナミの顔面を踏みつけようとして足を上げた。


「雷轟砲」


 強力な雷がシヴァに直撃し、シヴァは全身が硬直して後方へ倒れた。


 白肌の蛇は白目をむいて斬り開かれている。


「ひー。窒息するかと思ったぜ」


 アルテは両目とも蛇の毒液で爛れ、開いていない。


 アルテは白肌の蛇の体内で失神不可避を発動させ、気絶している隙に内部から斬り開いて、脱出していた。


「邪魔者……排除!」


 シヴァは地面に膝をついてオーラを纏った手を地面に付けた。


「地獄へ道連れ」


「!?」


 シヴァの手の平からアルテが立っている場所に向かって地割れが起き、底が抜けてアルテは落ちていった。


「終の棲家へ遂に墜落」


 シヴァはアルテが落下した方面を見ながら「雑魚、逝去」と吐き捨てた。


 仰向けに倒れていたイザナミは声を絞り出した。


「……アルテは、確かに、ザコだけど」


 シヴァはイザナミの顔面を狙って、鎖分銅の錘を叩き付けた。


 しかし鎖分銅の錘はイザナミの顔面に触れる手前で宙に浮いて留まっている。


「ザコだし、バカだし、……バカだけど」


 地獄へ道連れを発動させるためにシヴァが身を屈ませたとき、鎖分銅がシヴァの身体に巻き付いた。


「!?」


「でも、ボクを助けに来てくれたんだよ」


 イザナミは瀕死状態だったのにも関わらず、ゆっくりと起き上がった。


「ボクのために」


 鎖分銅はシヴァを絞めつけていく。


「お前の分際で……アルテのことを悪く言うな……」


 バキバキと骨が折れる音がしてシヴァは口から血を吐いた。


「磁力大暴走」


 グシャ――と潰れる音がした。鎖分銅に拘束されたシヴァは落とし穴に逃げることもできず、降って来た鉄塊に潰された。


 イザナミはふらつきながらアルテが落ちた穴へ向かった。すると、自力で這い上がってきたアルテが上半身を乗り出して、そのまま地上に這い上がった。


 アルテの目元には包帯が巻かれていて、包帯には血が滲んでいる。


「そこに居るのはイザナミだな」


「うん」


 アルテは自慢げに、包帯を巻いた目元を指さした。


「どうだ俺の応急処置! すげーだろ! コモモさんと仲良くなりたくて、独学で勉強したんだぜ!」


「キミって本当にバカだね☆」


「あーくそ! 何も見えねー! 敵は? 死んだか?」


「うん」


「おお、そりゃ良かった」


「…………ありがとう」


「お前、ありがとうって言えたんだな」


「キミがボクに感謝されるようなことしてこなかっただけー」


「……」


 アルテは大の字になって寝ている。


 イザナミもアルテの横に並ぶようにして仰向けに寝転んだ。


 (どうして助けに来てくれんだろう。ボクなんかのこと)


「うるせえ」


「!?」


 アルテは寝言を言っている。


「こまけーこたぁーいーんだよ……」


 イザナミは嬉しそうな顔をしたまま眠りについた。


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