原隊復帰の夜
時はさかのぼり、裕子がオニ車を見つけた初日の夜
裕子は、ゴンゾさん家の電話を借りて、自衛隊駐屯地の中の独身寮に電話をかけた。
裕子「本日付けで、原隊復帰予定だった古賀裕子3等陸曹ですが、本日中の原隊復帰は困難となりまして」
小田「小田だけど、裕子ちゃん帰れないの?」
裕子は仲の良い同僚の声を聞いて、いっきに緊張が解けた。
裕子「なっちゃん、お久しぶり今日当直だったんだ。」
小田「おひさ、陸曹教育隊、無事に卒業できたんだって。」
※自衛隊に入隊すると、2等陸士という階級が与えられ、教育隊という所で、新兵の教育訓練がされる。
2等陸士→1等陸士→陸士長と階級が上がり、昇進試験に合格すると3等陸曹という階級が与えられ、陸曹教育隊でまた教育訓練を送ることになる。
裕子「その陸曹教育隊から、駐屯地に帰る途中でガス欠しちゃったんだけど、林道の脇で旧日本軍の秘密基地見つけちゃったんだ。その中で実弾とAI積んだ戦車が動いてたの。」
小田「は?いやいや、ガス欠まで話は、分かったよ。その後の話が、あさっての方向に飛んで行ったんだけど」
裕子「無理もないと思う。私だって大混乱なんだから」
小田「それで?」
懇切丁寧に、オニAI戦車について説明をはじめた。
小田「えっと、聞いてるだけで治癒熱出て来そう。」
説明が終わった後の小田夏子は、大混乱していた。
小田「とりあえず。大砲と砲弾積んだ戦車が、AIで勝手に動いてる。だから隊長に報告。それと、ガソリン買って持って行って欲しいのね。」
裕子「そうそう。」
小田「鈴竹隊長に説明しなきゃいけないのか・・・難しいな。」
裕子「ごめんね。お願い。」
小田「鈴竹3尉に説明終わったら、また折り返すから、そちらの電話番号教えて。」
小田は、すばやく電話番号のメモを取り、鈴竹3尉に電話をかけた。
一旦電話を切って、待つ裕子。
なっちゃんは、隊長に上手く説明してくれるだろうか。
裕子「隊長信じてくれるかな。」
2分ほど待っていたら、すぐにまた電話がかかって来た。
かかってくるには、早すぎる。
おそらく電話番号だけ聞いて、何も聞かずに、かけてきたのだろう。
あの短気な隊長ならありうる。
また最初から説明しなければ、ならないのかとため息をついた。
裕子は電話を取る。
隊長「鈴竹3尉だ。事情を聞かせてもらおうか。」
隊長も女性自衛官で30代手前の人だ。
案の定、事情も聞かずに掛けてきた。
裕子は、また懇切丁寧に、オニAI戦車について説明をはじめた。
鈴竹「えっと・・・分からん。古賀お前は、明日有給休暇を与える。そして私は小田 夏子 陸士長を連れてそちらに向かいに行ってやる。必ず待っているんだぞ。」
裕子「やったー、ありがとうございます。」
鈴竹「やったーじゃない。遅刻はお前が、招いたミスだろ反省しろ!」
裕子「ごめんなさい。」
ガチャン
乱暴に電話を切られてしまった。
次の日、鈴竹は愛車のセダンで、小田 夏子を迎えに行った。
鈴竹は、陸上自衛官の制服を着ていた。
メイクだけは、バッチリキメていた。
小田は休暇なので、私服だった。
薄ピンクのYシャツにジーンズと白いランニングシューズ姿
鈴竹「ほら、小田行くぞ。」
小田「はい、お邪魔します。」
セダンは、駐屯地を出て、ホームセンターに立ち寄り、ガソリン缶とガソリンを買って、山の方へ向かった。
鈴竹「まったく、無駄な出費だ。」
小田「裕子ちゃん、おっちょこちょいだから、使い終わっても車に積んでおけばいいんですよ。」
鈴竹「あいつにガソリンの管理が出来ると思うか?」
小田「えぇっと・・・爆発させるのが落ちだと思います。」
鈴竹「だろ。それに昨日の電話口で、有給もらったら、やったーとか言ってたわ。能天気め。」
裕子は、この時間ゴンゾさん家の家事を手伝っていた頃だった。




